一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ関東交流会2016(2)「将棋界でいちばん人気がある男は」

2016-06-14 16:28:00 | 将棋ペンクラブ

左では幹事のHak氏が指している。氏得意の振り飛車で、一手違いの攻防になっていた。
第1図から三段氏は△5二飛と逃げたが、重大な逸機だった。ここは△2九竜と桂を取る手があった。いきおい▲3二歩成と飛車を取るしかないが、△7六桂で先手は指す手がない。こう指されたら私が負けていた。
本譜は△5二飛に▲1八馬と引けて一安心。先手は▲2五歩の桂得が約束されているし、2枚の馬が強いので、相当負けにくい形だ。
以後もむずかしい戦いが続いたが、リードを保った私が勝った。しかし冷や汗モノだった。

受付横に行って、今年の参加賞を鑑賞する。色紙は中原誠十六世名人と青野照市九段が目に入った。カラフルな色紙もあり、これは女流棋士だ。青野九段のは「負けたと思った局面に勝ちがある」みたいな揮毫で、こんなことを書くから(あぁ失礼)、負けの局面でもクソ粘りする手合いが現れるのだ。
例年、将棋大会で5勝すれば色紙はゲットできるが、去年は一部色紙にプロテクトをかけて、勝ち星の少なかった参加者にも分けていた記憶がある。どうも今年もその雰囲気がある。
ただし最低でも棋書はいただけるので、今年はそれで妥協するつもりだった。
「隣で対局を行っておりますので、静かにしてください」
幹事のIn氏がみなに小声で叫ぶ。私も感想戦などで大声を出してしまって、なかなか守れない。
さて指導対局だが、やはり申し込んだ。昨年は一局も受けてないし、久しぶりに教わってもバチは当たらないだろう。
その指導対局は、「1人2局まで」の制限が設けられた。あまりにも希望者が多いための措置だが、いままで制限がなかったのがおかしかったのだ。
ただし私は、前述のとおりここからしばらく対局なしとなる。しかしそれでは暇を持て余す。Ok氏も所在なさげだったので、勝敗付けずのオープン戦という形で、指すことにした。
手合いは私の二枚落ち。大野・植山教室の番外編だ。Ok氏は二歩突っ切りで来たが、▲4八飛から▲3八飛と寄っているので、一手損している。もう定跡を忘れてしまったらしい。
正午が過ぎ、前田祐司八段はアガリとなった。ここで一言いただく。
「昨日は隣のけんぽプラザで棋士総会がありました。羽生さんももちろん参加しました。でもその羽生さんでさえ、将棋界では二番目の人気なんですね。一番は桐谷さんなんです。今年で67歳、独身。歳を取って独身。これがモテる条件なんです…
皆さん、将棋世界を買ってください」
前田八段は現在「将棋世界」にエッセイを連載中なのだ。
中野隆義・前「近代将棋」編集長もアシストする。
「雑誌の連載は、おもしろくなければ半年で打ち切りになります。それが前田さんのエッセイは2年以上も続いている。これは読者の支持がある証拠なんです…」
前田八段は大きな拍手を受け、退室した。
私の将棋は、私が徐々に差を詰めている。対局を終えたHak氏が来て、
「髪の毛はわりとふんわりしてますね」
と言う。あまり真上から見ないでほしいのだが、まだ髪はありますよ、の意らしい。我が頭はますます脱毛している実感があったので、これは意外だ。
「そうかなァ。オレから見ると、上野先生なんか意外と踏ん張っていて、うらやましいよ」
「上野先生は、そうですね」
「あと(幹事の)Mさんも。みんなすごいよね」
でもまあ、Hak氏の見立てはウソでもうれしかった。
局面。私は銀桂交換の駒得を果たす。Ok氏はその桂を▲4七桂と控えて打ったが、これがイモ筋だった。

私は下手の角を取り、ここで優勢を意識した。しかし第1図から△4七角▲7九玉△2五角成は誤った。ここは黙って△5五金と桂を外せば下手に手がなく、上手が必勝だった。
本譜は△2五角成以下、▲7四銀△6二玉▲6三銀成となって逆転模様。しかし△5一玉(第2図)▲5四飛△4一玉▲5三歩△5一歩▲7四飛の進行は、やや下手のリズムがわるかった。

以下も下手にチャンスはあったのだが、私が何とかごまかした。
戻って△5一玉には、ふつうに▲7四飛と回ってよかった。これで次の▲7一飛成or▲7五飛を見る。こう指されたら、私が負けていただろう。
昼食にはおにぎりが出る。1ヶいただいた。
4局目もオープン戦のようだ。ベテランのカップルがおり、その男性氏と戦うことになった。
聞くと、水俣から来たという。熊本県の水俣市だ。
私は東京在住だからピンと来ないけれど、これは相当熱心といわねばなるまい。地方から上京の方、初参加の方にはとくに、手厚くもてなさなければならない。
女性は、指した将棋をあとで振り返られるのがみんなスゴイと言う。感想戦のことだろう。
もっともこれは再現できる人とできない人がいて、私は苦手なほうだ。きっと、将棋に集中していないのだろう。
「将棋を指す人は、どうして文章がうまいんですか?」
さらに女性が問うた。
「逆です」
と、これはA氏。「文章の好きな将棋好きが集まっているのです」
将棋ペンクラブに限定すれば、確かにそういう理屈になる。
水俣氏の先手になり、氏が中飛車に振った。私は△5三銀右から△7二飛と寄る。いわゆる加藤流だ。

第1図から水俣氏は▲6五歩と突いたが、私の△7七角成は誤った。▲7七同桂△6五歩▲8三角△8四飛▲6五角成と馬を作られたからで、以下▲7五馬~▲6五桂~▲5三桂成と駒得されては、私がおもしろくなかった。
△7七角成ではあぶないようでも、△6五同歩▲2二角成△同玉とすべきだった。
局面は進んで、▲7一飛まで(第2図)。ここでは苦しいと感じていた。

(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする