2月13日の大揺れ・10万年の安全について

2021-05-06 05:38:09 | 日記
    2月13日土曜日の深夜、最大6強を示す福島県沖地震の襲来を受けた。その揺れは10年前を思い出すものであり、棚の置物は3メートルも吹っ飛ぶ、戸棚の瀬戸物は落下する。そしてその揺れの時間の長かったこと。私の頭を横切ったものはあの時もそうであったが、長く、そして一寸弱まったかと、思ったらさらに致命的な大揺れが来た。
    幸いにして今回は2段構えの大揺れはなかった。
   そして毎度のことであるが、双葉の東電原発は大丈夫かということが頭を横切る。津波はなく、テレビは原発に異常のないことを報じていた。加えて、今回の地震は「10年前の余震」であり、今後30年間は同程度の余震のあることを覚悟しなければならないという気象庁の見解を報じていた。
5月1日、再び宮城県沖5強の地震。この揺れも大きかった。東電原発に異常や、被害がないという報道に一安心するが、それでも疑心暗鬼が残る。そのことが後日明らかになる。つまり2月13日にあった地震の「地震データの記録」がない。そのことについて福島第一廃炉推進カンパニーの小野明・最高責任者は2月25日の記者会見において「3号機の原子炉建屋に設置したはずの地震計が故障で撤去されたままだった。私が(故障を)把握したのは2月19日です」と。2台設置された地震計のうち1台が昨年7月に故障。3カ月後にはもう1台も使えなくなっていた。その事実をトップが7カ月半も知らなかったという事実である。(東京新聞・3月20日)
つまり3号機原子炉建屋に設置していた地震計が、故障で撤去されたままだった。
それだけではない。汚染処理水などを保管している大型タンクのうち、53基の位置が13日の地震で最大19センチ「ずれ」ていた。タンク同士をつなぐ配管は外れておらず、水漏れはない。東電によると、タンクは損傷や転倒を防ぐためのコンクリートの基礎部分を固定することはなく、しかも平置きしていたと説明をしている。
勿論、東電の管理責任の「ずさん」もさることながら、地震王国の日本のどこに「核のゴミ」の保管場所があるのか。かつて私たちは「トイレ無きマンション」という言葉をもって、「反原発の運動の合言葉」にしてきたことをあらためて取り上げたいと思う。

    そこでフィンランドに建設をされているオンカロを取り上げたい。
フインランドでは、原子力発電所から排出される高レベルの放射性廃棄物を約100年後となる2100年頃に人間が立ち入りできないような地表から奥深い場所に封印することが計画されている。それが「オンカロ」であり、地下深くに埋められ安全なレベルに到達するには10万年の年月を要するという。もし、10万年の年月を待たずして誰かがオンカロを掘り起こしてしまったとする。地球は大惨事に発展しかねない。この処理施設に深い責任を負って現代に生きる人間が「10万年の安全」というタイトルの映画を製作した。そのDVDはレンタル店で利用することができる。
◆制作は2009年。製作国デンマーク・フィンランドその他
◆監督 マイケル・マドセン

   この動画を見た方のクチコミの一部を紹介する。

(ツタヤ・ニュース・10万年後の安全のクチコミ・レビューより)

◆人間はどえらいものをつくってしまった。自分たちの首を締めるようなものを。そしてミカエル・マドセン監督は問いかける。この映画は2009年につくられていて東北大震災の原発事故の2年前のことである。私たちは身をもってその危険を知ることになった、最悪の事態を日本の中で起きてしまった。それが立ち入り禁止区域の必要となった。
 ◆放射能レベルが生物に無害になるまでには少なくとも10万年が必要という。不便になってもこれだけ危険なものを自分の近くに埋めて欲しくない。
◆継続的に放射線廃棄物を取り扱わざるを得ない状況が怖い。大きな声でNOと言いたい。10万年後の人類が、放射性廃棄物を掘り起こさないために標識を立てようとする。そして複数の言語で書けばいいという。しかし、10万年後、現代の言語が通じないかもしれないし、存在していないかもしれない。
◆絵でここは危ないってことを伝えたら、例えば『ムンクの叫び』みたいな絵のように。それなら恐ろしいってこと伝わって近づかないだろう。でも人間は好奇心の塊だから、恐ろしいと分かったらより掘り起こしてしまうかもしれない。ピラミッドだって掘り起こした。ではここに放射性廃棄物を埋めたことを消してしまえばよい。しかし、忘れてはならないことがある。そのことを後世に伝え続けよう。でも10万年後にそのことが伝わるのだろうか。
 ◆10万年後の人類を信じることはできるか。10万年後に廃棄した廃棄場がその時の人類にわかるのだろうか。10万年後を考えるのは難しい。だが、現実には原子力発電所があって危険な物質がある。それをどうかしなければならない。
◆100年後の世界がどうなっているのかわからない。それを明確に言える人がいるだろうか。ましてや10万年後である。
 
    そして、ここにきて原発推進議員連盟の発足がある。
その連盟は、自民党議員によるものであり「脱炭素社会の実現」には原子力発電が不可欠だとして、原発の新増設・建て替えを推進しようとするものである。稲田元防衛大臣を会長に、安倍前首相が顧問に就任。安倍前首相は「国力を維持しながら、国民あるいは産業界に、低廉で安定的な電力を供給していくというエネルギー政策を考えるうえにおいて原子力にしっかりと向き合わなければいけないのは厳然たる事実であります」と声を上げている。この事実を私たちは認識し「10万年の安全」を下敷きにした声を「具体的な言葉」をもって国民に訴えていかなければならない。