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シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

クラレンス・ブラウン監督「アンナ・カレニナ」(アメリカ、1935年、93分)☆☆☆★

2021-11-17 21:33:32 | アメリカ・戦前


レフ・トルストイによる同名小説の映画化です。「アンナ・カレーニナ」は何度も映画化されています。グレタ・ガルボには、この作品の8年前に撮ったものがあります。サイレント映画です。他に、ヴィヴィアン・リー主演の作品(1946年)が有名です。ソ連にも国の威信をかけた、力のこもった作品があります。アレクサンドル・ザルヒ監督版です(1967年)。

あらすじは、大変、よく知られているので簡単に。

兄夫妻が離婚の危機に陥っているのを心配し、ペテルブルクのプラットフォームに降り立ったアンナは、そこでブロンスキー伯爵に偶然、出会います。アンナは政府高官・カリーニンの妻で、セルゲイという溺愛の息子がおり、ある意味、理想の女性でした。

そのアンナが伯爵と恋におち、伯爵との生活と息子への愛との間で揺れますが、結局、アンナのために軍隊を離れたブロンスキーと一緒になります。ベネチア旅行など、当初は仲睦まじい生活でしたが、ブロンスキー自身が田舎の生活にあき、義勇軍の誘いが入るとアンナに冷たくあたります。

よく知られたその結末は・・・。

ジェームズ・クルーズ監督「幌馬車(The Covered Wagon)」(アメリカ、1923年、110分)☆☆☆★

2021-11-14 20:52:30 | アメリカ・戦前


今から100年ほど前に製作されたサイレント映画です。エマーソン・ホークの小説が土台になっています。(邦題は幌「馬」車、となっていますが、映画を観ると車を引いている半分以上は「牛」でした)。

時は1848年という設定です。壮大な自然のなかに人間の愛憎を織り込んだ画期的作品です。

ミズーリ州・カンザス河畔のあたりで、ウィンゲート(チャールズ・オーグル)が指揮する幌馬車隊に、若いウィル(J. ウォーレン・ケリガン)率いる幌馬車隊が合流します。彼らは遙かオレゴンの新天地をめざし、出発します。

ウィンゲートの娘モリー(ロイス・ウィルソン)には婚約者サム(アラン・ヘール)がいましたが、好みではありません。地味な二枚目ウィルに好意をもっています。この愛のもつれを織り込みながら、壮大な幌馬車の旅が繰り広げられます。

希望の地をもとめての旅ですが、苛酷な行進です。一行はワイオミングの大平原を横断、ロッキー山脈の嶮を超えて進みます。苦難のために脱落者、仲間喧嘩が絶えません。幌馬車隊が河をわたるシーン、バッファローの大群の暴走、スケールの大きなシーンが続きます。

ようやくオレゴンに近づいたとき、カリフォルニアに金が出たという情報が飛び込んできます。幌馬車隊は二手に分かれます。初志を貫きオレゴンの沃地に向かうウィンゲート隊とカリフォルニアに向かうウィル隊です。この結末は・・・。

ウィリアム・デイターレ監督「ゾラの生涯(The Life of Emile Zola)」(アメリカWB、1937年、116分)☆☆☆

2021-10-14 23:43:16 | アメリカ・戦前


前半ではゾラがセザンヌと同居し、互いに文学と絵画で真実を描くことに情熱をもって作品に取り組んでいる様子が、後半ではゾラがドレフェス事件とかかわり、ユダヤ人・ドレフェスの無罪を勝ち取るまでが描かれます。

舞台は19世紀末のパリ。

若き日のゾラは屋根裏部屋でセザンヌと生活していました。真実を追究することに性急だったゾラは、ようやく得た出版社での職を失います。ある日、警察に追われていた巷の女・ナナを救い、彼女の身の上話を小説に仕立てて大好評を得ます。続いて執筆した「ルーゴン・マッカール叢書」で、ゾラは文豪としての富と名声を確立します。

