一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

11日の日レス杯・準決勝の2局を振り返る

2013-08-19 20:07:55 | 女流棋戦
第7回日レスインビテーションカップ・女流棋士トーナメントの、準決勝2局の雑感を書く。

○中井広恵女流六段-●小野ゆかりアマ
小野アマの四間飛車に、中井女流六段が穴熊に潜る。先手は7筋に飛車を回り、歩を換える。しかし48手目、△5三銀が分からない。ここは△8三銀の一手ではないのか。先手はシャニムニ7筋を攻め、指し易くなる。こうなるのがいやだから、△8三銀は絶対(と思う)なのだ。
小野アマは66手目△7四金の非常手段だが、こう指さざるを得ないようではいけない。
以下は中井女流六段が芸術的な寄せを見せ、完勝。終始力強い指し手で、格の違いを見せつけた。小野アマは残念だったが、相手が悪かったようだ。再登場を期待したい。

○渡部愛女流3級-●中倉彰子女流初段
後手番彰子女流初段が、四間飛車から穴熊に潜る。渡部女流3級も穴熊を明示した。
私見だが、対振り飛車にいろいろ作戦を考えられるのが、居飛車の醍醐味である。しかるに渡部女流3級のそれは、ちょっと穴熊に偏りすぎている気がする。
いまは渡辺明竜王以下「スキあらば穴熊」に潜る時代だが、それを見せられるこちらはやや食傷気味である。たまには渡部女流3級の急戦も見てみたい。
将棋は角銀交換の駒損ながら、竜を作った彰子女流初段が十分となった。
しかし62手目以下△6五桂▲同桂△同銀▲6九香△6六香▲同香△7六銀の7手には、違和感を持った。
△6五桂は、譜のように銀を進出させる狙いだが、ちょっと狙いが単純すぎないか?
渡部女流3級は▲6九香だが、▲5五馬ではいけなかったのだろうか。
決定的なのは彰子女流初段が△6六香と捨てて△7六銀と出たことで、持ち駒の貴重な香を捨ててまで、7六に銀が出る価値があったのかと思う。以前紹介した「大山の名局」の、「△6六桂▲同歩△7六銀」とはワケが違うのである。
以下は渡部女流3級が快調に指し、快勝。決勝に駒を進めた。
彰子女流初段は本局、ちょっと指し手が単調だったと思う。昨年4月に発行された「孤高の大木 千駄ヶ谷市場2」で、先崎学八段が彰子女流初段の将棋を取り上げ、「ひとつの指し手にふたつの意味を持たせること」という意味のアドバイスを書いていた。1回戦と2回戦の彰子将棋はそれがあったが、本局にはそれがなかったと思う。

かくして決勝戦は、中井女流六段と渡部女流3級の対戦となった。なんだかんだいって、優勝候補のふたりが残ったわけである。対局日は9月下旬とのこと。楽しみにしたい。
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