ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

身をまもるための武器

2008年06月03日 | 紛争地の子どもたち
ゆきよ@まにら。

通勤に使う長距離バスには、たいていテレビがついている。たまにドラえもんのフィリピン語版とかも流れているが、たいていDVDの映画が放映されている。昨日の朝は、アメリカで製作された何かの戦争映画をやっていて、朝っぱらから、目の前で人がたくさん死ぬ映像を見せられた。前を見ずに横の田園風景を眺めるように努めていても、どうしても目の前の映像が目に入ってきてしまう。一般市民、子どもたちも、炎のなかに投げ入れられたり、軍靴で踏みつけられたり、撃たれたり、刺されたりしていた。心静かにバスに座っていたいだけなのに、こんなのを意思に反して見せられて、不快になりながら、でも、実際の戦争・内紛はもっとひどいんだろうなと思う。自分の家族や自分の家や自分の地域がこんなひどいことになって、残された人々にどれだけ深い傷を残すことか。

日本に留学中のミンダナオ・ピキット近郊の出身のフィリピン人が、武器にたいして怖がる日本人の友人の様子に、武器にたいする文化がまったく違うことを実感したという。内紛の舞台となったピキットやその周辺の子どもたちにとって、家に武器があることはごくあたりまえのことである。

ICANがパートナーNGOと行っているピキット事業のなかで、武器をもたないように子どもたちを教育できないか考えたことがあった。でも武器イコール護身である現在の環境のなかで、武器を手放すようにとの言説は、それ自体が危険らしい。ミンダナオの和平交渉がなかなか前進しないなか、一般市民のあいだでも武器が不必要になる日はかなり遠いようだ。