goo blog サービス終了のお知らせ 

シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

伊藤大輔監督「徳川家康」(1965年、143分)☆☆☆★

2023-08-28 23:14:00 | 日本・1960年~

原作は山岡荘八による同名の長編歴史小説。

もともとは全5部となるはずでしたが、製作会社の東映の経営がかたむき、結局第一部のみとなった作品。本作品は家康の誕生から桶狭間の戦いまで。

織田信長役に中村錦之助、徳川家康役に北大路欣也(幼年時代:青木勇嗣)、木下藤吉郎役に山本圭。

時代は天保年間から永禄年間にかけて。

当時、駿府を居城とし、駿河、遠州、三河の三国で強大な勢力を誇っていた今川義元(西村晃)。西には織田信秀が東方を狙い、西三河は東西勢力の接触点。この地域にあった岡崎と刈谷は、両勢力のいずれかにつかざるをえず、刈谷の水野信元(原田甲子郎)は娘・於大[おだい](有馬稲子)を、和睦のしるしに三州岡崎の城主・松平広忠(田村高広)の許へ送ります。

天文11年、於大は男子を出生、名は松平竹千代。

竹千代3歳の春、於大の父が病死。城主となった信元は今川側から脱却。織田方と盟を結びます。於大は兄の差配で織田方阿久居の城主・久松俊勝(穂高稔)に嫁ぎます。病弱な広忠は竹千代を守れ、と於大に伝えます。

今川義元は伯父・雪斎禅師の進言を容れ、岡崎が織田進撃を喰い止める要路とみ、竹千代を人質に迎える旨、岡崎に伝えます。弱小国・岡崎のとる道はこれ一つ。

竹千代は七人の侍童に守られて駿府へ。しかし、途中、田原領主・戸田弾正の寝返りで、・・・。

田中絹代監督「お吟さま」(1962年、103分)☆☆☆★

2023-08-20 23:26:57 | 日本・1960年~
 
女優だった田中絹代が監督です。

原作は今東光による同名小説(直木賞受賞作品)。

千利休の娘、お吟の悲劇的生涯を描いた作品。

配役が豪華です。お吟役に有馬稲子(お会いしたことがあります)、高山右近役に仲代達矢、秀吉役に滝沢修、千利休役に中村鴈治郎。他に高峰三枝子、岸惠子、笠智衆、加藤嘉など。

時代は天正15年、豊臣秀吉が九州征伐を進めていた頃。石田三成たちを悩ませていたのは、キリシタンのあつかいです。三成は秀吉に同行している千利休に、利休の養女、お吟の縁談をもちかけます。相手は堺の大商人、万代屋宗安。

ところが、お吟は利休の茶道の弟子であるキリシタン大名の高山右近を慕っていました。右近の許しなしに嫁にいかないと誓っていた彼女は、右近が南宗寺で宣教師のために催した梅見の茶会のおり、右近に縁談の相談をします。

右近にその身をささげたいと思っていたお吟。しかし、右近はお吟の思いを拒み、嫁入りを勧めます。妻がいる右近とお吟が結ばれることはデウスの教えにより許されないこと。右近は自分の首にかけていた十字架をお吟の首にかけます。それは、お吟の侍女・宇乃が右近に返しそびれた扇子とともに、お吟の手元に置かれます。

天正17年、吟が万代屋宗安に嫁いで二年。お吟は店のためにまめまめしく働いていました。しかし、右近への思いは断ち切れません。夫・宗安との仲は冷え切っていました。

そして、天正18年正月、利休らを呼んで大規模な茶会を催した秀吉は、お吟の美貌に目をとめ・・・。

渋谷実監督「好人好日」(1961年、88分)☆☆☆☆

2023-06-24 21:27:28 | 日本・1960年~
主要舞台は奈良。

奈良市役所に勤務する女性と婚約者である同僚との結婚にいたるまでを軸に、両家の家族模様を描いた作品。父娘の情愛を描いています。若い岩下志麻さん(20歳、現在82歳)、きびきびとした演技!

登紀子(岩下志麻)の家族は、父親であり数学の大学教授の尾関等(笠智衆)と夫を30年支えてきたその妻・節子(淡島千景)の3人。登紀子は本当の子ではありません[戦災孤児]。

等はコーヒーを飲むことだけが趣味の数学教授で、世界的な名声があるものの、世事に疎く奇人、変人。清貧に甘んずることをよし、としています。プリンストン大学から客員(?)教授として招聘される話が持ち込まれても、「もっと恵まれない学者を採用しろ」と断ります。

登紀子には婚約者がいます。同じ市役所に勤務する同僚・佐竹竜二(河津祐介)です。竜二には姉・美津子(乙羽信子)と母のお徳婆さま(北林谷栄)がいます。佐竹家は飛鳥堂という慶長18年から続く由緒ある墨屋で、格式が大事にされています。竜二は当主なので、お徳婆さんと姉は、ふたりの縁談にいろいろ口を挟みます。

登紀子と竜二の結婚話をめぐる逸話、等が文化勲章を受章したものの、盗人(三木のり平)にとられるハプニングが展開されて・・・。

エンディングで、東大寺の鐘。ゴワワワーン。

川島雄三監督「女は二度生まれる」(1961年、99分)☆☆☆★

2023-06-14 21:02:42 | 日本・1960年~


川島版『西鶴一代女』という評価さえある作品。東京・九段にある純情な不見転(みずてん)芸者(今風に言えば「天然」)の生活を描いています。

置屋に身をよせる小えん(若尾文子)は、芸事の素養がありません。お座敷で酒の相手をするだけです。

身寄りのない彼女にとって、それが当たり前の身過ぎ世過ぎで、いまは筒井(山村聡)と矢島(山茶花究)というふたりの男性を客として、座敷でも外でも会う機会が増えていました。

小えんはそんなお金を落としてくれる男性だけでなく、顧客の接待係として来た男性にも愛想がよく、そんな男性の1人が野崎(フランキー堺)です。彼は寿司屋の板前。その素直な性格が気にいった小えんは、しばしばこの寿司屋を訪れます。しかし野崎にとって彼女はあくまで、まともに交際できる女性でありません。

やがて野崎は信州のワサビ屋の入婿となり、小えんに黙って寿司屋を辞めます。

小えんにはもう1人、商売と関係なく好きになった男性がいました。それは近くの神社で知り合った大学生の牧(藤巻潤)です。バイトしながらの苦学生で、身寄りがなく苦労した小えんは同情します。しかし、彼も大学を卒業すると彼女の前から去っていきます。

その後、ホステスに転業した小えんは、誘われるまま筒井の二号になり、安アパートの部屋に引っ越しますが・・・。

増村保造監督「青空娘」(1961年、92分)☆☆☆☆

2023-06-11 15:48:28 | 日本・1960年~



23歳の若尾文子が生き生きと躍動しています。

原作は 源氏鶏太による同名小説。

舞台は伊豆、東京(銀座、青山、東中野)。

伊豆の高校を卒業した有子(若尾文子)は、祖母の死に際、出生の秘密を明かされます。東京にいると思っていた母は実の母ではなく、有子は社長である父・小野英一(信欣三)と社員だった女性・三村町子(三宅邦子)との間に産まれた子でした。

高校を卒業した有子は英一に上京を勧められ、青山にある家に住むことになりますが、正妻・小野達子(沢村貞子)と子どもたちに白眼視され、女中として働きます。有子はそんな状況にもめげることなく、先輩女中(ミヤコ蝶々)のもとで健気に振る舞います。

 有子は高校生時代の二見先生(菅原謙二)を尊敬していました。「青い空」に希望を託すことを教えられます。その先生も、高校をやめ宣伝美術の会社に入ることになり、東京へ。有子は再会を誓うのでした。

有子は義理の姉、照子(穂高のり子)がつきあっていた大会社の御曹司、広岡(川崎敬三)に好意をもたれますが、そのことで苛めにあいます。不在のおりに部屋に入られて持物を物色されたり、父からもらった実の母の写真を破られたり・・・。このことが原因で、有子は小野家を飛び出します。二度とそこで世話にはなるまいと心に決めて。