その頃、ドレフェス事件が起こります。この事件は、陸軍の機密を他国にもらしていた人物をつきとめることができなかった軍首脳部が、ユダヤ人のドレフェス大尉(ジョセフ・シルドクラウト)を犯人にでっちあげ、彼を反逆罪の実刑で悪魔島へ幽閉した、というものです。

彼の無罪を信じる妻(ゲイル・ソンダーガード)の姿に心を動かされたゾラは義憤をもって立ち上がり、「われ弾劾す」の一文を新聞に投稿し、

ドレフェス事件の真相究明、再審を訴えますが・・・。

本作品は第10回アカデミー賞・作品賞を受賞しました。

ヴィクター・フレミング監督「風と共に去りぬ(Gone with the Wind)」(アメリカ、1939年)☆☆☆☆☆

2021-05-13 22:35:24 | アメリカ・戦前
 
ベストセラーになったマーガレット・ミッチェルの同名の小説が映画化された作品。

題名はアーネスト・ダウスンの恋愛詩「シナラ」からとったもの。映画の冒頭のメインタイトルでスタッフ・キャスト等のテロップの後に、このダウスンの詩の一句が出てくる。

物語の舞台はアメリカ南部ジョージア州タラ。時代は1861-1873年、南北戦争開戦から戦後の復興期までである。

裕福な家庭で不自由なく育ったスカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)。好きな男性を虜にするすべを心得ていて、町中の男が彼女に夢中だった。

しかし、彼女には芸術や文学を愛する貴公子アシュリ・ウィルクス(レスリー・ハワード)という本命がいた。自信家のスカーレットはアシュリと結ばれることを願っていた。ところが、信じられないニュースが入ってくる。ウィルクス家の舞踏会でアシュリとメラニー・ハミルトンの婚約発表があるという。

スカーレットの心中はおだやかでなかった。婚約パーティの日、自分から告白すればアシュリの気が変わるはずと、書斎で2人きりになり告白するも拒否される。プライドを傷つけられた彼女はアシュリを罵り、陶器をつかんで暖炉に投げつけた。すると、暖炉の前のソファから社交界ののけ者レット・バトラー(クラーク・ゲーブル)が登場する。ハラハラドキドキの展開はこのあとに・・・。

ハワード・ホークス監督「光に叛く者(The Criminal Code)」(アメリカ、1931年、96分)☆☆☆★

2021-02-27 21:28:33 | アメリカ・戦前


今から90年ほど前、サイレントからトーキーに変わり2年ほどたっての作品で、短期間にここまで映画が進化したのかと、驚きです。

原題の The Criminal Code は、訳すと「刑法」。

アメリカ映画には「刑務所もの」「裁判もの」のジャンルの存在感ある作品があります。日本映画では希です。前者の代表作は「大脱走」「ショー
シャンクの空に」など、後者のそれは「十二人の怒れる男」「真実の瞬間(とき)」などです。

本作品は「刑務所もの」のはしりです。

ガールフレンドが男に侮辱されて、その男をはずみで殴り殺してしまった青年・ロバート(フィリップス・ホームズ)は、10年の懲役刑に処せられ、監獄生活が始まります。しかし、苛酷な作業で体をこわしたため、刑務所長・プレディ(ウォルター・ヒューストン)のはからいで所長専属の運転手に起用されます。そのうち、彼は所長の娘・メアリー(コンスタンス・カミングス)と恋仲になります。

監獄では脱獄騒ぎが起こります。看守に密告した者が殺められます。その犯人が誰かを知っているロバートは、次第に追い詰められていきます。執拗に告白をもとめられますが、ロバートは口をわりません。ために、再び独房に投獄されます。メアリーは所長に釈放を懇願しますが・・・。
 
 

レオ・マッケリ-監督「邂逅(めぐり逢い、Love Affair)」(アメリカ、1937年、88分)☆☆☆☆

2020-12-28 11:04:15 | アメリカ・戦前


大富豪令嬢との婚約が決まった絵描きのミシェル・マルネー(シャルル・ボワイエ)は、ヨーロッパからアメリカへ向かう豪華客船での旅の途中、一人旅を楽しむテリー・マッケイ(アイリーン・ダン)と知り合います。テリーにもすでに実業家の婚約者・ケンがいました。ふたりは船内で、意気投合し、急接近します。

船はポルトガル領にあるマデイラ島に数時間停泊します。二人はそこでミシェルの祖母の家を訪ねます。テリーは職業が不安定なミシェルが善き伴侶と出会うことを望んでいることを知ります。テリーは祖母の伴奏で「愛の喜び」を歌いました。

ニューヨークへの到着を明日に控え、ミシェルは半年後の7月1日の午後5時に、エンパイアステートビル102階の展望室で再会しようと約束します。
さて、この二人は・・・?

