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キリンとサントリーとの経営統合交渉が決裂!!! 統合比率などで溝が埋まらず

2010-02-09 05:03:20 | Weblog
キリンとサントリーの統合交渉が決裂、統合比率などで溝が埋まらず 2010年02月8日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnTK037490420100208
 キリンホールディングスとサントリーホールディングス(大阪市)は8日、両社の経営統合交渉を終了したと発表した。昨年7月に始まった経営統合交渉は、決裂という結果に終わった。
 キリンは「統合新会社は経営の独立性・透明性が十分に担保されるべきと考えていたが、この点でサントリーとの間で認識に相違があった」としている。一方、サントリーは「統合比率をはじめ、キリン社との間に認識の相違があり、当社が追い求めている新会社の実現は難しいと判断した」と述べている。
 サントリーは、創業一族の資産管理会社である「寿不動産」が約89%のサントリー株を保有。統合比率次第では、新会社の経営方針に単独で拒否権を持てる3分の1超の株式を保有する可能性があり、両社間で統合比率をめぐる交渉が長期化していた。

経営統合交渉の決裂、新会社の独立性担保できないと判断 2010年02月8日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK037520620100208
 キリンホールディングスの加藤壹康社長は8日の会見で、サントリーホールディングス(大阪市)との経営統合決裂の理由について、サントリー側の提案を受け入れれば、株式を公開する会社として統合新会社の経営の独立性・透明性が十分に担保できないと判断したことを明らかにした。サントリーとの交渉は打ち切ったものの、M&Aはグループにとって重要な成長戦略と位置付けており、今後も模索していく考えを示した。
 8日午前にキリンの加藤社長とサントリーの佐治信忠社長が都内で会談し、交渉の終了を決めた。

<交渉は、統合比率の詰めまでは至らず>
 加藤社長は「グローバルな競争に生き残るためには、今回の統合が果たす役割は様々な面でも大きいと考え交渉を続けてきたが、これ以上交渉を継続することはステークホルダーにとって有益ではないと判断した」と述べた。そのうえで「統合した新会社が、上場企業となることを前提としてどのような経営を行うかで両社間で認識が一致しなかった。経営の独立性、透明性を担保し、顧客、株主、新会社の従業員から理解・賛同してもらうことにはならないと考えた」と、交渉決裂の理由を説明した。
 サントリーは、創業一族の資産管理会社である「寿不動産」が約89%のサントリー株を保有。統合比率次第では、新会社の経営方針に単独で拒否権を持てる3分の1超の株式を保有する可能性があり、両社間で交渉が長期化していた。加藤社長は「統合比率は最後の詰めのところまでいっていない。それ以前に、経営についての協議が行われた」とし、寿不動産が新会社の株式の3分の1以上を保有するかどうかについても「それが(交渉打ち切りの)主たる理由ではない」と述べた。
 交渉開始時から、寿不動産が新会社の大株主となることは分かっていたことであり、「交渉を進めるうちに、異なった要望や見解が出され、双方真摯に協議したが、溝が埋まらなかった」とした。ただ、株主と経営は切り離されるべきとの考えかとの問いに対しては「経営の独立性とはそういうこと」と述べ、新会社の主要株主となる創業家の存在がネックになったことは確かだ。
 交渉の打ち切りに伴って、違約金のようなものは発生しないとした。
 また、一部で、サントリーがキリンの医薬品事業「協和発酵キリン」の売却を求めたと伝えられたが、加藤社長は「医薬品はグループの食と健康の中で重要な位置付け。業績への貢献も非常に大きい。医薬品事業を切り離す考えは全くない」と述べ、今後についてもその可能性を否定した。

<M&Aやアライアンスは成長戦略のひとつ> 
 キリンは、2015年を最終年とする経営構想のなかで「アジア・オセアニアのリーディングカンパニーになる」と打ち出している。サントリーとの経営統合交渉は破談を迎えたが「この案件は(経営構想を打ち出した後の)新規の追加案件のひとつ。この案件がなければ、アジア・オセアニアのリーディングカンパニーに到達できないわけではないということではない。従来からの計画を全うしていくことで可能と確信している」と強調した。
 そのうえで、加藤社長は、M&Aについて「成長戦略のひとつ。オーガニック、今までの延長線上のビジネスだけを展開するわけではない」とし、「ひとつの案件にこだわって戦略を展開しているわけではない。常に戦略オプションは持っている」と述べ、M&Aも含めて成長を考えているとした。
 今後、M&Aを検討するにあたっては、同じ方向性を持ち夢を共有できること、両社が強みを生かすことでリスペクトしながら新会社が経営できること、新会社が顧客や株主・社員にとって希望のもてる経営をしていくこと、1+1が2以上になること、などを必要事項として挙げた。 


