ふくろう物語#12
夏の夕方のこと。えんちゃんはふくちゃんや他の友達と遊んだあと、お家に帰るところです。
お家まであと少しの所で、えんちゃんは不思議なものに気がつきました。茶色くて四角い物があります。朝にはなかったものです。
あれはなんだろう?
えんちゃんが近づいてみてやっと、それが何か分かりました。なんと大きな木の板がフワフワ浮かんでいるのです!
「わぁっ!木のおばけだ!」えんちゃんはびっくりして叫びました。
「違うんだえんちゃん、僕だよ!」木の板の下から、声がしました。
下を見ると、やまさんが木の板をかついでいました。木の板が大きすぎて、やまさんが見えなくなっていたのです。
「ごめんね、びっくりさせちゃったね。」
「ううん、へいきだよ!何で大きな板を運んでいるの?」
「いまね、すごくおもしろいものを僕とふじとまさでつくっているんだ。よかったらえんちゃんもいっしょに作らない?」
おもしろいものと聞いて、えんちゃんはワクワクしてきました。
「うん!ぼくも作りたいな!」
えんちゃんは木の板をまささんの家まで運ぶのを手伝うことにしました。
まささんはやまさんとふじさんと同い年のお兄さんです。ふたりと同じように木や花のお世話がとくいです。
まささんのお家に着くと、まささんとふじさんがお庭に出て待っていました。
「ごめんごめん、いい板が手に入ったんだけど重くて運ぶのが遅くなったんだ。」
「大丈夫だよ、もうじゅんびはできているよ」まささんが言います。
「さあ、仕上げに取りかかろう、えんちゃんもお手伝いしてくれるかな?」ふじさんが聞きます。
「ぼくお手伝いするよ!だってここまで板をはこぶのもお手伝いしたんだもん!」えんちゃんは誇らしそうに言いました。
さんにんといっしょに材料を組み立てると、なにやらベンチのようなものができました。
「ねえまささん、これはなに?」
「これでえんがわを作るんだ。」
「えんがわってなぁに?」
「えんんがわはね、本当は大きな窓にそってつくった長いろうかのことをいうんだ。ぼくの家にはもともとえんがわがないから、ベンチをつくってえんがわの代わりをつくったんだよ。」
「えんがわってなにをするところなの?」
えんちゃんが聞くと、お兄さんたちはできたばかりのえんがわベンチに座りました。
「えんちゃんもすわってごらん、えんがわのつかいかたがよくわかるよ。」やまさんに言われたのでえんちゃんもすわってみることにしました。
(つづく)
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