冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

快晴無風の蓼科山

2015-03-08 22:11:38 | 旅行
少し前ですが、2月21日の土曜日に蓼科山に登りました。この日は快晴無風の絶好のコンディションで、山頂からは八ヶ岳はもちろん、北アルプスから南アルプスまで全部見渡せました。蓼科山を八ヶ岳連峰の最北だと考えれば、これまでの3回に続いて4回目の八ヶ岳連峰訪問はすべて快晴。天気図や天気予報を見ながらお天気のよさそうなタイミングを見計らっているのは事実だけど、相性もよいです。

公共交通機関で都心部からのアクセスとなると、日帰りは難しいのが冬の八ヶ岳。そこで、金曜の夜に茅野に入って駅前のビジネスホテルに泊まって土曜に登頂を狙います。日曜が晴天なら土曜の夜に入ればいいのですが、この週末は土曜は晴れ、日曜は崩れるのが目に見えていたので、この日程に。
泊まるのはいつもとおなじ、「ビジネスホテルさかえや」さんです。消費増税後もシングル一泊4,500円というリーゾナブルなお値段。

そして、土曜の朝7:50に北八ヶ岳ロープウェイ方面に向かうバスに乗ります。お天気が良かったので大勢の登山客がいました。多くは北横岳などを楽しむものと思われます。


8時45分ごろに石臼平別荘地バス停で下車。標高1,550メートルくらいの地点ですね。私を含めて3名が降りて、蓼科山に向かいました。
ここから蓼科山の登山口である女神茶屋登山口まで40分ほど、ビーナスラインという道路を歩きます。冬の蓼科山には登山口までバスが行かないのが悲しいところ。しかも、この日はお天気が良かったのでスキー客などの多くの車が通り、ビーナスラインを歩くのは気を使いました。自動車を運転している人も、邪魔な登山客だと思ったでしょうが。

ビーナスラインを少し行くと、目指す蓼科山が見えます。頂上が平たい、独特の形。ちなみに、蓼科山は神話では女神さまらしいです。


ビーナスラインからの景色もなかなかよくて、所々に駐車場や展望ポイントがありました。カラマツやブナの木々が青空と雪に映える。1月には大雪でこのあたりの木にも雪がついていたのかもしれません。


9時25分ごろに女神茶屋登山口に到着。トイレはありませんでした。ここが標高1,730メートル。


序盤からかなりの急な登りが待ち受けていることは、ヤマレコなどのレポートや地図の等高線の混み具合から明らかだったので、最初からアイゼンを装着して臨みました。
少し行くと熊棚を発見。熊さんに会わないのが冬の利点です。


10分くらい行くと左に曲がります。ここから最初の急登です。この日は気温も高かったので、直ぐに汗が噴き出し、アウターシェルはザックにしまいました。インナーの上に長袖のTシャツ、その上にフリースという格好で登りましたが、フリースも前は開けていました。
急坂なのだが、いつもながら写真にすると伝わらない。


序盤では木々の雪はほとんど落ちていましたが、それでもちょっとだけモンスターになったものがかわいいです。


この急坂を突破するとしばらくは緩い道ですが、地図は嘘をつきません。標高2,100メートルの標識のあるチェックポイントまで、200メートル近くを一気に登る急坂が現れます。


入山者が多い山なので、登山道はトレースがついてハッキリしています。迷うことはないでしょう。しかし、愚かにもトレースの上を尻セードする輩がいるので、急坂でステップが消えている上にアイスバーン化しているところがあり、斜度30度以上のツルツルの氷の坂となっていて危険なところがあります。私は12本爪のアイゼンなので、前爪を蹴り込んで一歩一歩進むことができますが、装備のしっかりしていない人は難儀したでしょう。ちなみに、下山中に尻セードしてくる中年単独行の人がいたので、叱りつけました。私のすぐ後ろを歩いていた方も一緒になって怒ってくれたのですが、この女、笑いながら「ハーイ」と生返事1つで駆け下りて行きました。迷惑な手合いです。山岳警察は、こういうのは逮捕したほうがいいでしょう。ちなみに女でしたが。山ガールとか言ってる場合じゃない。

標高を上げていくにつれ、振り返ると中央アルプス木曽山脈や南アルプスの山々が見えるようになります。2013年の初めてのテント泊をした木曽駒ヶ岳は、雪山シーズンにも条件のいい時を狙って挑戦したいと思う山の1つです。南アルプスでは仙丈ケ岳に冬季に挑戦したいです。いずれも、冬山を征服するというよりも、絶景を楽しむためのターゲットなのですが。


標高2,100メートルのチェックポイントは、南八ヶ岳方面の展望もよく、休憩するにはよいところです。しかし、この日は数名の人が既に休憩していて混雑気味だったので、私はそのまま登り続けました。ここからしばらくは比較的平坦な道で、周囲の雪の積もったシラビソやシラカバを楽しみながら進みます。動物の足跡は見ませんでした。登山者が多すぎるんですかね。

そして、このあと少し行くと、あとは頂上直下まで400メートル近い標高差を一気に登る急登が始まります。修行のようでした。暑くて。雪山なのに。


登っている時はあまり意識しませんでしたが、やはりこの急登はかなりのものだったらしいです。翌日は腿の表が筋肉痛でした。アイゼン着けて思い足を上げて、前爪を蹴り込んで40度近い斜度の坂を登るのはそれなりに負担ですね。