同じレオ・マッケリー監督は1957年に「めぐり逢い(An Affair to Remember)」(ケーリー・グラント、デボラ・カー主演)をリメイクしました。また1993年にはノーマ・エフロン監督が「めぐり逢えたら(Sleepless in Seattle)」(トム・ハンクス、メグ・ライアン主演)で同じような設定の作品を作りました。後者は12月12日付のわたしのFBで紹介しました。

アルフレッド・ヒッチコック監督「ウインナー・ワルツ」(イギリス、1933年)☆☆☆

2020-12-19 23:44:12 | アメリカ・戦前


ヒッチコック監督、34歳のときの作品です。音楽家ヨハン・シュトラウス二世が名曲「青く美しきドナウ」を作曲するまでが描かれています。父一世との確執も盛り込まれています。

サスペンスの巨匠が若い頃に挑戦したオペレッタ・スタイルの作品で、珍しいものです。その後のいわゆるヒッチコック・タッチはみられません。
ヨハン・シュトラウス父子は、伯爵夫人(フェイ・コンプトン)の庇護のもとで作曲にいそしんでいました。夫人は、息子のシャニ(エズモンド・ナイト)がパン屋の娘ラジ(ジェシー・マシューズ)と恋人関係にあることを妬んでいます。そして、あろうことか、シャニと駆け落ちしようと言い出す始末。事情を知ったラジは悩み、「美しき青きドナウ」初演の日に、シャニのもとを去ります。

この顛末は・・・?

事態は一転します。

画像は、パン屋の娘ラジを演じたジェシー・マシューズ。

アルフレッド・ヒッチコック監督「第三逃亡者(Young and Innocent)」(アメリカ、1937年、85分)☆☆☆

2020-12-14 23:01:26 | アメリカ・戦前


ヒッチコック作品には、普通に暮らしている人が事件に巻き込まれていくタイプの物語があります。この作品は初期のこのタイプの典型です。

女優クリスティンが夫のガイ(ジョージ・カーゾン)に殺されます。死体を発見したクリスティンの知人・ロバートに疑いがかかり、公判にかかります。凶器のレインコートのヒモがロバートのものだったことが致命的でした。

無実を主張するロバートは、公判中に逃亡。警察署長の娘・エリカ(ノーバ・ビルムーム)に事情を話し、一緒にレインコートの行方を追います。エリカも事件に巻き込まれていきます。

事件の真相究明、場所の移動、サスペンスと密着したユーモア、華麗なカメラワークなど、ヒッチコックタッチが随所に。

アルフレッド・ヒッチコック監督「下宿人」(イギリス、1926年、80分)☆☆☆

2020-12-11 23:49:26 | アメリカ・戦前


監督27歳のときのサイレント映画です。スリラー・サスペンス作品です。

舞台はロンドン。ここでブロンドの女性だけがねらわれる事件が頻発します。

下宿を営業している老夫婦のところに、ある青年(アイヴァー・ノベロ)が投宿にきます。室内を歩きまわったり、夜間に外出したり、不審な行動がみられます。この間にも、同じような事件が続きます。

下宿屋には娘・デイジー(ジューン)がいて、そこにくる刑事(マルカム・キーン)はどうも彼女に気があるようです。また、青年も彼女と親しくなり、ある夜、一緒に夜の散歩にでます。刑事は帰宅した彼を逮捕します。部屋を調べると、タンスに拳銃が、そして鞄からは事件が起きている付近の地図が。

