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マーケティング研究 他社事例 339 「人口が増え続ける町5」 ~一見何の変哲もない町の秘策とは~

2019-04-12 08:33:21 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 339 「人口が増え続ける町5」 ~一見何の変哲もない町の秘策とは~


東川町は、海外からも人引き付ける戦略に乗り出し、着実にパイプを太くしています。

2009年、町は韓国から日本語を学びに来る学生の短期留学制度を作り、次第に対象地域を拡大していきました。

すると、店員割れを起こしていた町内の福祉専門学校が、日本語も習得できるよう、2014年に「日本語学科」を開設し、1年半・2年のコースを設けました。

背景には、町が姉妹都市協定を複数結ぶなど、元々、国際交流が盛んだったことがあるのですが、そこで東川町は大きな決断をするに至るのです。

2015年、全国初の町立の日本語学校を設立し、3か月以下の短期コースから、半年・1年といった長期コースまで幅広くカリキュラムを編成し、台湾や韓国、ベトナムなどのアジア諸国から生徒を引っ張って来ています。

さらに姉妹都市協定を結ぶラトビアなどからも若者を受け入れています。

これまで町全体で、短期と長期を合わせて3000人を受け入れて来ました。

東川町に住んだ人たちの中には、母国に戻ってから、「東川町海外事務所」を立ち上げる人もいるようです。

OBが新たな留学生を募集し、必要な書類の準備を手伝っています。

海外と東川町の交流の橋渡し役を担っているようです。

最近では、他の自治体と連携した外国人流入の仕組みも構築しています。

2018年11月に「ゴミを出さない町」として知られる鹿児島県大崎町と業務提携を結んだのです。

大崎町はインドネシアなどからリサイクル関連の人材を受け入れていますが、赴任前に東川町に送り込んで1年間の日本語教育を受けさせる予定です。

新しい施策を打ち、人のつながりを作り続け、いつか東川町に移住するかもしれない「予備軍」を増やし続ける。

そんな東川町は、「人口減少はやむをえない」と受け入れてしまっている多くの自治体を横目に、次々と戦略を展開していっています。

その東川町役場には、アイデアを出し、やり抜くための合言葉があります。

「3つの無いはない」

おまじないのような響きですが、その内訳は以下の3つの掟です。

「予算がない」

「前例がない」

「他ではやっていない」

この3つの言葉を言ってはいけないという事です。

たとえ予算が無くても、資金調達先を考え抜けばいいし、実際、町は2人の副町長が、国が出す多くの補助金制度を使えるものがないか、くまなくチェックしていると言います。

2008年度は46億円だった町の歳入も、2017年度には99億円にまで達しています。

その裏では、町役場の職員が「営業担当」として、全国各地をかけずりまわって企業から協賛金を取り付けてくる努力も怠っていません。

突飛なアイデアから地道な努力まで、北海道の片田舎は、人のつながりを強める施策を打ち続けているのです。

根底には、合併を拒否し、地元の自然と伝統を次代につないでいくという強い意志があります。

北海道の小さな自治体の取り組みは、この国の未来の在り方をも示してくれているのかもしれませんね。


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