森林限界が近づくと、この山域に特徴的な縞枯れ帯が現れました。


縞枯れた木々に雪が着いて、モンスター的な状況。


八ヶ岳ブルーの下、美しい雪景色ですが、終盤ということでかなり息が上がっています。相当な斜度があるのが分かるでしょうか。


これならよく分かるかも。森林限界を越えたところです。


一気に眺望が広がります。南八ヶ岳方面もハッキリ見えます。やはり勇壮な山容。蓼科山とは好対照ですね。南八ヶ岳は男山ですね。


ちなみに、下を見るとこんな感じです。足を踏み外すようなところはなかったので大丈夫ですが、もしも滑落したら結構下まで落ちそうですね。


そして、11時45分頃に登頂。今年の冬の目標の1つだった蓼科山を制覇です。それにしても暑い。


まったく個人的なは話ですが、この日は持ってきたワンデイコンタクトレンズが装着時になぜか裂けてしまい、眼鏡をかけて登っていました。森林限界を越えてからは日差しが強いので眼鏡の上からサングラスをかけるという間抜けな図に。

火山である蓼科山の山頂は広く、岩でゴツゴツしています。しかし、この冬は雪が多めということで、風の強い日が多い山頂でも雪が飛ばされずに結構残っており、比較的歩きやすかったです。


山頂神社。無事登頂できたことと絶好のコンディションに感謝。


蓼科山頂ヒュッテは埋まっていました。


山頂は本当に360度の大展望台です。これは浅間山方面。


北を見れば妙高、火打など頸城山塊。


北アルプスもハッキリ見えました。昨年の秋に登って以来贔屓の鹿島槍ヶ岳。双耳峰で目立ちます。圧倒的に格好いい。


自分の登った山やその山から続く稜線は確認しやすいですね。鹿島槍から針の木まで分かりました。そして、これは北アルプスの中でも最メジャーの槍・穂高連峰。やはり真っ白ですね。


御嶽山。いつも思いますが、この山の存在感は凄い。


南アルプス。雪の量は北アルプスほどではないですが、大きな山容が格好いい。右から、仙丈ケ岳。7月に登りましたが、雪のシーズンにもいつか挑戦したい山です。少し奥まった黒いのが塩見岳。これはいずれ北岳から夏に大縦走したいと思っているターゲット。そして形のいい甲斐駒ヶ岳、間ノ岳、北岳でしょう。山座同定もだいぶできるようになってきた。


そして一周して八ヶ岳。蓼科山からの眺望では、やはり赤岳から阿弥陀岳が一番格好いいですね。


去年の3月に強風の中登頂した天狗岳。こうして見ると意外と低く見えます。後ろに標高のより高い硫黄岳があるからでしょう。


お隣の北横岳。スノーシューハイキングをしている人で賑わっていると思われます。


風もなく、心地よかったので1時間弱山頂に滞在して絶景を楽しみました。ずっと滞在したい感じでしたが、温泉に入って最後のバスに間に合うように12時40分くらいに下山を開始。
森林限界付近から山頂方面を振り返ります。本当にお天気に恵まれました。


まあ、日焼け止めを塗らなかったので顔面の皮がむけるほど日焼けしたのは失敗。
下山も樹氷などを見ながら快適でしたが、心無い尻セードでツルツル40度アイスバーンになっているところは慎重にならざるを得ませんでした。


あと、とても残念なのはゴミが多かったこと。基本的にすべての山行で何らかのごみを拾っていますが、この日は異常。ペットボトル3本。うち2本はまだ半分くらい入っていて、落としたのかもしれませんが、いずれにしてもゴミです。まったく、自然はそこにあるだけで何もできないのに、そこに勝手に入っていって傷めつけるのはやめてほしい。急坂の下りで不安なのか、登山道沿いの木の枝に捉まった結果と思われる、折れた枝も散見しました。折角お天気に恵まれて絶景だったのに、こうしたつまらないことのために気分的にはイラついていました。

何だかんだ言いながら、1時間15分ほどで登山口に戻ってきました。登山口近くには立派なん白樺があって、とても綺麗で威厳があります。


地図を見ると女神茶屋の近くから信玄棒道という裏道があるので、そちらが通れるならそこを通ってプール平の蓼科共同浴場まで歩こうと思っていました。しかし、行ってみると誰も歩いていないようで、道は深い雪の下。ここをルートファインディングしながら腿までのラッセルというのは自殺行為なので、仕方なく車の多いビーナスラインを引き返します。


ちなみに、この信玄棒道の付近で、この日唯一の動物の足跡を見ました。カモシカですかね。


バスの時間の関係で、朝来る時に使った石臼平のバス停では40分くらい待たないと次のバスが来ない状況だったので、共同浴場まで歩くつもりでそのままビーナスラインを下りました。さすがに疲れと車道を行く緊張でやる気が徐々に失せ、結局は途中の笹丸平バス停でおにぎりを食べながら次のバスを待ちました。
プール平バス停の直ぐ向かいにある蓼科共同浴場は、入浴料500円。シャンプーは別売りで100円だったかな。レトロな感じですが、お湯がとても気持ち良かったです。熱めのお湯がはられていて、温まりました。


入浴後は、バス停脇にあるお土産屋さんで地ビールなどを購入し、4時33分のバスで茅野に戻りました。帰りはあずさで新宿へ。
とにかくお天気に恵まれたために順調すぎるほど順調な雪山行でした。すべての雪山がこんなにうまくいくわけではないので、今後も気を抜かずにいきたいです。まあ、天気に気を付けるのがとにかく大事ですね。夏山なら、厳しい岩場でもない限りは天気が多少悪くても景色が残念な程度でしょうが、冬山では天気が悪いと生死にかかわるでしょうし。
この冬は、3月に後立山の唐松岳と日光の奥白根山の、少なくともどちらか1つには挑戦したいと思っています。

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