冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

長沢背稜から雲取山、飛龍山の縦走 2

2018-05-04 20:48:43 | 旅行
GW前半の奥多摩・奥秩父縦走山行、2日目の記録です。1日目は東日原から酉谷避難小屋まで。2日目は雲取山に到達してそこでテント泊、3日目は飛龍山に縦走して丹波山村に下山の予定です。
さて、2日目もよく晴れた朝を迎えました。宿泊した酉谷避難小屋の位置的にご来光は見えませんが、夜明け前にトイレに行った時に星がきれいに見えていました。まあ、満月が近かったのでかなり明るく、天の川はくっきりとは見えませんでした。2名の学生さんは夜明け前に出発され、私を含めて残りの3人は5時半ごろほぼ同時に出発しました。ベテランの方は手際よく小屋の掃除もされるので、少し手伝いました。無料で使わせてもらっているので最低限のマナーですね。
で、朝日の照らす長沢背稜を進みます。相変わらずブナやカラマツ主体の道。朝日を浴びてオレンジ色。




長沢背稜で唯一ちょっと危険だと思った崩落地がありましたが、特に問題なく通過できました。


足元のお花はやはりスミレなどが主体ですが、少し違った種類に見えるものがあります。記録の意味で写真を撮りましたが、種類は特定できず。


また、雨が降ると細い流れになると思われるようなところに、ネコノメソウやハナネコノメ(すでに花はほとんど落ちたもの)を見つけました。沢に咲く花々に水の少ないはずの稜線で遭遇できて、ちょっと感動。




出発から45分ほどのところで、ハシリドコロの大群落がありました。


大きな葉が茂っているだけに見えますが、よく見ると下向きに赤黒い釣鐘上の花があります。






まだ蕾のものも。


付近には、ヨゴレネコノメやヤマエンゴサクも見られました。








少し行くと、また湿り気のある地面が出てきて、ツルネコノメソウと思われる花が群生していました。




長沢背稜、いろんなお花が咲いていますね。ちょっとした群生地があるのもなかなかいい。巻き道とは言っても基本的には稜線付近なので、水が乏しくてお花は少ないかと思ったのに。嬉しい誤算です。
順調に歩き続けて出発から1時間少し。樹間から雲取山も見えてきました。


ここでヘリポート出現。やはり遭難者が出るんでしょうね。遭難話は実際によく聞くし。長沢背稜だけなら登山道が明瞭なのですが、ちょっと外すと山深いところで自分の位置が分からなくなるのでしょう。バリエーションルートを行くのはかなりのスキルが要りますね。


この日も富士山はバッチリ。


ほぼコースタイム通りに進み、水松山の辺りで分岐に出ます。芋の木ドッケ、雲取山に向かうべく右に曲がります。この辺り、道標が多く立っているので間違える人はほとんどいないと思いますが、道が広くてやや不明瞭なので注意が必要です。


しばらくはこれまで通りの道に見えますが、、、


実際にはこの分岐を超えて長沢山方面に進むにつれ、植生が明らかに変化してきます。苔が増え、広葉樹は白樺が増え、針葉樹もカラマツからツガやシラビソに変わります。奥秩父の特徴が強くなります。奥多摩は奥秩父山塊の東の端に位置しているので、基本的には似たような植生なのだと思いますが、土壌などに微妙に違いがあるのでしょう。苔が多くなると共に、バイカオーレンが一緒に咲いています。












そして、分岐から約1時間の標高差150メートル程度の渋い登りを経て長沢山に登頂。結構キツク感じます。10分ほど休憩して朝食の残りを食べていると、雲取山荘に泊まられた方々がやって来ました。以降、全部で10名以下ですが、何人かの人とすれ違いました。まあ、歩く人の少ない道です。


8時頃に長沢山を出発し、コースタイムで2時間先の芋の木ドッケを目指します。と、この道で嬉しい出会い。




何と、イワウチワではないですか。今年はこの花を見るために何度か奥多摩に出かけました。絶滅危惧種と言うと言い過ぎかもしれませんが、個体数を減らしている花です。そして、とても可愛い。アセビの咲くところに一緒に咲いていることが多く、今回もアセビの近くに見つけました。








登山道は、それまでの比較的平らで歩きやすい道から大きく変化し、木の根が張り出して歩きにくい道になります。ツガやシラビソの森です。針葉樹の本格的な森は、独特の香りがして気持ちが良いです。




