「達成感と充実感がある。1回で成功できたことは本当にうれしい。しっかり稽古ができたので自信もあった」

千秋楽は横綱豊昇龍に屈し、自身初となる15戦全勝を逃した。それでも、4度目の優勝に「1回目より徐々に慣れてはきた。でも、何回優勝しても、うれしいことはうれしい」と語った。

日本出身の横綱誕生は、師匠で平成29年初場所後に昇進した稀勢の里(現二所ノ関親方)以来8年ぶり。師匠の師匠だった元鳴戸親方は元横綱隆の里。隆の里の師匠は「土俵の鬼」といわれた元横綱初代若乃花の二子山親方。「45代」「59代」「72代」そして大の里が「75代横綱」へ。関係性や濃密度が明確な直系4代の横綱の系譜は極めて珍しい。

出羽海一門にも常陸山−常ノ花−佐田の山−三重ノ海−武蔵丸の譜系が残る。だが、佐田の山にとって師匠常ノ花は最晩年期にあたり、実際は8代出羽海(元幕内出羽ノ花)との縁が深い。

大の里は今場所の取り口を「右も左も、手の使い方が完璧だった。相手をうまくコントロールできた。自然に体が動いてくれた。親方のことを信じて頑張っていきたい」。大の里には過去3代、一本の線につながる元横綱のエッセンスが伝わっている。(奥村展也)