予想通り2日目は雨。早朝に出発して鷲羽岳、そして余裕があれば水晶岳まで登ってから黒部五郎小屋まで下ってテントを設営するというのが理想の行程でしたが、山頂に立っても何も見えないことが確実な状況では鷲羽、水晶という黒部の奥地にある百名山は諦め、単に黒部五郎小屋までの移動日とします。あー、三俣峠からの鷲羽岳とか、鷲羽岳から見る槍ヶ岳とか、絶景シーンが見たかったのに残念。
天気図を見て考えていたのは、雨が強いのは午前中で、午後になればましになるだろうということ。運が良ければ曇りにまで回復するかも。
下山していく方々が次々にテントを撤収して去っていくのを時々自分のテントから顔を出して確認しながら、文庫本読んだりして時間をつぶします。結局10時頃に少し小降りになったところで自分もテントを撤収し、双六小屋へ移動。昼ごはんを食べてゆっくりしながら11時頃に黒部五郎小屋に出発です。3時間半程度の道のりです。
ところで、双六小屋で超人的な青年に出会いました。90リットルザックを担いで日本海から太平洋までアルプスを縦断するということでした。北海道出身で、普段は日高山脈などを歩かれているようです。登山道や山小屋の整ったアルプスよりよほど厳しい条件に慣れているんでしょうけど、それにしてもタフな人がいるものです。
雨は結局降り続けていました。そして、登山道は多くのところで川になっていました。
比較的楽だとされる巻き道ルートを取りましたが、所々急な上り下りがあり、雨で思い切り濡れた岩は滑るので注意が必要でした。
雨の中でも健気に高山植物の花々が咲いています。一番の見ごろはやはり梅雨明けから2週間くらいなのでしょう。
一方、遠景の景色は絶望的。
雨に濡れながらも三俣峠に到着しました。晴れていれば、ここから三俣山荘越しに鷲羽岳の雄姿が眺められるはずですが、もちろんこの日は無理。雑誌などでも定番の絶景ポイントなんですけどね。やはりお天気は大事だ。
ここから20分ほど登ると三俣蓮華岳の山頂に着きます。写真を整理してみると、この辺りの登りや黒部五郎小屋までの下りは結構険しいところもあったようですが、よく覚えていません。自棄になって自撮り写真とかもありますが、本音では早くこの惨めな山歩きを終わらせて小屋にたどり着きたいと思っていたという記憶があります。
そんな時も花には目が行く。
そして三俣蓮華岳登頂。視界ゼロ。
三俣と言われるように、今でも富山県、岐阜県、長野県の3県の県境です。
黒部五郎小屋を目指します。何となく癒される標識。
ハイマツの間の道。そして視界はない。
道は小川である。
ゴアテックス性能の登山靴って凄いと思いましたよ。3年目になるテクニカというあまり有名でない(と思われる)メーカーの靴ですけどね。好日山荘でセールで買ったやつ。これまでも初心者の私を穂高岳、針ノ木や鹿島槍、甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳でサポートしてくれた訳ですが、この日もほとんど濡れませんでした。自分のミスで水たまりに思い切りハマったので流石にちょっとは水が入りましたが、ほぼ完璧でした。
そして、ついに黒部五郎小屋が霧の中に現れました。まさに砂漠のオアシス状態。
さすがにこの日はテント場には一張もなかったです。私も小屋泊に切り替えました。
それにしても、黒部五郎小屋のスタッフはとても親切で、今でも思い出すとありがたさがこみ上げてきますね。乾燥室には靴まで持ち込んでよくて、皆さんもちろん泥は落として持ち込みますけど、それでも後日清掃はたいへんだったでしょう。雨に濡れて寒くて惨めな状況の登山者にはありがたい心遣いです。