足元にはバイカオーレンやイワウチワが時々出てきて、癒しを提供してくれます。そして、小鳥の鳴き声がとても多く聞こえます。シジュウカラやコガラ、ヒガラ、あるいはウグイスなどの声は何となく分かりますが、それ以外にもたくさんの声が聞こえます。姿はほとんど見えませんが、時々背の低い木に止まっているのを見つけたり、目の前を飛び去るのが見えたりします。いずれも写真には収められません。頑張ってズームしてピントを合わせたと思ったら逃げられる。あの絶妙のタイミングでの逃げは何なんでしょうね。見られていることを察する、五感以外の感覚があるんですかね。芋の木ドッケまでの登りは結構キツイですが、何だかんだでコースタイムよりも早めに登頂です。


この辺りはツガなどの針葉樹の鬱蒼とした森です。これでも、10年程前に比べると立ち枯れた木が多くて森は明るくなっているとか。


芋の木ドッケでも小鳥さんは多く、何とか姿は捉えたものの種類すら判別できない写真。


少し休んで芋の木ドッケを下り、雲取山を目指します。かなり下ってから登り返すことになるので、途中の道から見える雲取山はだいぶ大きい。


和名倉山方面でしょうか。こっちも山深い山域で、時々遭難者が出るようですね。バリエーションルートになるので。


途中に見つけたスミレ。これはアオイスミレかと思うんだけど、確信がない。


芋の木ドッケからの下りが終わり、鞍部である大ダワに着きました。ここで鹿が出てきたんだけど、写真には撮れず。


ここから雲取山荘へは男坂と女坂のどちらかを通ります。以前は女坂を使ったので、今回は男坂。これが厳しい道。約20分の急登です。半日歩いてきてこの段階でこの急登は厳しいですが、苔やバイカオーレンを見ながら現実逃避しつつ登ります。




そして、11時5分ほど前に雲取山荘に到着です。この山域では唯一の食事を出す山小屋で、かなり大きいです。聞いた話では、この日も満員だった模様。


2日目はこの雲取山荘のテント場にテント泊の予定でいたのですが、1泊目の酉谷避難小屋で一緒になった方々から、どうせなら雲取山の山頂直下にある避難小屋に泊った方がいいと勧められました。そのうちお一人は実際に泊られる予定だったし。確かに、GWでテント場は混むし、山荘からは20分以上の比較的険しい道を経ないと山頂に着かないので、2日目のうちに少し多めの水を担ぎ上げていれば山頂の避難小屋の方が便利です。トイレもあるし。問題は、多くの人が泊まるとなると狭いだろうということと、騒ぐ人がいると困る点。それでも、あまりに酷ければテント場に戻ればいいと思い、せっかくのお誘いなので避難小屋に変更しました。結果、これが正解でした。山頂で日没もご来光も見られたし、効率的に時間を使えました。

時間的にはまだまだ早いので、トイレも水場もある雲取山荘のベンチで昼食を取りつつ時間をつぶしました。歩いてきた長沢背稜と思われる方向をを眺める。


そして、12時半ごろ山頂の避難小屋へ。30名近く収容の大きな避難小屋ですが、この日は私を含めて8名しか利用しませんでした。前日はもっと人がいたようです。3連休の中日ということで、避難小屋利用者は少なかった模様。ラッキーです。


ザックを置いて、山頂に景色を眺めに戻ります。この日は快晴に近い状態で、どの方角もとてもよく見渡すことができました。


翌日登る予定の飛龍山。ここから見ると格好いい。左側に前飛龍と呼ばれる小ピークがあり、そこから切れ落ちるようになっているので下山路は急坂で厳しいことが予想されます。


山頂自撮り。


山頂からは、奥多摩の山々や歩いてきた長沢背稜、奥秩父の主脈稜線上にある甲武信ケ岳や金峰山、その北西にある八ヶ岳、そして大菩薩嶺やその奥に大きな富士山も見えたのですが、春の空気の特徴なのか気温がそれなりに高いせいか、全体的に霞んでいて写真ではぼやけています。




しかし、夕暮れ時にはそれなりにハッキリと周囲の風景も姿を見せるようになりました。やはり飛龍山格好いい。




この日は満月で、東の空には登ってきた長沢背稜や奥多摩の山々の上に大きな月が見えました。




そして、太陽は甲武信ケ岳のやや北の辺りに沈んでいきました。


2日目もお天気に恵まれ、無事に長沢背稜を歩き通して雲取山の山頂からの景色も楽しむことができました。避難小屋も利用者が少なくて快適で、十分に休息を取ることができました。夜は7度くらいまで気温が下がりましたが、避難小屋だとテントに比べてずっと暖かいですね。この調子で3日目の飛龍山を制覇し、天平尾根の新緑を楽しめることを期待して就寝です。


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