台湾大手銀、東京スターを買収へ 海外勢で初 500億円で全株取得 2012年12月30日 日経
台湾大手の中国信託商業銀行が中堅地方銀行の東京スター銀行の買収に向け株主と交渉を進めていることが29日分かった。米投資ファンドのローンスターなどからほぼ全ての株式を約500億円で買い取る。外銀が邦銀を買収するのは初めて。2008年の金融危機後は邦銀が海外金融機関を買収・出資する動きが目立っていた。今後は海外勢も含めた国内再編が進む可能性がある。
中国信託はすでに株主側に500億円程度で株式を買い取る意向を伝えている。ローンスター、新生銀行、仏金融機関のクレディ・アグリコルなどは年明けにも中国信託の買収条件を検討し、受け入れるかどうかを判断する。株主の多くは売却に応じる方針とみられる。中国信託は詳細な資産査定をした上で、買収額を最終決定する。
中国信託は台湾の大手銀で、東京などアジア各地に拠点を持つ。東京スター銀の買収により市場規模の大きい日本で取引を拡大し、国際業務の収益を高める計画だ。
東京スター銀は経営破綻した東京相和銀行が前身で、08年に国内ファンドが特別目的会社(SPC)を通じて買収した。リーマン・ショック後の収益低迷で買収資金の返済が滞ったため、ローンスターなどの融資団がSPCを通じて担保の株式を取得していた。
米リップルウッド(現RHJインターナショナル)や米サーベラス、ローンスターなど、これまで外資ファンドが日本の大手銀や地銀を買収したことはあったが、海外の銀行が邦銀を買収した例はない。金融庁は買収合意後の正式な認可申請を受け主要株主について定めた銀行法に基づき、中国信託が株主として適格かどうかを点検する。
銀行のM&A(合併・買収)については近年、相対的に財務内容が健全な邦銀が海外の金融機関を買収したり、出資したりする場合が多かった。米シティグループが旧日興コーディアル証券を売却するなど、外資が日本の陣容を縮小する動きも増えていた。
一方、母国市場の成長で力を蓄えたアジアの銀行は新たな収益機会を求めて活発なM&Aを進めている。資産規模や時価総額で日本の地銀に匹敵する地場銀行も多く、中国信託の持ち株会社の時価総額(約6千億円)は大手地銀の横浜銀行(約5400億円)を上回る。今回のようにアジア勢が邦銀を買収対象とする例も増える見通しだ。
来年3月には返済猶予を柱とする中小企業金融円滑化法の期限が切れ、不良債権処理が遅れていた地銀が経営改善を迫られることも予想される。海外の金融機関の進出で地域金融機関の経営改革が促され、再編が加速する可能性はある。
台湾大手銀、東京スター銀買収検討 500億円程度 外銀で初の邦銀買収 2012年12月30日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121230/fnc12123012300002-n1.htm
台湾の大手銀行、中国信託商業銀行(台北市)が、首都圏を地盤とする第二地方銀行の東京スター銀行(東京都港区)の買収を検討していることが30日わかった。米投資ファンドのローンスターなどが保有する普通株式のほぼ全てを買い取る方向で、株主側と交渉に入っている。買収額は500億円程度とみられる。中国信託は東京スター銀の買収で、潤沢な個人金融資産を擁する日本での事業を拡大させ、国際業務を強化する狙いがあるようだ。
実現すれば、海外銀行による初の邦銀買収となる。海外勢を巻き込んだ日本の金融業界再編に向けた機運が高まる可能性がある。
ローンスターや新生銀行、仏金融大手のクレディ・アグリコルなどの株主側は年明けにも検討を本格化し、保有株売却の是非を判断する。中国信託も今後、東京スター銀の詳細な資産査定を行い、最終的な買収額を詰める。中国信託は金融庁から認可を得られれば買収に乗り出す方針だ。
東京スター銀は平成11年に経営破綻した東京相和銀行が前身で、20年に国内ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が買収した。APは買収資金の一部をローンスターなどの融資団から借り入れ、東京スター銀からの配当金で返済していたが、リーマン・ショック後の不況で東京スター銀の業績が低迷。このため、融資団が担保の株式を取得し、事実上の株主となっていた。今年9月末の預金残高は2兆675億円で、連結自己資本比率は10・92%。首都圏を中心に大阪や名古屋、福岡などに国内で31店舗を展開する。
中国信託は1966年に設立。台湾や日本、北米、アジア各地に拠点を擁し、2011年末の総資産は1兆8900億台湾ドル(約5兆6000億円)と、台湾の民間銀では最大規模。
この東京スター銀行。元々ワンマン経営でも有名だった東京相和銀行が1999年に経営破綻してその基盤を米投資ファンドのローンスターが引き継いだものの、2007年12月に国内系投資ファンドのアドバンテッジ パートナーズが完全子会社化して08年07月に上場廃止したのですが、経営を立て直すことができず今度は台湾大手の中国信託商業銀行の傘下入りですか…(滝汗
まあ、既存の大株主から見ればどうあっても立て直せなかった銀行。台湾大手銀行にとっても東京を中心に格好の拠点が手に入るという魅力もあるのだと思いますが、首都圏の店舗網はぼちぼち統廃合していけばいいとして、福岡や広島、札幌、仙台といった首都圏から遠く離れた拠点をどうするのか。
また新規顧客の開拓対象として、中小企業金融円滑化法の期限切れで融資を受けられなくなるような企業を狙い撃ちするにしても、一歩間違えば初のペイオフ発動となった日本振興銀行の二の舞にもなりかねないだけに、どう経営を立て直していくのかが厳しく問われることになるのではないかと思います。
