一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

冬の北海道旅行・第2日(後編)

2010-02-15 19:51:06 | 旅行記・北海道編
左奥の部屋に入る。書や絵画、写真や陶芸など、見ごたえのある作品が並ぶ。家族からの出品もあるが、すべて専門家の審査を経て展示されており、玄人はだしだ。
その反対側、右奥の部屋ではジャズなどのコンサートが開かれている。現在はMocha Siestaがライブ中だ。ヴォーカル・伊藤百里子の声がつややかでよい。3時55分終了。このあともう1グループが出場するが、キリがないので、これで資料館をあとにする。
ここからはやや余裕を持って雪像を鑑賞できる。市民制作の小雪像の中にリラックマがある。リラックマは島井咲緒里女流初段がこよなく愛するキャラクターだ。私はこの日の夜「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング・トップ10」をアップする予定でいるが、島井女流初段は10位にしている。前回から6ランクのダウンだが、これは私の期待度の裏返しである。
6丁目会場は「食の広場」。昔はここも雪像があった気がするが、真駒内会場の閉鎖に伴い、飲食店がこちらへ移ってきた。たいそうな賑わいだが、食べる気は起こらない。
「さっぽろ雪まつりオフィシャルショップ」があちこちにある。1個200円の雪まつり缶バッジを欲するが、売り切れだという。毎年買っていたが、記録が途切れてしまった。今年の人出は多いと見た。
大通会場を外れ、行きつけの古本屋などに寄りつつ、ススキノへ向かう。すすきの会場へは市民の制作した氷像が並んでいる。雪像は補修が利くが、氷像の場合はむずかしい。地球温暖化の影響を受け、最終日には氷像が解けていた年もあった。しかし今年は雪も多く気温も低いようで、解ける心配はなさそうだ。
その前に腹ごしらえ。「新・ラーメン横丁」の前を素通りし、牛丼専門店に入って牛丼を食らう。東京でも食べられるけれど、構わない。ひとり旅だから自分の食べたいものを食べる。
陽も暮れてきて、氷像を鑑賞するのにちょうどいい時間となった。今年は80基造られたらしい。先日は「旭川の裸像」のことを書いたが、すすきの会場はその類はほとんどない。もっとも本物が見たければ、その手の店が周辺にいくらでもある。
旭川に劣らぬ作品群を堪能し、大通会場へ戻る。夜空になり、さすがに空気が冷たくなってきた。しかし東京と体感温度はそれほど変わらない。冬の北海道はもう22回目だ。夏の沖縄と同様、体が勝手に順応してくれる。
1丁目会場のさっぽろテレビ塔に昇り、上から大通会場を眺めてみたいが、展望室入場料700円は高い。エレクトーンコンサートや、地元の一部で人気の女性歌手の歌などを聴いて、ぶらぶらする。
名前を覚えていないのは失敗だったが、「Sapporo snow festival」のテーマを中心に、毎年ステージで美しい歌声を聴かせてくれる歌手がいる。しかし今年は聴くことはできなかった。
そのまま先へ進むと、よさこいソーランの演舞をやっている。イベントというのは不思議なもので、演者が動き回っていると、こちらも暖かくなる。しかし演者がじっとしていると、こちらも寒さが身に染みてくるのだ。もうだいぶ昔、ステージ上で能の舞台があったのだが、あまりにも動きが遅く、見ているこちらが寒くなったものだった。
その点よさこいソーランの動きは豪快だ。北海道のある大学は、男子全員がふんどし一丁で踊りまくった。観光客の女性は嬉しいだろうが、私は私で、けっこう目の場に困る。それでも、若いっていいな、と思う。
午後8時、7丁目会場に着く。「Natsuki&ブライトサッポロ」のゴスペルコンサートがある。このグループも毎年出演しており、今年で14回目だそうだ。総勢30名前後が登場しただろうか。俗に言う「銭を取れるステージ」で、30分があっという間に過ぎる。ひとつところにじっと立っていて、上半身はバッチリ着こんでいるから比較的寒さは感じないが、足の底が冷たくなってきた。
8時30分になり、同所で「ミスさっぽろ雪上お別れセレモニー」が行われる。平成21年度「ミスさっぽろ」の3名、「雪の女王」の2名が登場する。あれ? 「ミスさっぽろ」は2名ではなかったか?
