前回に続いての昔話し。観音さまのお告げで、発見されたという、常磐湯本温泉のこと。むかぁ-し、合戸という里に、父親と一人娘が住んでいたそうだ。父親は、狩りをしていて、一頭のイノシシを、三箱山の谷まで、追い詰めたそうだ。イノシシは、牙をむきだし、父親を襲い噛み殺したそうだ。一人娘は、父親の帰りを待っていたが、獣に殺されたと思い、獣を討とうと、三箱山に入った。一人娘は、疲れて寝こみ、その夢まくらに、観音さまが立っていて、「感心じゃなあ、獣は、西の方の松の木の下に潜んでいる」と、告げたとか。お告げのあった松の木の下を、手槍で一突きして、イノシシをしとめたそうだ。イノシシの血が、一人娘の手足につき、ひどく腫れてしまい、動けなくなってしまったそうだ。一人娘は、観音さまに祈ると、「南東に行ったところに、湯がでている。その湯を浴びよ」とお告げがあったそうだ。一人娘は、体を湯にひたして、元気になり元の体になったとか。この山の名を、「三箱山-さはこやま」と、呼ばれていたが、湯泉が涌き出た山と、いわれることで、「湯の岳」と呼ばれるようになったとか。「三箱山」は、山頂に箱の形をした石が、三つあったそうだ。一個が転がり落ちて、湯口になったとか。山裾の二つのお寺には、「湯の岳観音」と、「十一面観音立像」が、安置されているとある。湯の岳の南中腹には、観音堂の跡地が、残っている、著している。