有子は実の母を探すことを決意しますが・・・。


増村保造監督「妻は告白する」(1961年、92分)☆☆☆★★

2023-06-10 15:50:50 | 日本・1960年~
 
原作は円山雅也による小説「遭難・ある夫婦の場合」。

滝川彩子(若尾文子)の夫・亮吉は大学教授で薬学者(小沢栄太郎)、趣味が登山。製薬会社の社員、幸田修(川口浩)は研究室に出入りし、薬の開発で便宜をはかってもらっていました。

この3人が初夏の穂高岳に山行します。そこで滝川の転落死という事件がおきます。3人は互いにザイルでつながっていたものの、最後尾の滝川が滑って宙づりとなり、その重みに耐えきれなくなった彩子が自らの生命をまもるため、ザイルを切断。結果、滝川が転落死するにいたったというもの。

この事件が裁判沙汰に。争点はザイルを切った彩子の行為が自分をまもるために絶対必要だったのか、それとも殺意によるものだったのか。

事件の背後にあったのは、亮吉と彩子の夫婦関係の破綻でした。彩子は学生時代、医学部で学んでいましたが、貧しく食事もまともにとれない生活。その弱みに付け込んで、当時指導教授だった滝川が結婚を迫った過去があり、以来、ふたりは愛情のない夫婦生活を過ごしていました。離婚寸前の状況でしたが、亮吉がそれを許しません。彩子は苦悩します。そんなときに、彩子が惹かれていったのは幸田の優しさでした。

くわえて検事は、当時夫の事故直後の彩子が何の感情ももっていなかったこと・夫に多額の保険金がかけていたことに疑念をもちま
す。

裁判は・・・。

今井正監督「仇討」(1964年、104分)☆☆☆☆★

2023-06-07 15:54:26 | 日本・1960年~


些細な諍いが原因でおきた果たし合いで上役を斬った下級武士の生き様をとおし、封建社会の理不尽な家名尊重の仕組みと当事者の無念の思いを描いています。

江戸時代、播州脇坂藩では恒例の武器点検が行われていました。そこに通りかかった奧野孫太夫(神山繁)が槍の穂先の曇りをみとめ文句を言います。江崎新八(中村錦之介)はこの文句に反論。目下の新八に逆らわれたことで、面子を潰されたと感じた孫太夫は、新八に果たし状をつきつけますが、新八の剣に倒れます。

私闘厳禁の掟を破った新八を、兄の重兵衛(田村高広)は狂気の末の結果とかばいます。新八は逃走し、僧侶の光悦(進藤栄太郎)の元へ身を寄せます。

孫太夫の弟の奥野主馬(丹波哲郎)は逃走した新八を単なる浮浪者と見做し、仇討免許を得ないまま光悦の元へ乗り込みますが、死闘の末、新八の刃に屈します。

奥野一族の頭領・丹羽伝兵衛は藩に仇討を願い出、許可を得ます。新八は姿を隠すか潔く討たれるか、の間で懊悩。仇討を逃れることは事実上不可能で、新八の心境は潔く討たれる方に傾きます。

新八の考えに納得する光悦。重兵衛は弟の命は無いものと覚悟を決めます。

仇討の日、奥野側が助太刀(6人)を用意しているのを知った新八は、この裏切りに怒り、半狂乱となり・・・・。

村山新治監督「故郷は緑なりき」(1961年、91分)☆☆★

2023-05-29 19:56:11 | 日本・1960年~

原作は富島健夫による同名小説。学園もので、若い二人の青春の恋愛をあつかった佳作です。21歳の佐久間良子の初々しい演技が印象的です。

冒頭、「アイタシ スグカエラレヨ ユキコ」という電報を読む海彦(水木㐮)。

遡って4年前。高校一年の三学期、海彦は父と二人で長兄の住む海辺の町の学校に転校してきました。最初の朝、海彦は通学する汽車の中で、座席に座っているセーラー服の少女(佐久間良子)をみとめます。少女もまた、じっと海彦を見つめていまいた。
二人は汽車通で毎朝のように会います。言葉を交わすことなく。海彦が二年に進級したある日、満員の列車に乗れないでいた少女をかばって乗せことが縁で、二人は親しく言葉をかわすようになります。