ここではスイスからの旅行者5人組に出会いました。本場のスイスアルプスは道が整備されていていいけど、ちょっとツーリスティックらしい。日本では山頂まで普通に登りながら縦走できるし楽しいとのこと。ただ、持っていたガイドブックのコースタイムが短すぎて参考にならないと笑ってました。室堂から入って槍ヶ岳に登って上高地方面に下山する予定とのこと。日本の観光資源は、インターネットを通じて世界の人に相当知られていますね。熊野古道や鬼怒沼に行った時にも思いましたが。
この日は早湯でパスタと、前日の豚肉・茄子の残りで豪華に食事しました。コーヒーも飲んで一服。他の登山者の方々と情報交換しました。状況が状況なので、食事くらい楽しまないと。スイスの方々も騒々しくパスタを調理していました。グループも楽しそうですね。
雨のせいで2日目の行動は大幅に制限されましたが、結果的には体力温存につながったのかもしれません。山行前には4日間のガッツリ山旅に多少不安を覚えていましたが、実際には3日目以降も普通に行動できました。
さて、翌日はガスの中朝5時に出発。雨こそほとんど降っていないか霧雨程度でしたが、眺望はやはり期待できない感じ。黒部五郎岳のカールはとても楽しみにしていたので、残念。遅い時間の方が天気が回復するのは分かっていましたが、この日は太郎平小屋の先にある薬師峠のテント場まで8時間程度の道を行く予定なので、念のために早めに出ました。
しかし相変わらず小川である。
花は咲いているが。
黙々と歩くと、どうやらカールに突入した模様。しかし、眺望がないので状況が不明。
雷岩という大きな岩があるらしいので、注意していたのだが確認できず。これじゃないよね。
カール内部にも花は多かったですが、全体的に盛りは過ぎていました。
ちょっと日が差すとカールの一部とはいえども大きな景色が見え、思わず写真を撮る。しかし、後で見直すとやはりガスが目立つ。
まあ、全体的に残念な結果です。カールの登りはかなり斜度もあるエグい登りでした。テント泊装備だときつくて、小屋泊装備の方に抜かれていました。この登りも、カールの絶景があれば報われただろうに。
そして、山頂直下の方のところにザックをデポしていよいよ山頂へ。この旅で最初の100名山、黒部五郎岳2,840メートルです。
地図では大展望と書いてあります。確かに、薬師岳、雲の平、水晶岳に鷲羽岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳などすべてを見渡して足元にはカールが広がるはず。
しかし、この日は御覧の通り無残。
山頂には何やら神様が祀られていました。展望はないですが、コンディションのよくない中で安全に旅できているので感謝。
トウヤクリンドウがお約束のように蕾状態で迎えてくれました。
さて、この後は4時間程度黙々と稜線歩きです。本来はこの稜線はアルプスらしい大絶景が期待できるのだと思いますが、この日は黙々と行く修行です。アップダウンが特にキツかったという記憶はないですが、それでも延々と展望のない道を行くのはつらいですね。ハイマツ帯の中を縫うように進みました。
忘れているだけで結構厳しい道もあった模様。
ハクサンボウフウはたくさん咲いていて、これが癒しになってくれました。
ミヤマリンドウも。
幾つかの小ピークを越えて約3時間歩き、北ノ俣岳に到着。相変わらず眺望は残念。
お天気に恵まれず辛い道のりが続いていましたが、北ノ俣岳を過ぎてしばらくすると様子が変わってきました。晴れ間も見え始め、なにより雲が取れてきて眺望が得られるようになってきました。すると、地図で赤木平とされているところだと思いますが、高原の牧場のように美しい風景が現れました。
急に天国を歩いているような風景になります。
さっきまでガスで見えなかったのに。お花畑も凄いんですね。
そして夏空。
あー、黒部五郎岳のカールから山頂の絶景、そしてここまでの稜線、晴れていれば大感動なんだろうなあ。これは絶対リベンジが必要だな。スイスの若者のように立山から歩くのもいいな。その時にも黒部五郎小屋に泊まって、お土産で何か持って行って少しでも恩返ししたいよ。