“理想のカップル”あえなく破談 企業文化の違いが正面衝突 2010年2月8日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100208/biz1002082012026-n1.htm
 日本人の“胃袋”が縮小する中、世界の列強に対抗できるメガ食品会社を目指した“理想のカップル”は、結婚前にあえなく破談した。キリンホールディングスとサントリーホールディングスの統合交渉は、オーナー会社と上場会社の企業文化の違いが真っ向からぶつかり合った。日本の食品業界を代表する両社の破談は、業界再編の困難さを浮き彫りにすると同時に、企業の国際競争力強化の動きを後退させる懸念もある。

「交渉やめや!」
 「サントリーをばかにしているんか。もう会わん。交渉はやめや。これで、やめや」
 統合交渉が本格化した昨年11月下旬。キリンの加藤壹康社長と都内で会談したサントリーの佐治信忠社長は、キリンが提示した統合比率の提案に激怒した。キリンが提示した統合比率は、キリン1対サントリー0・5強だった。
 「統合比率が半分とはサントリーと社員をばかにしている。サントリーはそんな軽い会社ではない」。佐治社長は、会談の席を立った。統合交渉は一転、破談へと“歯車”が動き出す。
 サントリーが激怒したのは、同社に約90%を出資する創業家一族の存在があったからだ。佐治社長によれば、統合交渉前、サントリー創業一族の資産管理会社が統合新会社に3分の1以上を出資するという条件が加藤社長との間で事前了解されていたという。
 だが、キリンの案では、サントリー創業家の統合新会社への出資比率が3割を下回る。キリン側が、株主総会で買収などの重要事項を否決できる「3分の1超」をサントリー創業家に握られることを警戒したためだ。
 だが、サントリー創業家一族は「キリンに裏切られた。一緒になる必要はない」と、不信感を強めた。

創業家優遇は不公平
 一方、キリンがサントリーの反発が確実な比率を提案したのにも事情がある。非上場会社のサントリーと違い、上場会社のキリンの場合、サントリー創業家を他の株主より優遇しすぎるのは、「公平性の観点において株主や従業員など利害関係者から理解が得られない」(加藤社長)と判断した。
 さらに、両社の交渉は、サントリーが、キリンの医薬事業の売却を要求したことで、完全に機能停止状態に陥った。
 結局、8日午前のトップ会談に決着が委ねられたが、儀式的な会談に過ぎず、「最終的に交渉を終了することで合意した」(加藤社長)という。
 もっとも、両社が交渉を中止した背景には、足元の業績が堅調だという事情もある。2009年12月期の連結経常利益は、ともに過去最高を更新する見込み。
 サントリーの佐治社長は「キリンと一緒にならなくても単独で十分にやっていけだけの規模がある」と強調。キリンの加藤社長も「単独で成長できる態勢は整えてきた」と述べた。

海外勢と開く格差
 だが、たとえ国内で“勝ち組”であっても、肝心の国内市場はビール類の出荷が09年まで5年連続で縮小。縮むパイをめぐる過剰競争は激化の一途だ。
 一方で、海外勢との格差を大きく開いている。08年12月期の最終利益はキリンが801億円、サントリーは321億円。これに対し、米ペプシコは、約5400億円、米コカ・コーラは約5300億円を稼いでいる。再編による規模拡大を図らないと、海外勢に取り残されるのは必至だ。
「キリンとしてはM&A(企業の合併・買収)やアライアンス(提携)が重要な成長戦略と考える」(加藤社長) 「海外の有力食品会社との連携を考えたい」(佐治社長)。
 両社のトップは8日の会見で、なお再編に意欲をみせた。だが、統合交渉に失敗し、その難しさを思い知らされた両社が、どこまで再編機運を維持し、次の戦略に打って出ることができるのか疑問視する声は多い。

