日本語はとても難しい言語です。漢字・片仮名・平仮名を使い分けないといけない上に、漢字にはそれぞれ意味を持たせている為に同音異義語が多数あります。記述してあれば判断が付くものも、会話の中で出てくれば前後の文脈を理解しながら感じなければなりません。
ちなみに、「もやし」の漢字表記は『糵』ないしは、『萌やし』だそうです。
そして、時間の経過とともに本来の意味が、取り違えられている内に段々と変わってしまったという言葉が数多くあります。しかし、正しい日本語をできるだけ使いたいという考えがあるなら、その言葉の持つ本当の意味を理解しておく必要があると思います。
そこで、思いつくままに意味を取り違えられやすい言葉を取り上げて研究してみようと思います。
出典:https://tashlouise.info/日本語/6734.html
『破天荒将軍』は「暴れん坊将軍」とは違う!?
折角なので朝ドラから題材を取り上げてみました。『破天荒』に「豪快」「大胆」と形容するような意味はありません。『天荒』は、「未開の地」とか「雑草が生い茂るような荒地」を意味します。つまり、未開の土地を切り開いた先駆者を意味する言葉が破天荒です。
「世を収めんが為に天荒を破る」という破天荒将軍の決め台詞はかなり意味深だと言えそうですね。
また、破天荒はネガティブな現象には使用しません。ここも間違わないように注意が必要です。
にほんブログ村
では、何点か調査した結果を記します。
①『琴線に触れる』
『良いものや素晴らしいことに接して感銘を受ける』というのが正しい意味で、これを間違う人はいないと思っていましたが「逆鱗に触れる」と混同して「怒りを買う」ことの意味で使っている人が結構な割合で存在するようです。ご注意ください。
②『なし崩し(済し崩し)』
「有耶無耶にして曖昧に終わらせる」ような意味で使われることが多くなったように思われますが、本来の意味は全く逆です。
「借金を済し崩しにする」という言葉の意味は『コツコツと少しずつ返済する』ことです。つまり、『済し崩し』とは『物事を少しずつ着実に済ましていくこと』というのが正しい意味です。
③『失笑』
「笑いも出ないほど呆れているさま」というのは間違いです。『失笑』の本来の意味は『思わず笑い出してしまうさま』でこらえきれずに吹き出してしまうことでどちらかというと「爆笑」に近い意味を持ちます。
④『姑息』
「卑怯」という意味はありません。『姑息』とは『一時の間に合わせ』とか『その場しのぎ』というのが正しい意味で、ネガティブな表現ではありません。
⑤『御の字』
「満足ではないが何とか納得できる」という意味は間違いです。『御の字』とは『非情に結構なこと』『十分満足できること』『最上の結果』というのが正しい意味です。素晴らしいことで非常に満足している、というときに『御の字』を使うのが正しいとされます。
⑥『すべからく』
「全て」「皆」という意味で使っていることが多いのですが、『すべからく』の本来の意味は『当然為すべきこととして』という意味で使われないといけません。日本人の4割ぐらいが間違った使い方をしている言葉なので注意が必要です。
⑦『やぶさかでない』
やぶさかを漢字表記すると『吝か』と書きます。「仕方なくやってもいい」というような意味で使われがちですが、『やぶさかでない』の本来の意味は『どちらかというとやりたい』『むしろやりたい』というもので、肯定的、積極的な行動意思を示す言葉と言えます。
⑧『したたか』
『したたか』を漢字表記すると『強か』になることはご存知だと思います。つまり『したたか』とは『強い』という意味で「抜け目ない」とか「ずる賢い」という意味ではありません。ただ、イメージが良くない言葉と取られやすいので誉め言葉で使うのは避けた方が良さそうです。
⑨『杞憂』
『無用の心配』が『杞憂』の意味ですから、心配して当然の状況で杞憂を使うことは間違いと言えます。
⑩『二つ返事』
『二つ返事で引き受ける』というのは『すぐに快諾する』ことで、「しぶしぶOKする」という意味ではありません。そして、「一つ返事」という言葉は存在しませんからご注意ください。
⑪『とんでもない』
『とんでもない』で一つの形容詞ですから「とんでもございません」というのは間違いです。丁寧な言葉にするなら『とんでもないことでございます』というのが正しいとされています。ただ、多くの方が誤用してきたことで、最近では「とんでもございません」を使っても問題ないとされるようになりました。
⑫『割愛』
『割愛』とは『必要なのだけれど惜しんでカットする』という意味です。「不要な個所を切り捨てる」という意味で使うと間違いです。「省く」とか「省略」とは違って『愛を割る』のですから『泣いて馬謖を斬る』に近い言葉と言えそうです。
⑬『おっとり刀』
「ゆったり」とか「のんびり」しているさまではありません。『おっとり刀で駆けつける』というのは『とるものもとりあえず大急ぎで駆けつける』という意味です。『おっとり』は『押っ取り』と書きます。刀を大急ぎで掴んで、腰に差す暇もなく駆けつけることを表しています。決して「重役出勤」とか「真打登場」などのように使ってはいけません。
⑭『役不足』
役目が実力不相応に軽いこと、与えられた役目に満足しないことです。最近ではよく耳にするのでご存知の方も多いことでしょう。本人の「力不足」という意味で使うと間違いになります。
⑮『閑話休題』
「お話変わって」とか「箸休めに」などの意味で使われることが多いのですが、本来の意味は真逆で『余談を打ち切って、本筋にもどる意を表わす』言葉です。『余談はさておき』という意味で使うのが正しいとされます。このブログの中では、そういう意味で繰り返し使わせていただいております(笑)
⑯『晴耕雨読』
晴れた日は畑に出て耕作し、雨の日は家にいて読書するということですが、「文武両道」ですべてに頑張るさまととらえると誤用の恐れがあります。『悠々自適』な暮らしを意味するので注意が必要です。
にほんブログ村
ここで取り上げるのはこれぐらいにします。また、機会があれば続編を考えています。期待しないでお待ちください(笑)
よろしくお願いします。