3日目の長い行程では最後の2時間程度、やっとお天気が回復して景色を楽しむことができました。次回の記事では、その時の風景と4日目の薬師岳でフィニッシュです。
天気図を見て考えていたのは、雨が強いのは午前中で、午後になればましになるだろうということ。運が良ければ曇りにまで回復するかも。
下山していく方々が次々にテントを撤収して去っていくのを時々自分のテントから顔を出して確認しながら、文庫本読んだりして時間をつぶします。結局10時頃に少し小降りになったところで自分もテントを撤収し、双六小屋へ移動。昼ごはんを食べてゆっくりしながら11時頃に黒部五郎小屋に出発です。3時間半程度の道のりです。
ところで、双六小屋で超人的な青年に出会いました。90リットルザックを担いで日本海から太平洋までアルプスを縦断するということでした。北海道出身で、普段は日高山脈などを歩かれているようです。登山道や山小屋の整ったアルプスよりよほど厳しい条件に慣れているんでしょうけど、それにしてもタフな人がいるものです。
雨は結局降り続けていました。そして、登山道は多くのところで川になっていました。
比較的楽だとされる巻き道ルートを取りましたが、所々急な上り下りがあり、雨で思い切り濡れた岩は滑るので注意が必要でした。
雨の中でも健気に高山植物の花々が咲いています。一番の見ごろはやはり梅雨明けから2週間くらいなのでしょう。
一方、遠景の景色は絶望的。
雨に濡れながらも三俣峠に到着しました。晴れていれば、ここから三俣山荘越しに鷲羽岳の雄姿が眺められるはずですが、もちろんこの日は無理。雑誌などでも定番の絶景ポイントなんですけどね。やはりお天気は大事だ。
ここから20分ほど登ると三俣蓮華岳の山頂に着きます。写真を整理してみると、この辺りの登りや黒部五郎小屋までの下りは結構険しいところもあったようですが、よく覚えていません。自棄になって自撮り写真とかもありますが、本音では早くこの惨めな山歩きを終わらせて小屋にたどり着きたいと思っていたという記憶があります。
そんな時も花には目が行く。
そして三俣蓮華岳登頂。視界ゼロ。
三俣と言われるように、今でも富山県、岐阜県、長野県の3県の県境です。
黒部五郎小屋を目指します。何となく癒される標識。
ハイマツの間の道。そして視界はない。
道は小川である。
ゴアテックス性能の登山靴って凄いと思いましたよ。3年目になるテクニカというあまり有名でない(と思われる)メーカーの靴ですけどね。好日山荘でセールで買ったやつ。これまでも初心者の私を穂高岳、針ノ木や鹿島槍、甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳でサポートしてくれた訳ですが、この日もほとんど濡れませんでした。自分のミスで水たまりに思い切りハマったので流石にちょっとは水が入りましたが、ほぼ完璧でした。
そして、ついに黒部五郎小屋が霧の中に現れました。まさに砂漠のオアシス状態。
さすがにこの日はテント場には一張もなかったです。私も小屋泊に切り替えました。
それにしても、黒部五郎小屋のスタッフはとても親切で、今でも思い出すとありがたさがこみ上げてきますね。乾燥室には靴まで持ち込んでよくて、皆さんもちろん泥は落として持ち込みますけど、それでも後日清掃はたいへんだったでしょう。雨に濡れて寒くて惨めな状況の登山者にはありがたい心遣いです。
ここではスイスからの旅行者5人組に出会いました。本場のスイスアルプスは道が整備されていていいけど、ちょっとツーリスティックらしい。日本では山頂まで普通に登りながら縦走できるし楽しいとのこと。ただ、持っていたガイドブックのコースタイムが短すぎて参考にならないと笑ってました。室堂から入って槍ヶ岳に登って上高地方面に下山する予定とのこと。日本の観光資源は、インターネットを通じて世界の人に相当知られていますね。熊野古道や鬼怒沼に行った時にも思いましたが。