青年は無実を訴えますが、聞き入れてもらえません。実は・・・・。

サスペンスをもりあげる映像が随所に。後年のヒッチコックマジックが萌芽的にみられます。

ジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督「モロッコ」(アメリカ、1930年、95分)☆☆☆★

2020-08-30 21:39:05 | アメリカ・戦前
   

舞台は、タイトルのとおりモロッコ。

外人部隊に属するトム・ブラウン(ゲイリー・クーパー)は、ある日、酒場でアミー・ジョリー(マレーネ・ディートリヒ)という歌手に出会い、その美貌に惹かれます。

しかし、セザール副官が妻とトムの過去の関係を耳にし、懲罰としてトムを最前線に送ることを決めます。トムはアミーにしばしの別れを告げに行きます。その場で彼は、金満家のベシエール(アドルフ・マンジュー)がアミーに求婚していることを知ります。

ベシエールと婚約することになったアミーでしたが、トムが戦線で負傷したと聞くと、・・・・ 最後のシーンは、映画史で語りつがれています。あろうことかアミーが・・・。
 
 

フランク・キャプラ監督「ある夜の出来事(It Happened One Night)」(アメリカ、1934年、105分)☆☆☆★

2020-08-04 21:43:30 | アメリカ・戦前


「スクリューボール・コメディ」の代表的作品です。この用語は、男女の恋がいろいろな事件のなかでどこに飛んでいくかわからない(今で言うハラハラドキドキ)、という意味です。アメリカで1930年から40年代にかけてはやったコメディの型です。

この作品は、大富豪の父親から望まぬ結婚を押しつけられたことを嫌って家出した娘エリー(クローデット・コルベール)が、上司とウマが合わず失業中の新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)と一緒に逃避行する羽目になり、恋におちいるというものです。

身分違いの男女の恋の行方、スピード感ある展開、気の強い女性が男性と対等の立場で交わす軽妙な会話といった要素がもりこまれています。

キャプラ監督は、映画製作がトーキーの時代になってわずか5年で、そのリテラシーを習得し、鮮やかなストーリー・テラーとしての才能を開花させました。

アカデミー賞では主要5部門を独占しました(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)が、この記録はその後 1975年の「カッコーの巣の上で」まで達成されませでした。

ウィリアム・A・ウェルマン監督「つばさ(Wings)」(アメリカ,1927年)☆☆☆★

2020-02-11 20:28:59 | アメリカ・戦前
  

今から90年以上前の作品。

作品が公開された1927年はリンドバークによる大西洋横断飛行の快挙があり,「つばさ」はおりからの航空技術の進歩を背景に、熱狂的に受け入れられた。

ストーリーはアメリカの第一次世界大戦参戦を契機に空軍に志願した2人の兵士ジャック(チャールズ・ロジャース)とデヴィット(リチャード・アーレン)の友情と悲劇という形で展開される。 

連合軍総攻撃に先立つ任務で,デヴィットは単独で敵機とわたり合うこことなった。搭乗した機体は被弾,自分も狙撃され負傷。飛行機は,マッド河に不時着。近くの飛行場で敵機を乗っ取って帰還しようとしたが,ジャックがこれを敵機と誤解して攻撃。デヴィットは重症をおい,最後はジャックの腕の中で死ぬ。

ジャックは故郷に凱旋し,デヴィットの両親を訪ねた。デヴィットの母親の言葉,「戦争が悪い」。友達の一方が他方を誤射し殺してしまう戦争の悲劇が,ジャック,デヴィット,シルヴィア(ジョビナ・ラルストン),メリー(クララ・ボウ)の恋愛関係をとり込んで巧みに展開されている。

若きゲーリー・クーパーが,見習い飛行士のワイト役でチョコレートをかじって訓練飛行にむかうシーンに登場している。第1回(1927-28年度)アカデミー賞作品賞受賞。

アラン・クロスランド監督「ジャズ・シンガー(The Jazz Singer)」(アメリカ、1927年)☆☆☆

2019-10-16 23:09:48 | アメリカ・戦前
サイレントとトーキーが入れ替わるころの1920年代後半の作品です。この映画でも全体の3分の2ほどが画面展開に説明文字を挟む従来のサイレント版、残りの部分が歌の入るトーキー版です。世界最初のトーキー映画といわれています。