少女の名前は志野雪子。裕福な家庭に育った彼女は、海彦に大学受験にそなえ勉強するように励まします。しかし、海彦の家は貧しく、それどころではありません。

雪子との交際を狙っていた不良学生の和田が、二人に難癖をつけてきます。二人にとって、和田の行動は耐えがたいものでした。
夏休みの終り、突然、海彦の父が亡くなります。兄夫婦はK市に小さな店を開いて引越し。海彦一人きりの家に時折、雪子がたずねてきます。二人の行動を憂慮した組主任の竹田先生(三國連太郎)は、女教師の小沢先生(藤里まゆみ)とともに二人を呼び、自重をうながしますが・・・。

石井輝男監督「黄色い風土」(1961年、89分)☆☆☆

2023-05-28 19:57:50 | 日本・1960年~


原作は松本清張による同名小説。ただし、本映画作品では原作と異なる設定が多々あります。一例ですが、キーワードになるカトレアが原作では沈丁花。

舞台は東京、横浜、熱海、そして名古屋、犬山、真鶴。(←清張らしくあちこち)

「週刊東都」の記者若宮(鶴田浩二)は女性問題の権威、島内輝秋(柳英二郞)の談話を取るため熱海に向う車中、沈丁花の匂いを漂わせ隣に座っている美貌の女(佐久間良子)に興味を惑かれます。また、見送人が誰もいず双方そらぞらしい感じの新婚夫婦に疑問をもちます。

熱海で村田通信員に迎えられた若宮は「鶴屋ホテル」に宿泊。その晩、431号室の彼の部屋に間違って黒い洋服を届けた男がいました。翌日、島内を訪ねた若宮は、室内で沈丁花の匂いを嗅ぎ、車中の女を思い出します。

その矢先、錦ケ浦で自殺事件。現場にとんだ若宮は、その死体が例の新婚夫婦で妻は失踪したと聞きます。また、その部屋は481号室。昨夜の男は自分の部屋と間違えたのだと知ります。この自殺に疑問をもつ若宮。

編集長、木谷(丹波哲郎)も若宮と同感。若宮と同僚の田原は社会部を外され、この事件を追うことになります。

数日後、「鶴屋ホテル」のフロント係春田が、名古屋の西山旅館で殺されました。やはり、連れの女がいました。

名古屋に飛んだ若宮は島内と偶然に逢います。その部屋には微かな沈丁花の匂いが・・・。

帰京した若宮は、新聞をみて驚きます。倉田という男が真鶴岬でニセ札をポケットに入れて惨殺され、その男は、若宮の部屋に洋服を間違えて届けた男だったからです。

事件の行方は・・・。

森永健次郎監督「恋人をさがそう」(1967年、81分)☆☆☆

2023-05-25 20:01:42 | 日本・1960年~


FB故障時(ほぼ一週間)にも続けていた映画鑑賞記録を貼り付けています。

原作は『平凡』に連載された大林清による同名小説です。

舞台は東京、そして九州の天草。

大学受験を目前にひかえた高校三年生でラグビー部のキャオウテン、伊地知哲夫(西郷輝彦)。母あつ子(奈良岡朋子)が交通事故で入院。幼時に父親をなくし、母の手一本で育った哲夫は、手術費を稼ぐためアルバイトを探します。

クラスメートで、自称、哲夫の個人的マネージャー、桂木田鶴子(梓英子)の父の世話で、彼は毎朝新聞の発送部でアルバイトの職を得ます。

哲夫は新聞社近くの喫茶店で受験勉強をするうち、ウェイトレスの佳子(五月女マリ)と顔なじみになります。そんな哲夫に嫉妬した同じ発送部で働く猿金(前野霜一郎)が、ある日突然いちゃもんをつけてきます。これを機会に、田鶴子の父は哲夫を発送部から編集局へ異動させます。哲夫にとって夢のような話でした。