この日は早湯でパスタと、前日の豚肉・茄子の残りで豪華に食事しました。コーヒーも飲んで一服。他の登山者の方々と情報交換しました。状況が状況なので、食事くらい楽しまないと。スイスの方々も騒々しくパスタを調理していました。グループも楽しそうですね。
雨のせいで2日目の行動は大幅に制限されましたが、結果的には体力温存につながったのかもしれません。山行前には4日間のガッツリ山旅に多少不安を覚えていましたが、実際には3日目以降も普通に行動できました。
さて、翌日はガスの中朝5時に出発。雨こそほとんど降っていないか霧雨程度でしたが、眺望はやはり期待できない感じ。黒部五郎岳のカールはとても楽しみにしていたので、残念。遅い時間の方が天気が回復するのは分かっていましたが、この日は太郎平小屋の先にある薬師峠のテント場まで8時間程度の道を行く予定なので、念のために早めに出ました。
しかし相変わらず小川である。
花は咲いているが。
黙々と歩くと、どうやらカールに突入した模様。しかし、眺望がないので状況が不明。
雷岩という大きな岩があるらしいので、注意していたのだが確認できず。これじゃないよね。
カール内部にも花は多かったですが、全体的に盛りは過ぎていました。
ちょっと日が差すとカールの一部とはいえども大きな景色が見え、思わず写真を撮る。しかし、後で見直すとやはりガスが目立つ。
まあ、全体的に残念な結果です。カールの登りはかなり斜度もあるエグい登りでした。テント泊装備だときつくて、小屋泊装備の方に抜かれていました。この登りも、カールの絶景があれば報われただろうに。
そして、山頂直下の方のところにザックをデポしていよいよ山頂へ。この旅で最初の100名山、黒部五郎岳2,840メートルです。
地図では大展望と書いてあります。確かに、薬師岳、雲の平、水晶岳に鷲羽岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳などすべてを見渡して足元にはカールが広がるはず。
しかし、この日は御覧の通り無残。
山頂には何やら神様が祀られていました。展望はないですが、コンディションのよくない中で安全に旅できているので感謝。
トウヤクリンドウがお約束のように蕾状態で迎えてくれました。
さて、この後は4時間程度黙々と稜線歩きです。本来はこの稜線はアルプスらしい大絶景が期待できるのだと思いますが、この日は黙々と行く修行です。アップダウンが特にキツかったという記憶はないですが、それでも延々と展望のない道を行くのはつらいですね。ハイマツ帯の中を縫うように進みました。
忘れているだけで結構厳しい道もあった模様。
ハクサンボウフウはたくさん咲いていて、これが癒しになってくれました。
ミヤマリンドウも。
幾つかの小ピークを越えて約3時間歩き、北ノ俣岳に到着。相変わらず眺望は残念。
お天気に恵まれず辛い道のりが続いていましたが、北ノ俣岳を過ぎてしばらくすると様子が変わってきました。晴れ間も見え始め、なにより雲が取れてきて眺望が得られるようになってきました。すると、地図で赤木平とされているところだと思いますが、高原の牧場のように美しい風景が現れました。
急に天国を歩いているような風景になります。
さっきまでガスで見えなかったのに。お花畑も凄いんですね。
そして夏空。
あー、黒部五郎岳のカールから山頂の絶景、そしてここまでの稜線、晴れていれば大感動なんだろうなあ。これは絶対リベンジが必要だな。スイスの若者のように立山から歩くのもいいな。その時にも黒部五郎小屋に泊まって、お土産で何か持って行って少しでも恩返ししたいよ。
3日目の長い行程では最後の2時間程度、やっとお天気が回復して景色を楽しむことができました。次回の記事では、その時の風景と4日目の薬師岳でフィニッシュです。