(211)発砲
四百字詰原稿用紙換算9枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ちあがるように書いてあります。季節の設定は常に真夏である
登場人物
香山房江(40)170㎝。グラマーでむせかえるような色気を放つ美女。修一と深い仲になったのを機に離婚し今は独身。37話から登場。
ヤクザの組長と若頭(共に50)首まで入れ墨を入れた超悪相。
アベックの男女(共に25)
謎のライダー
黒の皮のツナギを着てシールドがミラー仕様のメットを被ってるので顔は分からない。
N=ナレーション
口に銃身を突っ込まれて口を血まみれにして怯え、
組長「ぐえっ、あ、謝るからゆるじでぐださい・・・」
アベックに振り向き、
男 「こう言ってるが、どうする?」
アベックの男は怯えて何も言わぬが、女は毅然と顔を振り、
女 「私は許しません」
注、修一と房江は最後までリードに跨ったまま見物している。
それを見て感心し、
修一「ほう、こういう場面では男より女の方が腹が据わるもんじゃのう」
女 「あちこちで因縁をつけて人を恐怖に陥れてるに違いないから絶対許さない」
メグロの男、頷く。
男、組長の膝に銃口を突きたてる。
組長「お、おい、やめ・・・」
組長、膝をズシュと打ち抜かれ「きええーっ」と絶叫。
感心し、
修一「脅しと思ったら撃ちよったか・・・」
組長、もう一方の膝もズシュと撃たれ、それを見て若頭が戦慄する。
上半身を車内につっこんで若頭に、
男 「お前だけ無傷じゃ格好がつかないだろ?」
若頭「(狼狽し)い、いえ、そんな事は・・・」
若頭、両の膝をズシュ、ズシュと打ち抜かれ「ぎええー」と絶叫する(この時、銃口の先のタオルが燃える)。
男、車外に腕を出して火がついて燃えるタオルを悠然と振って消す。
車内を覗いて悶絶する二人に、
男 「これで終わりだと思うか?」
組長が、えっという顔をする横で、
若頭「(半泣きで)土下座でもなんでもしますからもう許してください」
男 「お前らの土下座なんか一文の値打ちもない」
男、若頭の額に銃口を突きつける。
カチッと撃鉄を起し、
男 「死ね」
あわや撃ちかけた男の腕にすがり、
女 「まって下さいっ」
女 「この人達も後悔してるようだからもう許してあげて下さい」という女の腕を掴み、アベックの片割れの男が、
片割れ「なにも止めなくったって」
片割れ「捕まってもすぐ出て来るんだからいま始末してもらった方がいいじゃないか」
愛想がつきたように片割れの手を振り払い、
女 「さっきまで震えて一言も抵抗できなかったくせに今さら何いってんのよ」
男に、
女 「どうかお願いですから助けてあげてください」と懇願する。
男、女を凝視する。
男 「本気で言ってるのか?」
男 「こんなクズ共を生かしといても害にこそなれ、なんの益にもならないぞ」
女 「本当にもう気がすみましたから。助けてあげてください」
男 「うむ・・・あんたがいいと言うんならいいが・・・」
男が額から銃を引っ込めると涙ぐむ組長と若頭がほっとした顔をする。
バイクに戻る男を見て、
房江「なんだか修ちゃんを見てるみたい・・・」
バイクに跨ろうとした男が修一に気づく。
男、時が止まったかのように修一を凝視。
ミラー仕様のシールドに修一の顔が写ってる絵のアップ。
男、狼狽したようにエンジンをかける。
男、もう一度修一に振り向く。
そして逃げるかのように走り去ってゆく。
房江の肩を軽くぽんと叩き、
修一「正義を成したとはいえ発砲の証拠を残しちゃまずかろう?」
修一「周囲の防犯カメラのデーターを消すように命令してくれ」
房江「(頷き)はい」
房江「五キロ圏内の防犯カメラと全車のドラレコのデーターを消して」と命令する。
房江のメットの耳部に「了解しました」と応答アリ。
風防に様々な記号が目まぐるしく映し出される。
メットの耳部から「全てのデーターを消去しました」と応答があり、房江が「ご苦労様」と返答する。
無意識に房江の二の腕の内側を右手で摩りながら、向こうで追いすがる片割れの男の腕を女が怒って振り払ってるのを見て、
修一「あのアベックは破局じゃのう・・・」
修一「面白い余興じゃったが、さて昼飯を食いにゆくか」
房江「はい」
アクセルを回し「プルン」とエンジンをかける房江の手のアップ。
走行するリードを後方から描いた絵。
