ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

雷雨のあとの陽気さ。

2008年06月12日 | ひとりごと
ゆきも@まにら

午後からの憂鬱な雷雨が静まった昨夜、ICANがとてもお世話になっている仲間のご家族のお通夜に参列した。何の罪もない人たち5人が、先日、残虐極まりない犯罪の犠牲者となり亡くなられたのだ。事件のあった10日は新学期が始まる日。フィリピン中の多くの子どもたちが、この日のために用意した服に腕を通し、愛する家族に囲まれながらとびきりはしゃいで一日を過ごしたことだろう。

白昼の惨事は、フィリピンのネットワークNGO(財団のアソシエーション)で事務局長として働くオーマンさんの耳にどんなにか鈍く響いたことだろう。彼のご両親の家にいた3歳になる娘さん、そしてお母さん、お父さん、お手伝いさん3人を含む5人がギャングと見られる犯罪者たちにより身体を縛られ刺され、放火された。87歳になるお父さんだけがかろうじて生き残り、現在病院で24時間監視のもと治療が続いているそうだ。

フィリピンのお通夜の想像を絶する「陽気さ」に少したじろいだ。涙を見せてしまったのは日本人のわたしくらいだったかもしれない。日本人のわたしはまさに地獄を味わっている人を前にすると、こちらにも否定的な感情が湧きあがり、相手になんとか気の利いた「勇気づけ」のことばを、と思ってしまう。しかし、参列客にもまして、次から次へと現る参列客を前に近づき、あちこち顔を見つけては最高の笑顔を振りまく彼の姿を見て、我慢していた感情が溢れ涙が止まらなかった。結局、ひくひく言いながら涙目で近づく私は、ずっと考えていたのにどんな言葉を口にしたらいいのか分からないまま、ただオーマンさんにハグをしてもらい、こちらが慰められた感じだった。

オーマンさんは、フィリピンに数多くあるNGOを傘下に抱えネットワーキングやNGOの能力開発のために従事する団体の長として、日々、大変なプレッシャーと大きな責任感を持って仕事に臨んでおられる素晴らしい方だ。そんな家族思いで子煩悩の彼の身にこんな悲劇が訪れるなんて。持ち前とユーモアと人間性でその「凄さ」を隠せるオーマンさんは、絶望感まで隠せるのか、と思うと今でも言葉がない。

オーマンさんのお母様、娘さん、そして3人のお手伝いさんのご冥福を心からお祈り致します。そして、お父様が一日でも早く回復されますように。オーマンさんと残されたご家族がこれから平穏で癒しの日々を過ごされますように。