よく考えたら、昨年のフィナーレは、私は東京にいたのだ。駒込で「LPSA主催・バレンタイン・トーナメント」を指していた。ということは、私がフィナーレを見たのは一昨年、ということになる。そのとき「雪の女王」(つまり平成20年度の「ミスさっぽろ」)が前年の3名から2名に減った。
しかし今年度は再び3名に盛り返したものの、22年度の「ミスさっぽろ」は、またもや2名に減少した、ということだ。
「ミスさっぽろ」は3人とも美人だ。私は向かっていちばん右の女性がタイプだったが、その彼女は、もう涙ぐんでいる。ここ数年の交代式では、どのミスもわりとドライだったが、今年はちょっと違うようだ。
「雪の女王」からミニ雪だるまを手渡され、「ミスさっぽろ」がこれまでの1年を感謝の言葉で振り返る。2人目にコメントしたミスも涙なみだで、
「おばあちゃんになってもこの3人でずっと会おうね」
と言った。LPSA所属の棋士は、お互い末長い付き合いをする心づもりでいるだろうか。
「ミスさっぽろ」の涙にもらい泣きしつつ、これで私の「第61回さっぽろ雪まつり」は終了。一般旅行者は宿に帰ったり飲み屋へ繰り出したりするのだろうが、私は違う。とりあえず札幌駅方面に戻る。時計台に行き着いた。そのハス向かいには北海道新聞社があり、壁の掲示板には11日の朝刊が貼られていた。将棋欄の王位戦は窪田義行六段と高一生四段の、リーグ入りの一戦を伝えている。
その足で「将棋サロン&カフェ・みずなら」へ向かう。「みずなら」が入居しているビルはこの辺りだったはずだが、見当たらない。いったん通り過ぎて、戻ったら見つかった。約半年前に訪れたときは、ビルの壁面に「将棋」の張り紙があったが、今は剥がされている。前回の私は、将棋の神様に導かれたのかもしれない。
2階のドアを開けると、白髪の席主・田中氏のほかに、男性客がひとりいた。前回のY氏とは違うひとだ。
「昨年9月に訪れた東京の者ですが…」
と挨拶するが、田中氏は私を覚えていなかった。「みずなら」は食事だけの客も多く、一見客をすべて覚えるのは無理だ。しかし壁に掲げられている棋客一覧の中に私の名前があったのは、ちょっと嬉しかった。
席料を払い、私はジャンバーのポケットにしのばせていた「LPSA1Dayトーナメント・けやきカップ」のチラシを見せる。
「愛ちゃんだ!」
と、田中席主と男性客が同時に言う。渡部愛ツアー女子プロは札幌在住だけあって、さすがに有名だ。聞くと渡部ツアー女子プロが9日に訪れ、トップアマと何局か指したらしい。その渡部ツアー女子プロは、現在東京にいるはずだ。半年前に訪れたときも、渡部ツアー女子プロは東京にいた。私と彼女とは、すれ違いの運命にあるのかもしれない。
男性客と1局指す。級位者と言っていたから私が駒を落とすのかと思いきや、平手のうえ、ちゃんと振り駒をやって、私の先手。
私の居飛車に男性が四間に飛車を振ったので、☗4五歩から仕掛けたが、定跡どおりの応対をされ、いつの間にかこちらが苦しくなった。中盤でもその差は縮まらなかったが、最後は男性氏が秒読みに追われ、私の逆転勝ち。それにしても北海道の愛棋家のレベルは高い。LPSA金曜サロンなら、強い初段で指せるだろう。
今度は田中席主ともう1局。後手・田中席主のゴキゲン中飛車。半年前と同じだ。私が玉頭位取りに出ると、田中席主は飛車を3筋に振って、歩交換をする。その後☖4五歩から半年前と同じ筋で攻められ不利に陥り、最後はきっちり負かされた。
また北海道に来たら伺います、と再訪を約束して、男性氏とともに道場を後にする。道すがら男性氏と話したが、男性氏は
「やっぱり東京はいいなぁ。毎週女流棋士と将棋を指せるなんて、うらやましいです」
と、しみじみと言う。私も肯定する。将棋にしろイベントにしろ、東京偏重なのは否定しないが、北海道には北海道の良さがある。私に言わせれば、「いつも北海道内を旅行できていいなぁ」ということになる。
地下鉄に乗ってタクシーで帰ります、と言う男性と駅前で別れて、私は朝利用したネットカフェへ再び入る。朝の「モーニングパック」の件がどうしても合点がいかなかったので、男性店員に質してみる。と、やはり「モーニングパックはある」とのことだった。そのあと私もいろいろ調べた結果、モーニングパックは1時間で、そこに15分刻みで料金が加算され、3時間の滞在だと、「3時間パック」のほうがわずかに安いのだった。
朝の女性店員の応対は、間違いでもなかったのだ。
「フラットブース」に入り、ブログの更新をする。この日はここが宿泊地なので、時間を気にしなくて済む。12日午前1時30分すぎ、眠くなってきたので、背もたれを倒す。しかし蛍光灯が煌々と光っている。私は尻のポケットから使い捨てマスクを取りだすと、それを目の上へ持っていった。
これで風邪予防マスクからアイマスクになった。前日は一睡もしていない。この日は睡眠環境が悪いにもかかわらず、すぐに眠りに落ちた。
コメント (5)
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