ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

アメとムチのバナナ農園

2008年06月14日 | 先住民ブラアンの子どもたち
ゆきよ@まにら。

ジェンサン市内から、ICANの事業地であるブラアンの村の小学校へ向かう途中に、広大なバナナ農園が広がっている。バナナの房は水色の袋に包まれて、育てられている。



このバナナ農園を運営する企業が、この土地を借り上げる際に、この地域の役人と契約を交わし、誰でも農園のバナナを採って食べてよいことになった。その場で食べられる分だけ採って食べていいが、たくさん採って持ち帰ってはいけない、ということになっているそうだ。おかげでおなかをすかせた子どもが登校途中に、採って食べることができるようになったと、小学校の先生は話していた。

この農園で働く人々の手取りは、200ペソ弱(500円弱)。保険や年金も入っていて、パヤタスのごみ山で廃品回収するよりも稼ぎはよい。しかし、殺虫剤や防腐剤のために体調を崩す人もいるとのことだ。

バナナにはいろいろな種類があるが、この農園で作っているのは、キャベンディッシュという種類。日本のスーパーマーケットに並んでいるのが、このキャベンディッシュだ。長くてきれいな黄色のバナナ。でも、フィリピンの人たちがたいてい食べるのは、ラカタンやラトゥンダンと呼ばれているもっと小ぶりの少し黒ずんだバナナだ。こちらのほうが甘みが強く、栄養価も高いとか。ラカタンはカリウムが豊富で、ラトゥンダンは消化を助ける作用があるという。実際、キャベンディッシュよりも、ラカタンやラトウンダンのほうがおいしいと感じるのは、前者が輸出用として美しく商品化するために化学物質漬けになってないからかもしれない。バナナプランテーションの土壌は、化学肥料や殺虫剤などの影響で痛んでしまうらしい。「あの農園のバナナが育っているのは、すでに土壌の力なのではなくて、化学肥料のためなんだよ。」と話す先生もいた。



これがラカタン。


うーん。そんなバナナが日本の食卓へと運ばれているのか。農園のおかげでその土地の人たちは、空腹からのがれられるかもしれないが、土壌と労働者の健康は犠牲になっているままである。