台湾大手の中国信託商業銀行が中堅地方銀行の東京スター銀行の買収に向け株主と交渉を進めていることが29日分かった。米投資ファンドのローンスターなどからほぼ全ての株式を約500億円で買い取る。外銀が邦銀を買収するのは初めて。2008年の金融危機後は邦銀が海外金融機関を買収・出資する動きが目立っていた。今後は海外勢も含めた国内再編が進む可能性がある。
中国信託はすでに株主側に500億円程度で株式を買い取る意向を伝えている。ローンスター、新生銀行、仏金融機関のクレディ・アグリコルなどは年明けにも中国信託の買収条件を検討し、受け入れるかどうかを判断する。株主の多くは売却に応じる方針とみられる。中国信託は詳細な資産査定をした上で、買収額を最終決定する。
中国信託は台湾の大手銀で、東京などアジア各地に拠点を持つ。東京スター銀の買収により市場規模の大きい日本で取引を拡大し、国際業務の収益を高める計画だ。
東京スター銀は経営破綻した東京相和銀行が前身で、08年に国内ファンドが特別目的会社(SPC)を通じて買収した。リーマン・ショック後の収益低迷で買収資金の返済が滞ったため、ローンスターなどの融資団がSPCを通じて担保の株式を取得していた。
米リップルウッド(現RHJインターナショナル)や米サーベラス、ローンスターなど、これまで外資ファンドが日本の大手銀や地銀を買収したことはあったが、海外の銀行が邦銀を買収した例はない。金融庁は買収合意後の正式な認可申請を受け主要株主について定めた銀行法に基づき、中国信託が株主として適格かどうかを点検する。
銀行のM&A(合併・買収)については近年、相対的に財務内容が健全な邦銀が海外の金融機関を買収したり、出資したりする場合が多かった。米シティグループが旧日興コーディアル証券を売却するなど、外資が日本の陣容を縮小する動きも増えていた。
一方、母国市場の成長で力を蓄えたアジアの銀行は新たな収益機会を求めて活発なM&Aを進めている。資産規模や時価総額で日本の地銀に匹敵する地場銀行も多く、中国信託の持ち株会社の時価総額(約6千億円)は大手地銀の横浜銀行(約5400億円)を上回る。今回のようにアジア勢が邦銀を買収対象とする例も増える見通しだ。
来年3月には返済猶予を柱とする中小企業金融円滑化法の期限が切れ、不良債権処理が遅れていた地銀が経営改善を迫られることも予想される。海外の金融機関の進出で地域金融機関の経営改革が促され、再編が加速する可能性はある。
台湾大手銀、東京スター銀買収検討 500億円程度 外銀で初の邦銀買収 2012年12月30日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121230/fnc12123012300002-n1.htm
台湾の大手銀行、中国信託商業銀行(台北市)が、首都圏を地盤とする第二地方銀行の東京スター銀行(東京都港区)の買収を検討していることが30日わかった。米投資ファンドのローンスターなどが保有する普通株式のほぼ全てを買い取る方向で、株主側と交渉に入っている。買収額は500億円程度とみられる。中国信託は東京スター銀の買収で、潤沢な個人金融資産を擁する日本での事業を拡大させ、国際業務を強化する狙いがあるようだ。
実現すれば、海外銀行による初の邦銀買収となる。海外勢を巻き込んだ日本の金融業界再編に向けた機運が高まる可能性がある。
ローンスターや新生銀行、仏金融大手のクレディ・アグリコルなどの株主側は年明けにも検討を本格化し、保有株売却の是非を判断する。中国信託も今後、東京スター銀の詳細な資産査定を行い、最終的な買収額を詰める。中国信託は金融庁から認可を得られれば買収に乗り出す方針だ。
東京スター銀は平成11年に経営破綻した東京相和銀行が前身で、20年に国内ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が買収した。APは買収資金の一部をローンスターなどの融資団から借り入れ、東京スター銀からの配当金で返済していたが、リーマン・ショック後の不況で東京スター銀の業績が低迷。このため、融資団が担保の株式を取得し、事実上の株主となっていた。今年9月末の預金残高は2兆675億円で、連結自己資本比率は10・92%。首都圏を中心に大阪や名古屋、福岡などに国内で31店舗を展開する。
中国信託は1966年に設立。台湾や日本、北米、アジア各地に拠点を擁し、2011年末の総資産は1兆8900億台湾ドル(約5兆6000億円)と、台湾の民間銀では最大規模。
この東京スター銀行。元々ワンマン経営でも有名だった東京相和銀行が1999年に経営破綻してその基盤を米投資ファンドのローンスターが引き継いだものの、2007年12月に国内系投資ファンドのアドバンテッジ パートナーズが完全子会社化して08年07月に上場廃止したのですが、経営を立て直すことができず今度は台湾大手の中国信託商業銀行の傘下入りですか…(滝汗
まあ、既存の大株主から見ればどうあっても立て直せなかった銀行。台湾大手銀行にとっても東京を中心に格好の拠点が手に入るという魅力もあるのだと思いますが、首都圏の店舗網はぼちぼち統廃合していけばいいとして、福岡や広島、札幌、仙台といった首都圏から遠く離れた拠点をどうするのか。
また新規顧客の開拓対象として、中小企業金融円滑化法の期限切れで融資を受けられなくなるような企業を狙い撃ちするにしても、一歩間違えば初のペイオフ発動となった日本振興銀行の二の舞にもなりかねないだけに、どう経営を立て直していくのかが厳しく問われることになるのではないかと思います。