その矢先、東京の女子大に通っている九州出身の鮫島幾子(松原智恵子)が哲夫を訪ねてきます。母と絶縁している義理の祖父・達之助(花沢徳衛)が哲夫に会いたいというのです。

哲夫は天草一の財閥・伊地知家を訪れます。頑迷な達之助の目論見は、哲夫を伊地知家の後継ぎにし、幾子と結婚させようというものでしたが・・・。

斉藤耕一監督「小さなスナック」(1969年、87分)☆☆☆★

2023-05-14 19:49:20 | 日本・1960年~



斉藤監督の歌謡青春映画です。

主要舞台は東京青山のあるスナック。

ひと夏が終り、初秋の小雨降るある夜、小さなスナックに三橋昭(藤岡弘)と仲間たちがたむろしていました。そこは、若者のたまり場。

昭はスナックの片隅にレインコート姿の、可憐な美樹(尾崎奈々)を目にとめます。彼女は人を待っている様子です。その夜は夏へのお別れパーティで、美樹は誘われて加わります。彼女に関心を持った昭は、パーティの後、美樹を家に送っていこうとしますが、何故か彼女は、名前以外は何一つ教えません。

昭はそんな美樹に次第に恋心を抱くようになります。何度かデートするようになったある日、昭は不意に逃げるように駆け去った美樹の後を追い、彼女の家をつきとめます。そこは「ミキ美容院」。昭は、美樹のような若い年齢で美容院を経営していることに、不審の念を抱きます。その日から、美樹は昭の前に現われなくなりました。

そんな時、仲間の江島が富士サーキットで行なわれたグランプリ・レースに優勝。祝賀会の後、美樹を忘れられない昭は霧雨の街を歩いていると、前に美樹が。二人はその夜、初めて口づけを交します。しかし、またしても美樹が昭の前から姿を消し・・・。


斉藤耕一監督「落葉とくちづけ」1968年、87分)☆☆☆

2023-05-13 23:20:26 | 日本・1960年~



斉藤監督得意の歌謡青春映画です。

タイトルはヴィレッジ・シンガーズの持ち歌。

信子(尾崎奈々)と仲間の五人組(ヴィレッジ・シンガーズ)は、学園祭で舞台にたち、それ以来、俳優になろうとします。しかし、信子に来る仕事は怪獣の着ぐるみかぶってCMに出るものばかり。

漫画家志望の田舎から出てきた純(藤岡弘)は、純情傾向の漫画を編集部に持ち込むものの、時代にあわないと追い返されます。優しく話を聞いてやるのは、編集部の亜紀(香川美子)。

純は恋人の信子を追って東京へ出てきたのでした。ペンキ塗りのバイトしながら漸く信子をみつけますが、信子自身は彼をしらないと言います。

純は五人組をモデルに漫画を描きます。五人組が髭を剃ると本物のヴィレッジ・シンガーズそっくりになり、取り違えられる事件が起こります。それも純の漫画の中のことらしく、現実と幻想の境界は次第に曖昧になり・・・。

信子は純に連れられて田舎へもどりますが、そこは荒れ果て、純のほうが記憶喪失だったらしいことがわかり・・・。


斉藤耕一監督「虹の中のレモン(1968年、87分)☆☆☆

2023-05-12 20:27:49 | 日本・1960年~



タイトルは本作品の準主演、5人組のヴィレッジ・シンガーズのナンバー。

舞台は、鎌倉にある前田邸。

前田邸は閑散としています。それというのも、主人、剛造(加藤大介)が出奔し、息子、健(竹脇無我)は家出。四年も消息がありません。この大邸宅の往人は老僕、吉岡(美川陽一郎)とその娘、民子(葉村エツ子)、それに彼女の友だちエミ(尾崎奈々)の三人だけでした。

エミと民子はこの前田邸を児童福祉に役立てようと考え、近所の子供を集め楽しい生活を始めます。子供たちは、当時の人気バンド、ヴィレッジ・シンガーズの演奏がききたいと難題を提案します。

