一陽来福  ~齋藤一陽による截金の日々~

伝統工芸。截金職人齋藤一陽が、日々の物創りの様子を紹介します。

その世界観にふれる

2010-10-02 11:41:27 | うんちく
その人の生みだす世界観に引き込まれてしまったら、
もう、捕らわれの身の上です。。

先日、南座 九月大歌舞伎 通し狂言義経千本桜の千秋楽にお誘いを受けて^^
ご近所さんと一緒に拝見してきました。
玉さま~~(笑)

昼の部なので、鳥居前・渡海屋、大物浦・道行初音旅
歌舞伎で一階席は初めて!!
以前玉三郎さんを拝見した時は、3階席でしかも人形振りだったので、美しかったですけれど歌舞伎(お芝居)って感じでは無かったのですが、

今回ボロ泣き。。
特に大物浦では安徳帝の入水のお話があり、玉三郎さん扮する典侍の局にすっかり引き込まれ、巻き込まれ、捕らわれてしまいました。
玉三郎さんは、美しいだけでないその存在全身全霊でもって、有無を言わさぬ世界観をつくりだしているようです。すごい。。
その圧倒的なものに、抗えません。
もうずっとみていたかった。。



そういえば、初めて狂言を拝見したのが茂山千作さんでした。
その時も有無を言わさずの笑いに引き込まれ、可笑しくて可笑しくて、たまらなかったのです。
もう出てきただけで、笑いの空気が堂内に構築されて、一振りされれば如何様にもされてしまいそうな、ただ成す術もなく笑わされてしまうという不思議な体験でした。

は~しかしプロの役者さんてすごいものなんですね~

ただこんな有無を言わせぬ世界観を拵える方というのは、やはりそうそうおられないとは思いますが、資質の他にも、凄まじい修練と努力を感じてしまいます。
でもそういう方に限って、努力が全然足りてませんとかおっしゃるんですよね~
爪の垢を下さいませ^^

ところで魅了されて止まない玉三郎さんですが、実際に味わってない内から先にいろいろ調べたりするのが好きでなく、プロフィールなどみたことも無かったのですが、今回いよいよ調べていたらば、なんと!
お誕生日が一陽と一緒でした~~^^わ~
一年は365日もあるというのに、もう尊敬っていうか、崇敬の念を抱いている玉三郎さんと一緒なんて、ほんと嬉しいです~(wiki情報)
それに、今年は休暇にボラボラ島に行かれたんですかね~(玉さまHPの記事より)
これもちょこっと重なってて、ただの偶然とはいえ嬉しいです~  →ボラボラの蒼ガラス記事
京都では円通寺さんに、お参りされるそうで。。一陽も少しご縁があって、やっぱり嬉しかったり^^→円通寺さんご縁記事

それにしても、このつくりだしている世界観ってなんなんでしょう。
どうやって生み出されているんでしょうね。。

私の大好きな石田彰さんも、やはり独自の世界観を生み出してる方だなって、思ったりしています。
どんなに上手に台詞を言ったり、返したり、沢山の声色を使い分けても、演技が上手いって事だけでは無い、
台詞とはまた違って、、

言の葉には、強い威力があるように思います。
例えば、『花』と語ったとき、
はな。その一言で、どんな花であるのか、その想像をさせる世界観というのか。。
赤なのか白なのか、凍てつく中に凛と咲き尽くしているのか、そよぐ柔らかな風の中たおやかに咲きほころんでいるのか、または強く精彩に咲き誇っているのか、その言の葉で表現し、聴く者に想像(創造)させるというのか。。
つまり説得力なんだろうか?。。

石田彰さんの語りに聴いたことでは、
わたし・きみ、と語ったときには、『わたし』は近く、胸の直ぐ側に発する感じに、『きみ』は少し遠くに肩越しの相手に放おるように発っせられて、そこに距離感が生まれ空間が発生したり。
何かを回想したり、強い思いを抑えながらの台詞には、声がグッと奥に感じたり、そして揺らぐ心が、かすかなゆらぐ声に表現されていたりなのです。

そんな風に奥行きのようなものをもってつくられた語りは、とても想像力を掻き立てられます。
なんていうか、私にしてみればすごく刺激を受けている訳なんです。
ありがたいことです^^

ただ、私が勝手にそう感じているだけで、石田彰さんが、どこまで計算して語っておられるのか、また自然にされていることなのかは解りません。
お尋ねしてみたいものですね^^

因みに、石田さんがお好きだという某ユニット歌手は、正直私にはよく分からなかったのですが、多分、石田さんって空間処理の方なのかな?と、また勝手にですが少し納得もしたりしたのでした。

どーでも良い話ですが、
あんまりカッとなって夢中になると、引き際も早かったりするんですよね。
仕事以外では、私も熱し難く(めったに熱しないけれど一度熱するとカッとなる)冷めやすくて、大好きになった音楽を朝から晩まで聴きつづけ、ある時ふと、何も響かなくなったとき、とても寂しくなります。
でも截金に纏わることは、永続きしてるみたいなんで、何か一つ残るならば、まあ良しとしますか~

そしていつか、ものつくりでも
有無を云わせぬ世界観を生みだすことができたなら。。って思っています。




《追記》
あと、これ。とても楽しみでなりません~
くるみ割り人形のドラマCDで、石田彰さん9役+釘宮理恵さん3役。
指揮者サイモン・ラトル、ベルリン・フィルハーモニー、リベラとのコラボレーション企画だそうです。
すごい試みですね~どんな仕上がりになるんでしょう~

下記にインタビュー映像があります。

http://www.emimusic.jp/classic/rattle/special/toce56367.htm


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