キリン社長「どういう経営するか認識一致せず」 統合断念で会見 2010年2月8日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt260/20100208ATFL0804Y08022010.html
 キリンホールディングスの加藤壹康社長は8日記者会見し、サントリーホールディングスとの経営統合を断念したことについて「統合新会社が上場公開会社であることを前提に、どういう経営をするかの認識が一致しなかった。これ以上の交渉は各ステークホルダー(利害関係者)にとって有益ではないと判断した」と説明した。
 交渉の経緯に関しては「両社の株主、お客様にとっても最良の組み合わせと考え、友好的、かつ紳士的に交渉を続けてきた」とした。

サントリーとの経営統合なければ、アジア・オセアニアのリーディングカンパニーに到達できないわけではない 2010年02月8日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK037491820100208
 キリンホールディングスの加藤壹康社長は8日の会見で、サントリーホールディングス(大阪市)との経営統合決裂について、「サントリーとの経営統合なければ、アジア・オセアニアのリーディングカンパニーに到達できないわけではない」と述べた。ただ、経営構想の中でM&Aは需要との認識を示した。
 統合交渉決裂の理由については「統合新会社がステークホルダーに賛同してもらえる経営の独立性・透明性を担保できるかどうかで、認識が一致しなかった」と述べた。

統合断念、グローバル戦略に痛手 キリン・サントリー  2010年2月8日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100208ATGF0700108022010.html
 内需型を代表する食品1位・2位が大型統合を断念したことで、両社の国際戦略は見直しを迫られるのは必至だ。縮む国内市場ではビールや清涼飲料で引き続き過剰競争が続くだけでなく、巨大化する海外勢との競争力格差はさらに開く。独自のグローバル戦略にはおのずと資金面などから限界があり、成長速度は鈍ることになる。
 統合交渉は国内基盤を固めて海外でM&A(合併・買収)を加速、食品の「日の丸メジャー」を目指す両トップの危機感がスタート台となった。統合比率について両社は歩み寄る姿勢を見せたが、「サントリー創業家の位置付け」という初歩的な課題をクリアできなかった。国際競争をにらんだ志との落差はあまりにも大きい。





 あ~ やはり、キリンとサントリーの経営統合話は流れてしまいましたね…。社名を『サントリーキリン』とサントリーを頭に持ってくることで、サントリー側に『吸収合併ではなく対等合併である』との面目を保たせる形を取り、一方合併比率ではキリンが優位に話を進めるのでは…という説もありましたが、やはりキリンが希望する『キリン1対0.5』とサントリーが希望する『キリン1対サントリー0.6』とでは、あまりにも両社の希望に開きがあったと思います。

*統合比率が『キリン1対サントリー0.5』というキリン側が求める統合比率では、キリン側に実質主導権を握られる形になってしまい、例えば『サントリー側の工場を閉鎖する』といったサントリー側に不利な議題が出てきても 3分の2以上の多数で押し切られかねませんし、かといって『キリン0.6対サントリー0.4』というサントリー側が求める経営比率では、今度はキリン側が主要株主を説得できなかったかと思います。
 その中間の 両社にとって痛み分けな比率 で統合するには、両社にとってあまりにも統合するメリットがなく、加えて社風も、キリンが『規模を大きくするにはM&Aもやむなし』に対して、サントリー側は『長年赤字のビール事業を創業者の夢のために残してきた』などウェットなところがあり、社風一つとっても大きく異なるだけに、『仮に統合してもお互いにしこりが残るだけ』 と判断したのではないでしょうか…。

 加えて、両者とも当面は合併しなくても単独でも生き残っていけるだけの強固な財務体質をもっている企業であることに加えて、サントリーは未上場企業のため、例えば『ここ数年の株式評価額の平均をもって統合比率とする』といった 株主を説得でき、かつ第三者的にもわかりやすい評価を行うことも難しかったことが、経営統合を進める上で最大の難点となってしまったように思いますね…。

 とはいえ、日本市場でこそ、キリンはビール事業、サントリーはウイスキー市場で圧倒的なシェアをもつとは言え、世界を見れば、キリンよりもずっと時価総額の大きなビール会社はいくつもありますし、かといってサントリーとて日本以外での知名度はそれ程高くないのが現実。
 キリンとサントリーの経営統合交渉話は、単に日本で圧倒的な力をもつ強者連合ができるというだけでなく、世界のM&A市場で、自動車以外に日本がM&Aの主役に躍り出る企業が始めて出てくるかどうかという意味でも注目を集めていただけに、個人的にはこの統合話が流れてしまったことは非常に残念に思います。