その頃、ヴィレッジ・シンガーズの面々は、ボーナス休暇で鎌倉海岸に遊んでいました。彼らはそこで雑誌記者(中山仁)から音楽の勉強をしている前田健(竹脇無我)を紹介され、アルバイトのかたわら黙々と作詞作曲にうち込む健に好感を抱きます。

その日、令嬢に扮しグループ・サウンズを探していたエミはヴィレッジとも知らず、彼らに話をもちかけます。それから数日、健がふらりと帰って来ました。前田邸に滞在していたヴィレッジはびっくり仰天。エミの驚きはそれ以上でした。

やがて健とエミの間に恋が芽ばえます。


松田定次監督「任侠中山道」(東映京都、1960年、91分)☆☆☆★

2023-01-21 10:07:34 | 日本・1960年~


中仙道を舞台に、清水次郎長組と国定忠治組が繰り広げる人間の葛藤劇。両侠客組が協力して飢饉にあえぐ上州の民を助け、悪代官、悪貸元を懲らしめる物語です。

片岡千恵蔵、市川歌右太衛門、中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介、大友柳太朗ほか往年のスターの白熱の競演が見所です(わたしが子どもの頃、メンコで名前と顔だけ知っていた面々)。

甲州身延参詣の途中、和田島の多左衛門(薄田研二)と紬の文吉(黒川弥太郎)のもめごとの仲裁に入った清水の次郎長(片岡千恵蔵)は、多左衛門の身内である三馬の政右衛門(原健策)の密告により、百姓一揆後押しの嫌疑をうけます。

清水組は嫌疑が晴れるまで清水入りを見合せ、信州へ。小川の勝五郎(中村錦之助)の家にたどりつきますが、当の勝五郎はバクチに負けて一文無し。

一行は身内の小幡の初五郎(大友柳太郎)の家へ向かいます。街道には折からの凶作で売られてゆく娘たち。忠治一家の武井の浅二郎(大川橋蔵)の恋人おきん(丘さとみ)も、年貢がわりに代官所に差し出されました。

その頃、忠治(市川歌右衛門)は大戸の関所を破って信州へ。百姓を救おうと信州で米を買いつけます。上州へ送るためです。同じ頃、忠治と反目していた島の伊三郎(月形龍之介)も娘達を売り出すために信州へ向かいます。

この後、信州で忠治、次郎長、伊三郎が・・・。

渡辺邦男監督「民謡の旅 秋田おばこ」(東映、1963年、80分)☆☆

2023-01-18 10:15:21 | 日本・1960年~


ひばりの民謡映画シリーズのひとつ。ご当地ソングをたっぷり美声で披露してくれます。こまどり姉妹が共演。数曲、歌っています。

舞台は東京、会津若松、仙台、山形、そして秋田。

秋田出身の琴川原雪子(美空ひばり)は化粧本舗さくら堂のPRガール。販路拡大の目的で社員・白井(南廣)と東北へ向かいます。ライバルのスワン化粧品との激戦地域です。

車中で彼女はスワン化粧品の社長の息子・高田丈二(山下洵一郎)と会い、互いに同業者として意識します。彼も社長秘書・野見トリ子(中原ひとみ)と東北へ向かっていました。

雪子と丈二はそれぞれ社運をかけて、自社製品の販売キャンペーンを展開します。途中、仙台で雪子は評判の花売娘・マリを自社のPR娘に、丈二は喫茶店のウェイターのユリを獲得。マリとユリは実は双子姉妹でした(こまどり姉妹)。当然ふたりはそっくり。このことが、キャンペーン会場でのドタバタ騒動の原因になります。

東京ではスワン化粧品の社長・高田安兵衛(小川虎之助)がさくら堂買収を画策中。しかし、さくら堂のミチ社長(藤間紫)はこれに応ぜず、安兵衛社長は女性社員からも袋叩きにあいます。雪子と丈二はその事実を知り憤慨、同情、そして・・・。

映画作品としての出来はイマイチ。ひばりの唄と東北の素晴らしい自然の風景を背景に疾駆する蒸気機関車の勇姿に救われました。