前回に続いて。なかなか寝つかれない時に「マッサージしてやっけぇ」と云うと、「ありがと、ありがと、ありがと」と云う。手足を揉んでやってる間、なにか話しかけてくる。入れ歯を外しているので、「なんとかかんとかだなぁ」とか、「なんとかかんとかだと思うよう」と、よくわからない。適当に「そうなんだっぺなぁ」と返事をしている。背中が痒いというので、ごしごしごしとやってやると「頭がぐらぐするから、やさしくなあ」と。マヒが残る手足を、ぎゅうっと握ってみたり、ぎゅうっと指圧をしてやったりすると、「ひっちぎんねぇでなぁ」という。「せいせいするなぁ」と言って、目をつむる。寝息がするころに、手足と背中をすうっすうっとなでて、とんとんとんと軽く叩いて立ち上ると「ありがと」と。「あぁ、またあしたねぇ」と声をかける。目をとじたまま、うなずいている。軽い認知症でも、礼を言うのは忘れないようだ。上品なばあちゃんの「ありがと」。