一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「日レスインビテーションカップ」を見に行く(前編)

2010-08-09 00:24:24 | 観戦記
きのう8日は、東京・新宿の京王プラザホテルで行われる「日レスインビテーションカップ・第4回女流棋士トーナメント」の公開対局を観にいった。
自宅最寄駅から、9時57分ごろの山手線に乗ると、車内はガラガラ。こんなに閑散としているのは珍しく、数えてみたら、私の車両には11名しかいなかった。まるで旅先のローカル線に乗っているようだった。
10時25分ごろ、ホテルに着く。ホテルの女性に「将棋イベントは…」と訊くと、「43階です」と即答された。さすがに一流ホテルだけあって、スタッフの教育は行き届いている。
29分、会場に入る。30分開演だから、ギリギリだった。もっとも私が対局するわけではないので、これは遅れても構わない。
いただいたパンフレットの中に、「勝敗予想クイズ」がある。準々決勝、準決勝、計6局の勝敗を当てるのだ。私の予想はきのう書いたから省くが、私は午後からヤボ用があるので、途中で失礼する。よって、今回は投函しない。
代表理事・石橋幸緒天河の開会の挨拶のあと、出場選手8名の対局への抱負が述べられる。中倉彰子女流初段は、前回の林葉直子戦のことに触れ、脇役に回ったやりにくさを面白おかしく話していた。きょうは心乱されることなく、将棋に集中できるだろう。
山下カズ子女流五段は
「きょうはチェスクロックのボタンを押し忘れないようにしないと」
と本気とも冗談ともつかぬことを言って笑わせる。
新藤仁奈女流アマ名人は
「きょうは緊張して、将棋を指すどころではないです」
と、消え入りそうな声でつぶやき、笑わせる。なかなかのユーモアの持ち主と見た。
全員のコメントを書くのはめんどうなので端折るが、船戸陽子女流二段は
「最近は歳のせいか、勝っても負けても泣くようになりました。きょうは勝って泣きたいです」
と述べた。
解説は日本将棋連盟の木村一基八段、聞き手は中倉宏美女流二段。第1回の同棋戦ファイナリストである同女流二段は、ここで聞き手をするのは想定外だったろう。しかし中倉女流二段の聞き手は、NHK杯のときとは違って毒があり、私は好きである。木村八段とのコンビは最強といえよう。
10時45分、8名が別室に移って対局開始。
公開対局は対局場で観戦する、が私のスタイルなのだが、木村八段の解説がバカにおもしろく、席を立てない。あの髪型で目をギョロッとさせ、ここだけの話をズバズバいう姿勢は爆笑モノだ。
しかし私は木村八段の解説を聞きに来たわけではない。前の人の頭で、中倉女流二段がまったく見えないし、大盤も大き過ぎて、七段目以下がよく見えない。
11時10分、意を決し、解説場を出る。結果的に、私がこの部屋に戻ることは、もうなかった。
解説場から2部屋戻ったところが対局室。たまたま3人で入室したのだが、先客は3人のみ。けっこう閑散としている。対局者は奥から、☖中井広恵女流六段-☗渡部愛ツアー女子プロ、☖新藤女流アマ名人-☗山下女流五段、☖石橋天河-☗鈴木悠子アマ、☖中倉女流初段-☗船戸女流二段、という配置になっている。
チェスクロックが私たちの目から邪魔にならないよう、それは記録係側に置かれている。よって、後手番が部屋の奥側に座っているわけだ。
いちばん手前で行われている船戸-中倉の美人対決を見る。解説場では船戸女流二段が☗4四歩と銀得したところまで見たが、ここで船戸女流二段は、3八の飛を☗4八飛と寄った。飛車は3筋で使いたかったが、これでも船戸女流二段優勢である。
しばしふたりの対局姿に見入っていたが、ほかに移る。中井-渡部戦は、相矢倉だけど角が換わっている。この将棋は☗7六歩☖3四歩☗2六歩☖8四歩☗6六歩、と進んだのだが、次の☖8五歩が機敏で、これで角交換と飛車先の歩を切ることが、後手の権利になってしまった。渡部ツアー女子プロ、最初から矢倉を目指すのなら、3手目に☗6六歩と指すべきだった。居飛車党に変身中の渡部ツアー女子プロだが、この辺がまだ甘い。
山下-新藤戦は、新藤アマが一方的に飛車を成りこみ桂得して、早くも優勢。否、勝勢になっている。そんななか指された☖5二桂が渋い!! とても中学生とは思えない指し手だ。やはりアマタイトルホルダークラスになると、攻めだけでなく、受けでも力のある手を指す。
新藤女流アマ名人の指し手はその後も冴え、1手緩めても(と金を払っても)安全勝ちだったが、果敢に1手勝ちを目指し、快勝した。11時50分。
中井女流六段の闘う姿が美しいが、船戸-中倉のふたりには敵わない。私はそちらへ戻る。船戸女流二段が徐々に優勢を拡大している。
この位置からは石橋天河の表情が見える。あれっ? 石橋天河、髪を切った? LPSAでは、島井咲緒里女流初段、松尾香織女流初段がバッサリ髪を切って、金曜サロンの会員内では、いずれも評判がよかった。中倉宏美女流二段もそうだ。
まさか石橋天河もそれに倣ったわけではあるまいが、以前のモコモコした髪型より、ずっといい。
中倉女流初段、渾身の☖7七銀に、船戸女流二段、それは読んでましたとばかり、6六の桂を☗7四桂と王手でハネ、3三の馬で、その銀を抜いてしまった。これで先手陣は盤石、後手は指す手がない。
私なら☗7四桂と王手をされたところでバカバカしくなり、投了していただろう。しかしドラマはここから起こる。
(つづく)
コメント (4)
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