修一が左手を房江の腹部に宛て、右手で房江の右手の二の腕の内側を触ってる絵のアップに会話、
「さっきからそこを触ってるけどそんなに気持ちいい?」
「うん。むちゃくちゃ気持ちいい」
房江「太腿とどっちが気持ちいいの?」
嬉しそうに、
修一「太腿!」
不思議そうに、
房江「同じ肌なのにどう違うの?」
修一「太腿の根本には気持ちいい物がついちょるが、腕のつけ根には裂け目がないけんね」
房江「(頬を染め)ふふ、そういう事か・・・」
市街地の絵。
建物の影に隠れるように男がメグロに跨ったまま停止している。
眼前を走り去るリードを男が目で追う。
リードの右ミラーに50m後方を追走してくるメグロが写ってる絵のアップ。
ミラーを見てメグロに気づき、
房江「さっきのメグロがついてくるわ」
房江「修ちゃんをじっと見てたけど何か用があるのかしら?」
意にも介さず、
修一「ほっちょけ。用がありゃ向こうから接触してこようで」
房江「はい」
繁華街の絵。
高級レストランの前にリードが停めてある。
離れた所からメグロに跨ったまま男がレストランを見ている。
夜。修一宅の外観。
同、室内
机上のJBLのスピーカーから♪が流れている絵。
注、裸にトランクス姿の修一が机の椅子に掛け、矢沢永吉の『成りあがり』を読んでいる。
『成りあがり』の表紙のアップ。
本を読みながらボロボロ涙を流し、
修一「うぐ・・・」
修一「歯が痛いのに治療費を工面できんこの場面・・・何回読み返しても泣いてしまうわ」と、むせび泣いてたら「ピンポーン」とチャイムが鳴る。
手の甲で涙を拭いながら玄関の方を見て、
修一(房江か、三発じゃ足りず追加のおねだりですか?)
修一「はーい。いらっしゃ~い」と喜色満面でドアを開けたらメグロの男がメットを被ったまま立っていた。
修一「ほう」と不敵な表情で少し感心する。
修一の無表情の顔が写ったシールドを凝視し、
修一「俺をつけて家を探し当てたか?」
少し迷惑そうに、
修一「なんの用かねえ、いま読書中なんじゃが」
男、無言でメットの顎紐をカチッと外す。
メットを脱ぎながら頭を振って長い髪をフワリと降ろした美しい早苗の全身を大ゴマで描いた絵。
つづく
四百字詰原稿用紙換算9枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ちあがるように書いてあります。季節の設定は常に真夏である
登場人物
香山房江(40)170㎝。グラマーでむせかえるような色気を放つ美女。修一と深い仲になったのを機に離婚し今は独身。37話から登場。
ヤクザの組長と若頭(共に50)首まで入れ墨を入れた超悪相。
アベックの男女(共に25)
謎のライダー
黒の皮のツナギを着てシールドがミラー仕様のメットを被ってるので顔は分からない。
N=ナレーション
口に銃身を突っ込まれて口を血まみれにして怯え、
組長「ぐえっ、あ、謝るからゆるじでぐださい・・・」
アベックに振り向き、
男 「こう言ってるが、どうする?」
アベックの男は怯えて何も言わぬが、女は毅然と顔を振り、
女 「私は許しません」
注、修一と房江は最後までリードに跨ったまま見物している。
それを見て感心し、
修一「ほう、こういう場面では男より女の方が腹が据わるもんじゃのう」
女 「あちこちで因縁をつけて人を恐怖に陥れてるに違いないから絶対許さない」
メグロの男、頷く。
男、組長の膝に銃口を突きたてる。
組長「お、おい、やめ・・・」
組長、膝をズシュと打ち抜かれ「きええーっ」と絶叫。
感心し、
修一「脅しと思ったら撃ちよったか・・・」
組長、もう一方の膝もズシュと撃たれ、それを見て若頭が戦慄する。
上半身を車内につっこんで若頭に、
男 「お前だけ無傷じゃ格好がつかないだろ?」
若頭「(狼狽し)い、いえ、そんな事は・・・」
若頭、両の膝をズシュ、ズシュと打ち抜かれ「ぎええー」と絶叫する(この時、銃口の先のタオルが燃える)。
男、車外に腕を出して火がついて燃えるタオルを悠然と振って消す。
車内を覗いて悶絶する二人に、
男 「これで終わりだと思うか?」
組長が、えっという顔をする横で、
若頭「(半泣きで)土下座でもなんでもしますからもう許してください」
男 「お前らの土下座なんか一文の値打ちもない」
男、若頭の額に銃口を突きつける。
カチッと撃鉄を起し、
男 「死ね」
あわや撃ちかけた男の腕にすがり、
女 「まって下さいっ」
女 「この人達も後悔してるようだからもう許してあげて下さい」という女の腕を掴み、アベックの片割れの男が、
片割れ「なにも止めなくったって」
片割れ「捕まってもすぐ出て来るんだからいま始末してもらった方がいいじゃないか」
愛想がつきたように片割れの手を振り払い、
女 「さっきまで震えて一言も抵抗できなかったくせに今さら何いってんのよ」
男に、
女 「どうかお願いですから助けてあげてください」と懇願する。
男、女を凝視する。
男 「本気で言ってるのか?」
男 「こんなクズ共を生かしといても害にこそなれ、なんの益にもならないぞ」
女 「本当にもう気がすみましたから。助けてあげてください」
男 「うむ・・・あんたがいいと言うんならいいが・・・」
男が額から銃を引っ込めると涙ぐむ組長と若頭がほっとした顔をする。
バイクに戻る男を見て、
房江「なんだか修ちゃんを見てるみたい・・・」
バイクに跨ろうとした男が修一に気づく。
男、時が止まったかのように修一を凝視。
ミラー仕様のシールドに修一の顔が写ってる絵のアップ。
男、狼狽したようにエンジンをかける。
男、もう一度修一に振り向く。
そして逃げるかのように走り去ってゆく。
房江の肩を軽くぽんと叩き、
修一「正義を成したとはいえ発砲の証拠を残しちゃまずかろう?」
修一「周囲の防犯カメラのデーターを消すように命令してくれ」
房江「(頷き)はい」
房江「五キロ圏内の防犯カメラと全車のドラレコのデーターを消して」と命令する。
房江のメットの耳部に「了解しました」と応答アリ。
風防に様々な記号が目まぐるしく映し出される。
メットの耳部から「全てのデーターを消去しました」と応答があり、房江が「ご苦労様」と返答する。
無意識に房江の二の腕の内側を右手で摩りながら、向こうで追いすがる片割れの男の腕を女が怒って振り払ってるのを見て、
修一「あのアベックは破局じゃのう・・・」
修一「面白い余興じゃったが、さて昼飯を食いにゆくか」
房江「はい」
アクセルを回し「プルン」とエンジンをかける房江の手のアップ。
走行するリードを後方から描いた絵。
修一が左手を房江の腹部に宛て、右手で房江の右手の二の腕の内側を触ってる絵のアップに会話、
「さっきからそこを触ってるけどそんなに気持ちいい?」
「うん。むちゃくちゃ気持ちいい」
房江「太腿とどっちが気持ちいいの?」
嬉しそうに、
修一「太腿!」
不思議そうに、
房江「同じ肌なのにどう違うの?」
修一「太腿の根本には気持ちいい物がついちょるが、腕のつけ根には裂け目がないけんね」
房江「(頬を染め)ふふ、そういう事か・・・」
市街地の絵。
建物の影に隠れるように男がメグロに跨ったまま停止している。
眼前を走り去るリードを男が目で追う。
リードの右ミラーに50m後方を追走してくるメグロが写ってる絵のアップ。
ミラーを見てメグロに気づき、
房江「さっきのメグロがついてくるわ」
房江「修ちゃんをじっと見てたけど何か用があるのかしら?」
意にも介さず、
修一「ほっちょけ。用がありゃ向こうから接触してこようで」
房江「はい」
繁華街の絵。
高級レストランの前にリードが停めてある。
離れた所からメグロに跨ったまま男がレストランを見ている。
夜。修一宅の外観。
同、室内
机上のJBLのスピーカーから♪が流れている絵。
注、裸にトランクス姿の修一が机の椅子に掛け、矢沢永吉の『成りあがり』を読んでいる。
『成りあがり』の表紙のアップ。
本を読みながらボロボロ涙を流し、
修一「うぐ・・・」
修一「歯が痛いのに治療費を工面できんこの場面・・・何回読み返しても泣いてしまうわ」と、むせび泣いてたら「ピンポーン」とチャイムが鳴る。
手の甲で涙を拭いながら玄関の方を見て、
修一(房江か、三発じゃ足りず追加のおねだりですか?)
修一「はーい。いらっしゃ~い」と喜色満面でドアを開けたらメグロの男がメットを被ったまま立っていた。
修一「ほう」と不敵な表情で少し感心する。
修一の無表情の顔が写ったシールドを凝視し、
修一「俺をつけて家を探し当てたか?」
少し迷惑そうに、
修一「なんの用かねえ、いま読書中なんじゃが」
男、無言でメットの顎紐をカチッと外す。
メットを脱ぎながら頭を振って長い髪をフワリと降ろした美しい早苗の全身を大ゴマで描いた絵。
つづく
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます