快晴の槍ヶ岳山頂を楽しんだら、縦走に出発です。東鎌尾根と呼ばれる切り立った尾根を行くのが表銀座。まずは北アルプスらしいガレた道を慎重に下ります。その前に、槍ヶ岳山荘付近からの景色を数枚。まずは槍ヶ岳の穂先と小槍。よく、アルプス一万尺の歌で「小槍の上で踊りましょ」ってのが不可能だと言われるやつ。
黒部方面と槍沢方面の眺め。
始まったばかりの草紅葉。イワベンケイもウラシマツツジも真っ赤になって、他の葉も黄色や赤に染まって岩峰を彩るのでしょう。
さて、まずは東鎌尾根をヒュッテ大槍という別の山小屋の方に降りていきます。その途中、イワヒバリと思われる小鳥さんがたくさん。ライチョウさんはハイマツすらない岩岩しいところには出てこないですが、この手の小鳥さんは多いですね。
ちょっと下った所から槍を見上げる。やはり尖った山頂は大迫力だ。
槍沢を挟んで対岸に当たる面の尾根。北アルプスらしい風景。
更に下って槍ヶ岳を見上げる。ある程度下から見上げた方が、標高の高い大岩峰の迫力が出ますね。稜線も視界に入るし。
バリエーションルートの北鎌尾根方面。ギザギザだな。こりゃ挑戦しなくていいや(そんなスキルない)。
進行方向です。正面の緑が濃いのは西岳。槍ヶ岳の3,180メートルから、いったん2,600メートルを切るところまで500メートル以上下ります。西岳山頂はルート上にはない(行くことはできます)ですが、標高2,758メートル。この日のテント場は山頂から100メートル弱低いところです。緑濃い山の少し右の所が平らになっていて茶色く土が見える部分がありますが、そこがテント場です。なお、左の赤茶けた平べったい感じの山が大天井岳。山頂は平らに見えるところがちょっと飛び出た部分なのですが、この時点ではそれよりやや左の尖がり(実際には東天井岳)が山頂だと思っていました。右奥の端正なピラミッド型の山は、安曇野のシンボルで有名な常念岳。
ナナカマドの実は赤い。これを猿が狙っているのでしょう。紅葉はまだ。
オヤマリンドウが多く見られましたが、基本的に閉じている花なので、いつもこんな感じ。まあ、濃い紫は上品なので、閉じている姿も気品を感じます。
少し下ると、左手に針ノ木岳を臨むことができました。高瀬湖も少し見えています。
左前方には燕岳の稜線も確認できます。甲斐駒ヶ岳などと同様の花崗岩質なので、山頂付近が白くて目立つ。燕岳は人気の山で、数々のブログやヤマレコで山頂写真も見ていますが、思ったよりも山頂は尖っていない、と言うか、平べったくて山頂が目立たないですね。
槍ヶ岳を振り返る。槍は縦画面の方がいいのではないかと思い始め、この後何枚か縦画面で撮っています。なお、お分りかもしれませんが、見えている槍ヶ岳の山頂シーンはこの日の朝に登っていた槍沢から見えるシーンとはアングルが異なります。槍沢から見えるのはこの写真の左端からさらに左の面です。縦走することによって、槍ヶ岳のことなる顔を見ることができます。
ところで、写真の左側は下りてきた道ですが、意外と険しいのが分かるでしょうか。
東鎌尾根の登山道は、ハシゴがとても多いです。ハシゴというよりは木組みの急な階段のようなものもあり、これを下る場合はわざわざ手を使うほどではないのですが、タタタッとリズムよく下りないとバランスを崩して危ない感じ。事前に思っていたよりも険しい道でした。
下の写真は来た道を振り返っているのですが、切れ落ちた道やハシゴが多いのが分かるのではないでしょうか。
紅葉の時期ならば格好いい槍ヶ岳のシーンになったであろう写真。
右手を見れば、、、槍沢方面の対岸越しに見える岩峰は南岳かな。あるいは北穂高岳か。こっちには縦走したことがないので、山の形がよく分かっていません。間違っているかも。
下を見ると、前夜にテントを張ったババ平のテント場が見えます。
西岳、だいぶ近付いてきたけどまだまだ遠く感じる。
針ノ木岳。好きなので見えると写真に収めてしまう。
ウメバチソウとオヤマリンドウ。珍しく少し花が開いていました。
それにしても、こんな感じでちょっと嫌な感じのところが次々に出てくる。まあ、稜線の岩岩しい道と違って、常にこんなところな訳ではないです。普通の土の道も当然多いのですが、随所にプチ難所が出てくるので意外とペースが上がりません。テント場まで3時間と踏んでいましたが、3時間20分かかりました。体力的にも、後半は結構しんどく感じました。
再び槍沢を見る。深い谷っていい感じだと思いました。
再び紅葉シーズンだったら格好いいと思われる槍。
ヒュッテ西岳の少し手前で、ちょっと休憩的に振り返って撮った写真。歩いて来た東鎌尾根と、右に伸びる北鎌尾根。やはり槍ヶ岳は見栄えのする山ですね。スターでありアイドルですな。
ヒュッテ西岳に着く直前の登りでは、もの凄い獣の臭いがして緊張しました。標高的に熊ではないと思ったのですが、熊だったら避ける道幅なんか全然ないところなので。恐らくは猿の集団が近くにいるのだろうと思い、声を出しながら歩きました。ザックに着いた笛を吹くなどの手段もあるのでしょうけど、逆に相手を驚かせて急に目の前に出現されるのも困るし、行動の選択に迷うシーンでしたね。
そして、12時20分頃にヒュッテ西岳に到着。ここのテント場にテントを張ります。このテント場は幕営料1,000円なのはババ平と同じですが、トイレ使用料を別に取りますのでそれは注意ですね。あと、稜線なので水も1リットル200円です。まあ、それはともかくとしてここからの景色は一級品だと思いますね。
穂高方面は山頂にやや雲がかかっているでしょうか。
大天井岳、常念岳方面。
常念岳は格好いいですね。GWの残雪の時に登りたいのだけど、タイミングを逸しています。まあ、公共交通機関利用だと夏の上高地オープン時期以外には行きにくい山ですね。常念小屋も見えますが、パッと見たところあそこから山頂までは500メートルくらいあるんじゃないかな。山頂直下かと思っていたけど、意外とキツそうですね。
大天井岳だと思って撮った東天井岳(泣)。冷静に地図を見ながら景色を眺めれば、明らかに表銀座を外れて常念山脈の稜線にあると分かるのに。
この写真の一番左が大天井岳ですね。
この日はもうやることがないので、基本的に景色を楽しみながら他の登山者の方々とおしゃべりしたりして過ごしました。写真も何度も撮る。槍と槍沢。
槍沢拡大。この写真の右手手前のちょっと窪地になっている辺りが天狗池でしょうか。紅葉の名所ですね。背景に槍ヶ岳がバッチリ決まるという。
午後3時半頃からはガスがでてしまい、テント場からはほとんど何も見えなくなってしまいました。こうなると本当にやることないです。
その後はテント場で他の登山者の方と少し喋ったりしましたが、基本的におとなしくしていて夕食を作り、この日も早めに就寝です。翌朝はガスが取れることを願います。そして翌朝。星が綺麗に見えるほどには晴れていなかったのですが、全体的には悪くない感じでした。飛騨側は雲がなく、信州側は薄い雲がかかった状況。この日も月が綺麗でした。
信州側は朝日が昇ってくるので、徐々にオレンジ色になります。常念岳方面。
そして大天井岳方面。
槍ヶ岳も穂高連峰も、まだ日が当たっていないので冷たい感じです。
テント場の他の登山者がすべて出発してしまう中5時40分過ぎまでねばったのですが、東側に薄い雲が幾つかかかってしまっているので日の出の時間を過ぎても太陽が現れず、光が槍ヶ岳を照らすこともありません。全体的に空が明るくなってくるのですが、朝焼けはあり得ない状況。運が良くて昇ってきた太陽の光で岩稜がピンクやオレンジに少し輝く程度でしょう。諦めて私も出発しました。基本的には稜線を行くので、太陽が昇ればそこで止まって景色を眺めなおせばいいという発想です。
結果的に、歩き始めて10分としないくらいで日が昇りました。ちょっと開けたところから景色を眺め、写真を撮ります。予想通り焼けることはなく、オレンジに少し照らされるだけでしたが、それでも朝日に照らされる名峰の姿は美しいものです。どうせならあと10分テント場で待っているべきでしたかね。
鷲羽岳、水晶岳、裏銀座方面も照らされますが、穂高は山頂に雲がかかっていました。全体的に、この週末は穂高より槍の方がお天気に恵まれていたようです。
ザックと槍ヶ岳。
近くに咲いていたミヤマシャジン。
そして早朝は小鳥さんがたくさん囀っています。イワヒバリでしょう。素早いので写真には撮りにくいけれど可愛い。
コゴメグサがまだ咲いているのを見つけました。残ってくれているお花は愛おしい感じ。
進行方向、大天井岳です。この頃になって、やっと東天井岳と区別がつくようになったのですが、それでも大天井岳の山頂がどれなのかよく分からず。だって、3つくらいの小さい尖がり(ピーク)がどれも同じくらいの高さに見えるし。大天井ヒュッテと大天荘という2つの山小屋があるはずなので、それも見えると思ったのに確認できないし。
拡大してみても分からない。
実は、2つの山小屋のうち、こちらから見ると縦走路の手前にある大天井ヒュッテは、手前の緑深い小ピークを越えた先にある鞍部のようなところに建っているのです。この時点では分かりませんでした。手前の山を越えていったんちょっと下がって登り返すのが嫌だなと思っていた程度。
景色ですが、西側を見れば相変わらず黒部・裏銀座がよく見えます。
ここからは、しばらく森林限界を微妙に行き来するような感じで進み、ビックリ平という少し開けたところまで歩きます。標識を見ると大天井ヒュッテまで45分と書いてあるんだけど、ずっと見えていた3つくらいのピークのどれかの直下に小屋があると思っているので、どう考えても1時間半近くかかるのではないかと疑問を持つ。まあ、冷静に考えれば、見えていないところにヒュッテが経っている可能性が高いという話なんですけどね。
そして、ちょっと見上げると中央の尖がりの奥にさらに尖がりがあるようです。そこが一番高いようなので、大天井岳のサミットはあそこなのでしょう。
とにかく、まだまだ遠いと思いつつもお天気もいいし、景色もお花も楽しみつつ進みます。前夜は2,600メートルくらいの標高のテント場で休んでいるせいか体が高山に慣れている感じで体調もよく、歩行自体は順調でした。秋のお花の写真を撮る余裕も結構あった。
で、ガシガシ頑張って進んでいると、ビックリ平から30分ちょっとで急に大天井ヒュッテが眼前に現れました。これにはそれこそちょっとビックリしましたが、ここで冷静に状況を分析。地図も出して見直して理解しました。まあ、5万分の1の地図では分かりにくい地形でした。
大天井ヒュッテは槍ヶ岳山荘グループの山小屋で、毎日更新されるブログがとても丁寧です。朝焼けや夕焼けのシーン、星空、お花の時期にはお花の写真など、解説付きでとても楽しい。従業員の方の性格がうかがい知れるようなブログで、私は毎日のように読んでいるファンでした。そこで、宿泊者が出払ってお掃除などで忙しくされているスタッフから山バッジ(表銀座縦走・大天井岳となっているもの)を買い、ブログのお礼などを申し上げました。テント場がないので私が利用する可能性は高くないのですが、小屋泊装備で長期の縦走をするならよい山小屋だと思います。
小屋の近くには、ほんの数輪だけコマクサが残ってくれていました。
ここからは、大きな岩ではないので危険は少ないもののガレていてそれなりに斜度もある、一言でいえば疲れる道を45分くらい登ります。もう一つの山小屋である大天荘は、標高的にここよりはだいぶ上にあるようで、ここは逆縦走の場合体力的な頑張りどころの1つですね。まあ、少し疲れたら槍ヶ岳を振り返ればいいんです。前日歩いた西岳までの道とは見える角度がまた違って、東鎌尾根と北鎌尾根にはさまれた谷を正面に見る角度です。
お花は定番のイワツメクサが結構残っていました。イワツメクサはどこにでもあるし、いつでも咲いているイメージですが、よく見ると小さい星のような可愛い花で可憐です。
秋の主役のトウヤクリンドウも。まあ、実際にはトウヤクリンドウは終盤の株が多かったです。これは比較的形の良かったもの。
で、少し苦労しつつも8時20分頃には大天荘に到着です。やはり宿泊客は出払った後で、まだ縦走中の登山者もまばらな時間帯だったので静かでした。
ここで菓子パンを食べて簡単に栄養補給し、山頂に向かいます。菓子パンは日持ちするし、メロンパンとかカロリー鬼のように高いし、意外と嵩張らないしおにぎりみたいにザックの中で崩壊しないので、行動食として見直しています。さて、山頂には私の他に一人しかいなくて、その方も直ぐにいなくなってしまったので絶景の展望台を独り占めでした。
私の影が映ってしまって間抜けですが、ここにも祠がありました。
祠の向こうには黒部・裏銀座の山深いエリアが、まさに山が重なるように連なっています。
せっかく晴れていてよく見えているので、それぞれの名峰を拡大してみる。まずは裏銀座の野口五郎岳。
黒部の最高峰である水晶岳。裏銀座からの道と鷲羽岳からの道が交差するのが分かる。
その隣の百名山、鷲羽岳。
緑の稜線、三俣蓮華岳、双六岳。
ちょっと視線を右にずらすと高瀬湖も見えています。右手前の白い稜線は、これから進む燕岳方面です。
拡大すると燕山荘も分かりますね。
針ノ木岳。
そして槍ヶ岳。
穂高岳。
奥穂高岳を拡大。後ろにジャンダルムも見えていますね。
素晴らしい景色を独占して楽しんだら、いよいよ表銀座逆縦走の最終ステージ、大天井岳~燕岳の稜線に向かいます。このエントリが長くなっているので、いったんここで切って最終ステージは次のエントリで。
黒部方面と槍沢方面の眺め。
始まったばかりの草紅葉。イワベンケイもウラシマツツジも真っ赤になって、他の葉も黄色や赤に染まって岩峰を彩るのでしょう。
さて、まずは東鎌尾根をヒュッテ大槍という別の山小屋の方に降りていきます。その途中、イワヒバリと思われる小鳥さんがたくさん。ライチョウさんはハイマツすらない岩岩しいところには出てこないですが、この手の小鳥さんは多いですね。
ちょっと下った所から槍を見上げる。やはり尖った山頂は大迫力だ。
槍沢を挟んで対岸に当たる面の尾根。北アルプスらしい風景。
更に下って槍ヶ岳を見上げる。ある程度下から見上げた方が、標高の高い大岩峰の迫力が出ますね。稜線も視界に入るし。
バリエーションルートの北鎌尾根方面。ギザギザだな。こりゃ挑戦しなくていいや(そんなスキルない)。
進行方向です。正面の緑が濃いのは西岳。槍ヶ岳の3,180メートルから、いったん2,600メートルを切るところまで500メートル以上下ります。西岳山頂はルート上にはない(行くことはできます)ですが、標高2,758メートル。この日のテント場は山頂から100メートル弱低いところです。緑濃い山の少し右の所が平らになっていて茶色く土が見える部分がありますが、そこがテント場です。なお、左の赤茶けた平べったい感じの山が大天井岳。山頂は平らに見えるところがちょっと飛び出た部分なのですが、この時点ではそれよりやや左の尖がり(実際には東天井岳)が山頂だと思っていました。右奥の端正なピラミッド型の山は、安曇野のシンボルで有名な常念岳。
ナナカマドの実は赤い。これを猿が狙っているのでしょう。紅葉はまだ。
オヤマリンドウが多く見られましたが、基本的に閉じている花なので、いつもこんな感じ。まあ、濃い紫は上品なので、閉じている姿も気品を感じます。
少し下ると、左手に針ノ木岳を臨むことができました。高瀬湖も少し見えています。
左前方には燕岳の稜線も確認できます。甲斐駒ヶ岳などと同様の花崗岩質なので、山頂付近が白くて目立つ。燕岳は人気の山で、数々のブログやヤマレコで山頂写真も見ていますが、思ったよりも山頂は尖っていない、と言うか、平べったくて山頂が目立たないですね。
槍ヶ岳を振り返る。槍は縦画面の方がいいのではないかと思い始め、この後何枚か縦画面で撮っています。なお、お分りかもしれませんが、見えている槍ヶ岳の山頂シーンはこの日の朝に登っていた槍沢から見えるシーンとはアングルが異なります。槍沢から見えるのはこの写真の左端からさらに左の面です。縦走することによって、槍ヶ岳のことなる顔を見ることができます。
ところで、写真の左側は下りてきた道ですが、意外と険しいのが分かるでしょうか。
東鎌尾根の登山道は、ハシゴがとても多いです。ハシゴというよりは木組みの急な階段のようなものもあり、これを下る場合はわざわざ手を使うほどではないのですが、タタタッとリズムよく下りないとバランスを崩して危ない感じ。事前に思っていたよりも険しい道でした。
下の写真は来た道を振り返っているのですが、切れ落ちた道やハシゴが多いのが分かるのではないでしょうか。
紅葉の時期ならば格好いい槍ヶ岳のシーンになったであろう写真。
右手を見れば、、、槍沢方面の対岸越しに見える岩峰は南岳かな。あるいは北穂高岳か。こっちには縦走したことがないので、山の形がよく分かっていません。間違っているかも。
下を見ると、前夜にテントを張ったババ平のテント場が見えます。
西岳、だいぶ近付いてきたけどまだまだ遠く感じる。
針ノ木岳。好きなので見えると写真に収めてしまう。
ウメバチソウとオヤマリンドウ。珍しく少し花が開いていました。
それにしても、こんな感じでちょっと嫌な感じのところが次々に出てくる。まあ、稜線の岩岩しい道と違って、常にこんなところな訳ではないです。普通の土の道も当然多いのですが、随所にプチ難所が出てくるので意外とペースが上がりません。テント場まで3時間と踏んでいましたが、3時間20分かかりました。体力的にも、後半は結構しんどく感じました。
再び槍沢を見る。深い谷っていい感じだと思いました。
再び紅葉シーズンだったら格好いいと思われる槍。
ヒュッテ西岳の少し手前で、ちょっと休憩的に振り返って撮った写真。歩いて来た東鎌尾根と、右に伸びる北鎌尾根。やはり槍ヶ岳は見栄えのする山ですね。スターでありアイドルですな。
ヒュッテ西岳に着く直前の登りでは、もの凄い獣の臭いがして緊張しました。標高的に熊ではないと思ったのですが、熊だったら避ける道幅なんか全然ないところなので。恐らくは猿の集団が近くにいるのだろうと思い、声を出しながら歩きました。ザックに着いた笛を吹くなどの手段もあるのでしょうけど、逆に相手を驚かせて急に目の前に出現されるのも困るし、行動の選択に迷うシーンでしたね。
そして、12時20分頃にヒュッテ西岳に到着。ここのテント場にテントを張ります。このテント場は幕営料1,000円なのはババ平と同じですが、トイレ使用料を別に取りますのでそれは注意ですね。あと、稜線なので水も1リットル200円です。まあ、それはともかくとしてここからの景色は一級品だと思いますね。
穂高方面は山頂にやや雲がかかっているでしょうか。
大天井岳、常念岳方面。
常念岳は格好いいですね。GWの残雪の時に登りたいのだけど、タイミングを逸しています。まあ、公共交通機関利用だと夏の上高地オープン時期以外には行きにくい山ですね。常念小屋も見えますが、パッと見たところあそこから山頂までは500メートルくらいあるんじゃないかな。山頂直下かと思っていたけど、意外とキツそうですね。
大天井岳だと思って撮った東天井岳(泣)。冷静に地図を見ながら景色を眺めれば、明らかに表銀座を外れて常念山脈の稜線にあると分かるのに。
この写真の一番左が大天井岳ですね。
この日はもうやることがないので、基本的に景色を楽しみながら他の登山者の方々とおしゃべりしたりして過ごしました。写真も何度も撮る。槍と槍沢。
槍沢拡大。この写真の右手手前のちょっと窪地になっている辺りが天狗池でしょうか。紅葉の名所ですね。背景に槍ヶ岳がバッチリ決まるという。
午後3時半頃からはガスがでてしまい、テント場からはほとんど何も見えなくなってしまいました。こうなると本当にやることないです。
その後はテント場で他の登山者の方と少し喋ったりしましたが、基本的におとなしくしていて夕食を作り、この日も早めに就寝です。翌朝はガスが取れることを願います。そして翌朝。星が綺麗に見えるほどには晴れていなかったのですが、全体的には悪くない感じでした。飛騨側は雲がなく、信州側は薄い雲がかかった状況。この日も月が綺麗でした。
信州側は朝日が昇ってくるので、徐々にオレンジ色になります。常念岳方面。
そして大天井岳方面。
槍ヶ岳も穂高連峰も、まだ日が当たっていないので冷たい感じです。
テント場の他の登山者がすべて出発してしまう中5時40分過ぎまでねばったのですが、東側に薄い雲が幾つかかかってしまっているので日の出の時間を過ぎても太陽が現れず、光が槍ヶ岳を照らすこともありません。全体的に空が明るくなってくるのですが、朝焼けはあり得ない状況。運が良くて昇ってきた太陽の光で岩稜がピンクやオレンジに少し輝く程度でしょう。諦めて私も出発しました。基本的には稜線を行くので、太陽が昇ればそこで止まって景色を眺めなおせばいいという発想です。
結果的に、歩き始めて10分としないくらいで日が昇りました。ちょっと開けたところから景色を眺め、写真を撮ります。予想通り焼けることはなく、オレンジに少し照らされるだけでしたが、それでも朝日に照らされる名峰の姿は美しいものです。どうせならあと10分テント場で待っているべきでしたかね。
鷲羽岳、水晶岳、裏銀座方面も照らされますが、穂高は山頂に雲がかかっていました。全体的に、この週末は穂高より槍の方がお天気に恵まれていたようです。
ザックと槍ヶ岳。
近くに咲いていたミヤマシャジン。
そして早朝は小鳥さんがたくさん囀っています。イワヒバリでしょう。素早いので写真には撮りにくいけれど可愛い。
コゴメグサがまだ咲いているのを見つけました。残ってくれているお花は愛おしい感じ。
進行方向、大天井岳です。この頃になって、やっと東天井岳と区別がつくようになったのですが、それでも大天井岳の山頂がどれなのかよく分からず。だって、3つくらいの小さい尖がり(ピーク)がどれも同じくらいの高さに見えるし。大天井ヒュッテと大天荘という2つの山小屋があるはずなので、それも見えると思ったのに確認できないし。
拡大してみても分からない。
実は、2つの山小屋のうち、こちらから見ると縦走路の手前にある大天井ヒュッテは、手前の緑深い小ピークを越えた先にある鞍部のようなところに建っているのです。この時点では分かりませんでした。手前の山を越えていったんちょっと下がって登り返すのが嫌だなと思っていた程度。
景色ですが、西側を見れば相変わらず黒部・裏銀座がよく見えます。
ここからは、しばらく森林限界を微妙に行き来するような感じで進み、ビックリ平という少し開けたところまで歩きます。標識を見ると大天井ヒュッテまで45分と書いてあるんだけど、ずっと見えていた3つくらいのピークのどれかの直下に小屋があると思っているので、どう考えても1時間半近くかかるのではないかと疑問を持つ。まあ、冷静に考えれば、見えていないところにヒュッテが経っている可能性が高いという話なんですけどね。
そして、ちょっと見上げると中央の尖がりの奥にさらに尖がりがあるようです。そこが一番高いようなので、大天井岳のサミットはあそこなのでしょう。
とにかく、まだまだ遠いと思いつつもお天気もいいし、景色もお花も楽しみつつ進みます。前夜は2,600メートルくらいの標高のテント場で休んでいるせいか体が高山に慣れている感じで体調もよく、歩行自体は順調でした。秋のお花の写真を撮る余裕も結構あった。
で、ガシガシ頑張って進んでいると、ビックリ平から30分ちょっとで急に大天井ヒュッテが眼前に現れました。これにはそれこそちょっとビックリしましたが、ここで冷静に状況を分析。地図も出して見直して理解しました。まあ、5万分の1の地図では分かりにくい地形でした。
大天井ヒュッテは槍ヶ岳山荘グループの山小屋で、毎日更新されるブログがとても丁寧です。朝焼けや夕焼けのシーン、星空、お花の時期にはお花の写真など、解説付きでとても楽しい。従業員の方の性格がうかがい知れるようなブログで、私は毎日のように読んでいるファンでした。そこで、宿泊者が出払ってお掃除などで忙しくされているスタッフから山バッジ(表銀座縦走・大天井岳となっているもの)を買い、ブログのお礼などを申し上げました。テント場がないので私が利用する可能性は高くないのですが、小屋泊装備で長期の縦走をするならよい山小屋だと思います。
小屋の近くには、ほんの数輪だけコマクサが残ってくれていました。
ここからは、大きな岩ではないので危険は少ないもののガレていてそれなりに斜度もある、一言でいえば疲れる道を45分くらい登ります。もう一つの山小屋である大天荘は、標高的にここよりはだいぶ上にあるようで、ここは逆縦走の場合体力的な頑張りどころの1つですね。まあ、少し疲れたら槍ヶ岳を振り返ればいいんです。前日歩いた西岳までの道とは見える角度がまた違って、東鎌尾根と北鎌尾根にはさまれた谷を正面に見る角度です。
お花は定番のイワツメクサが結構残っていました。イワツメクサはどこにでもあるし、いつでも咲いているイメージですが、よく見ると小さい星のような可愛い花で可憐です。
秋の主役のトウヤクリンドウも。まあ、実際にはトウヤクリンドウは終盤の株が多かったです。これは比較的形の良かったもの。
で、少し苦労しつつも8時20分頃には大天荘に到着です。やはり宿泊客は出払った後で、まだ縦走中の登山者もまばらな時間帯だったので静かでした。
ここで菓子パンを食べて簡単に栄養補給し、山頂に向かいます。菓子パンは日持ちするし、メロンパンとかカロリー鬼のように高いし、意外と嵩張らないしおにぎりみたいにザックの中で崩壊しないので、行動食として見直しています。さて、山頂には私の他に一人しかいなくて、その方も直ぐにいなくなってしまったので絶景の展望台を独り占めでした。
私の影が映ってしまって間抜けですが、ここにも祠がありました。
祠の向こうには黒部・裏銀座の山深いエリアが、まさに山が重なるように連なっています。
せっかく晴れていてよく見えているので、それぞれの名峰を拡大してみる。まずは裏銀座の野口五郎岳。
黒部の最高峰である水晶岳。裏銀座からの道と鷲羽岳からの道が交差するのが分かる。
その隣の百名山、鷲羽岳。
緑の稜線、三俣蓮華岳、双六岳。
ちょっと視線を右にずらすと高瀬湖も見えています。右手前の白い稜線は、これから進む燕岳方面です。
拡大すると燕山荘も分かりますね。
針ノ木岳。
そして槍ヶ岳。
穂高岳。
奥穂高岳を拡大。後ろにジャンダルムも見えていますね。
素晴らしい景色を独占して楽しんだら、いよいよ表銀座逆縦走の最終ステージ、大天井岳~燕岳の稜線に向かいます。このエントリが長くなっているので、いったんここで切って最終ステージは次のエントリで。