内容は、ユダヤ教の厳格な父に育てられた少年ジェイキーが、家出してジャズ・シンガーとなり、成功をおさめ、父の死の直前に和解するというもの。

ラストシーンは、ショーでの舞台です。黒人風に黒塗りのメークアップでジェイキー(アル・ジョンソン)が母親の前で唄う「マミー」は、情がこもって秀逸です。

マーク・サンドリッチ監督「トップ・ハット」(アメリカ、1935年, 99分)☆☆☆★

2019-10-15 10:44:36 | アメリカ・戦前


洒落たストーリィに加え,アステアらしい独特のタップとジンジャー・ロジャースとの優雅なダンスとが盛りだくさん。ふたりの作品のなかでも、充実した時期の、出来栄えのよい傑作です。

シルク・ハット(トップ・ハット)と燕尾服姿は,アステアにぴったりの出で立ち。同じ服装の男性ダンサーを従えステッキという小道具を使ったマシンガン・ナンバーは,魅力的です。タップの音をマシンガンの音に見立てているところがユニークなところ。

アメリカ・ブロードウェイからロンドンの興行師ホレース・ハードウィックの招きでロンドンやってきた伊達で粋なダンサー,ジェリー・トラバース(フレッド・アステア)は,モデルのデイル(ジンジャー・ロジャース)に人目惚れ。涙ぐましい努力の末,気の強いテイルの心をとらえることに成功。

しかし、ある誤解からデイルは彼が既婚者であると思い込み、当て付けに別の男と結婚してしまいます。

誤解が誤解をよんで、ストーリは本人たちも予想外の方向に進みます。この結末は?

ヘンリー・コスター監督「オーケストラの少女(One Hundred Men and A Girl)」(アメリカ、1938年)☆☆☆☆

2019-09-24 23:14:45 | アメリカ・戦前
 
天才少女歌手と騒がれたダイアナ・ダービン、指揮者で当時の最高権威であったレオポルド・ストコフスキー、そしてフィラデルフィア交響楽団が出演し話題となった作品です。全編に少女の希望と行動、人間の善意が溢れ、心が温まります。原題は「100人の男と少女」。

冒頭、レオポルド・ストコフスキー指揮、フィラデルフィア交響楽団によるチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」第4楽章が流れます。
失業中のトロンボーン奏者、ジョン・カードウェル(アドルフ・マンジュー)を父に持つパトリシア[愛称パツィ](ダイアナ・ダービン)は、父に再び楽団で演奏できる機会をつくってあげたいと願っていました。ジョンはいくつかのオーケストラに楽団員として雇ってくれないかと頼みにまわっていましたが、どこにも相手にされません。しかし、フロスト夫人が失業者楽団を結成し、ジョンもそこに加わります。

パツィは一計を案じ、楽団の指揮をストコフスキーに依頼しようと奔走します。ストコフスキーがオーケストラのリハーサルをしている場所に乗りこみ、パッツイはそこでモーツァルトの「ハレルヤ」を歌い、交渉のきっかけを得ます。しかし、ストコフスキーには既に半年間の欧州旅行の予定が入っていて、失業者楽団の指揮は断られます。しかし、パツィは粘り強く交渉します。

パツィの強引なやり方に、当初は不快感を示していたストコフスキーでしたが、熱意にほだされ、失業者楽団がストコフスキーの前で「ハンガリー狂詩曲第2番」を演奏すると、彼の手がしだいに動き出し、やがていつもの力のこもった指揮をとりはじめます。

ストコフスキーは少女の願いを全面的に受け入れ、楽団員はホールで彼の指揮のもと、感激で胸一杯の演奏をしました。パツィはストコフスキーに挨拶を求められます。その時、聴衆のタクシー運転手から「歌ったらどうだい!」と声がかかります。幸運を感謝し、喜びの涙で頬を濡らしながらのトラヴィアータを歌う少女パッツィ。いつまでも胸に残る感動的なラストシーンでした。