「武器・弾薬の提供」・これっと戦争をするという事でしょう

2015-02-20 10:09:56 | 日記

 「武器・弾薬の提供」・これって戦争をするという事でしょう

 

  新聞紙面を埋め尽くす「戦争ニュース」にはため息が出る。とりわけISの殺戮には目を覆うものがあり、そしてウクライナがある。「新露派勢力の停戦合意を離脱」の先制攻撃という記事を見るものの、その実態がわからないだけに判断に迷う。しかし、明確に判断できるものがある。その一つが「ウクライナ『徴兵』加速」と記事である。大統領令に基づき10万人の動員の方針を決めたという。男性は25歳〜60歳が対象、女性も対照にするとの解説がついていた。ウクライナにおける「徴兵制度」がどうなっているかはわからないが、「徴兵」という限りは、国家による国民の統制が無ければならない。その国家強制を知っている私たちにとっては他人ごとではない気持ちになる。10万人の新たな徴兵令を、他所の国の出来事とはどうしても思えない自分を見出す。

  そして一方では、我が国における「自衛隊、武器・弾薬の提供を解禁」という問題である。政府は18日、自衛隊による他国軍への後方支援の拡大として、従来認めていなかった武器・弾薬の提供(他国軍へ)を解禁する方針を固めたとある。

  かつて激しい論議が展開されたインド洋における油の補給、イラク・サマワにおける輸送、建設などの後方支援である。当時の小泉首相の「自衛隊が行くところは、非戦闘地である」という発言が飛び出すなどの場面もあったが、それでも「特措法」というその都度の法制化の中での歯止めはあった。しかし今国会で成立させようとしているは「恒久法」である。今まで一定の役割を果たしてきた公明党も、ここにきて括弧つきを条件に容認しようとしている。勢いづいたのは安倍首相であり、自民党である。事もあろうに「武器・弾薬の提供」を合法化することを持ち出した。

  今や、記憶に残るものとなった「武器輸出三原則」がある。この原則は長年培った日本の国是であった。しかし、安倍首相はこれを破棄し「防衛装備移転三原則」なるものを法制化した。そして今回の武器・.弾薬解禁の法的根拠に「防衛装備移転三原則」を適合させようとしている。それは、欧米を中心に武器・弾薬の共通化は図られている。また防衛装備品の共同開発、生産は進んでいる現状を踏まえれば、補給可能な物資の中に武器・弾薬を含むことに何の問題もないとの論理である。とんでもない飛躍である。

  今般、シリヤ地内における邦人二人の拘束、殺害があった。この件をめぐる検証の中で知ったことは、拘束され身代金を要求されている事実を知る時点において、中東を訪問した安倍首相の経済支援の声明がある。国会での追及に対しは、「あくまでも難民対策であり、人道的支援である」と安倍首相は答弁している。しかしそれが「我々への攻撃」と受け止めるISの主張を正すことはできなかった。そして、その弁明は「通じなかった」という事実を突き付けられた。それは「テロ集団」の姿勢だ。だからと考える余地はないと一蹴することで済むだろうか。

  かつて自衛隊の後方支援をめぐって、それが食料・水の補給・物品や人員の輸送に限られていたとしても立派な戦争参加と見なされかねないという論議が、何回も何回も繰り返されてきた。しかし今回は異なる。武器・弾薬の提供と戦闘参加の航空機への給油を含む支援を可能とする恒久法を設定しようとしている。しかも、米軍に限定した周辺事態法を、豪州軍やインド軍等にも適用するとなればもはや「戦争参加に踏み切った」と言わざるを得ない。相手国は「我々への攻撃だ」となることは当然であろう。そして「やられる前にやり返す」という戦争の論理を再度繰り返えそうとしている。

  この問いこそが、国民の「内なる私の戦後70年宣言」でなかろうかと考える自分である。