「ガス燈」は1944年に、イングリッド・バーグマン、シャルル・ポワイエ主演で、アメリカで製作されたものがあり、こちらの方がよく知られています。この作品でアカデミー賞主演女優賞をとったイングリッド・バーグマンの話題が先行した感があります。
イギリスの階級社会の残酷さ、男尊女卑の苛酷さを浮き彫りにした点で、ディキンソン監督版が優れています。
舞台は19世紀の霧深いロンドン。
そこにある夫婦、ポール(アントン・ウォルブルック)とベラ(ダイアナ。ウィンヤード)が暮らしています。この夫婦の関係は微妙です。
会話を聞いていると、妻ベラが資産家の娘で、夫オールはそれを目当てに結婚し、彼女の持ち家に居座っているらしいのです。しかし、ポールの態度は居丈高で、やっていることは陰険です。
婚約記念のカメオや意図的に隠し、それをお前はなくしただろうと追求したり、自分の時計を彼女のポーチにこっそり入れておいて、お前が撮ったのだろう、と追求したり。「物忘れや盗癖が目立つ」と指摘されベラ自分がおかしくなったのだと思い込み、不安に苛まれます。
ポールがはいろいろな行動で彼女を精神的に追い込んでいきます。
ポールは夕方になると外出し(隣の家の屋根裏に忍び込んでいます)、するとベラが住む部屋のガス燈の灯りが必ず弱くなり・・・。
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