NHK 朝ドラ「ごちそうさん」・西門悠太郎課長が逮捕

2014-02-24 14:29:09 | 日記

  NHK 朝ドラ「ごちそうさん」・西門悠太郎課長が逮捕

 

NHKの朝ドラ「ごちそうさん」には、前回の「あまちゃん」同様はまっている。震災前に何回か訪れた浄土が浜や、そして海岸沿いのドライブ。途中の大きな岩の壁の高い所に記録された「過去の津波の高さ」など。そして海岸沿いの遊歩道などを思いだしての視聴だっただけに、感じるものが多かった。しかし、震災後に訪れた浄土ヶ浜の遊歩道は、波の下に隠れてしまっているなど、その変わりように驚き、恐れおののいた。

そして、今回の「ごちそうさん」である。

め以子の実家の食堂。商売とはいえ、その当時、あんなに卵や肉などはなかったろうにと思いながらではあったが、ますます、のめり込むものがあった。それは「食べることへの執着」である。

あのころ、私は国民学校3年生(9歳)であった。その私にとってもまず食べることであった。山に行っては、食べられるものはすべて取って帰った。そしてコメ粒が見えないくらいの雑炊。最後、椀の底に僅かに残すコメ粒を惜しみながら食べたものであった。

今でもはっきり覚えている。家の床下にツボを埋めていた。空襲で家が焼けても残るようにと考えたことである。その中には白米が2升くらいあったろうか。その白米は、亡き父の形見であった「仙台はかま」との物々交換により手にしたものである。

仙台空襲の夜、避難した防空壕から見上げる上空を、「黒い絨毯」のようになってB29が北へ飛んで行った。そして翌朝「仙台全滅」という噂を聞くことになる。母はその夜、ツボから白米を取り出し全部焚いた。男の子がふたり、そして5歳の女の子を前にして、母は、最期くらい腹いっぱい食べさせようとした。日本も終わりかという気持ちがそうさせたのであろう。

おかずは、何であったかは覚えていないが、「腹いっぱい食べ」寝転がったことは覚えている。母のそんな気持ちも知らずに。

さて、「ごちそうさん」である。

主人公の西門悠太郎が逮捕される。逮捕の理由は、「空襲に備える防空訓練で、火を消さずに逃げるよう指示した」ことにある。その背景には、当時「防空法」というものがあり、「都市からの退去(疎開)を禁止する」。また「逃げずに火を消せ」という法律によるものであった。

私自身、そのような法律のあったことを今まで知らなかった。ドラマの脚本が、今後どうなるかは知らないが、このような法律があったことを、水島朝穂さん(早大教授)のメールで知った。

空襲から逃げると処罰される。しかも「非国民」のレッテルがはられて。「命を投げ出しても火を消せ・銃後を守れ・お国を守れ」が至上命令であった中で、西門悠太郎は、「逃げろ」と指導した。非国民・思想犯ということになる。

そして、この方針は、東京や大阪が焼け野原になった昭和20年3月以降も変わらなかった。もちろん仙台市の7月10日の大空襲の時もそうであった。仙台市民の多くが逃げずに消火に走りまわったであろう。そして多くの市民の命が奪われた。

冒頭述べたように、「ごちそうさん」に、はまっている私であるが、時代を語る報道機関のドラマとして、今一つの突っ込みを期待したいとあらためて思う。NHKの汚名返上の意味も含めて。

なお、前記に紹介した書籍は次のものである。

      「検証 防空法 空襲下で禁じられた避難」水島 朝穂・大前 治著(法律文化社)