派遣労働者の実態を探ってみた・企業はなぜ直接雇用をしないのか

2014-02-01 10:27:35 | 日記

   派遣労働者の実態を探ってみた・企業はなぜ直接雇用をしないのか

 

労働者派遣制度の見直しが、規制緩和という形でまとめられることになった。

内容は、受け入れている派遣労働者の派遣期間を3年とする。但し、その事業所の労働組合や、労働者の代表の意見を聞いたうえで、人を入れ替え、あらたな派遣労働者を受け入れることを可能にするというものである。

言うなれば、事業所(元請会社)が、派遣会社と取り交わす契約は、労働者ではなく「人工(にんく)・何名」なのである。人件費ではない。納品書に基づく「仕入れ費」(物件費)なのである。このことはあまり知られていない。

さて前に戻る。3年を経過する労働者はその事業所から去る。派遣会社は、新たな労働者を送り込む。事業所は新規労働者の教育、訓練を要するリスクを承知で、派遣労働者のベターを選択する。

派遣会社は、継続が絶たれた労働者を新たな事業所に送り込むことになる。これまた、職種の異なる事業所となれば、ミスマッチのリスクも生じる。辞めてしまえばそれで終わり「契約終了」。その意味では、事業所も派遣会社も損はない。

昭和30年代に、臨時工制度というものを多くの企業が採用した。採用の条件に「中途正規採用の道あり」というものであった。そこに微かな望みを託し地方から、あるいは地元の二・三男が職を求めた。しかし、「正規への道」は容易ではなかった。結局は落胆の上、あるいは本工とのトラブルの中で去って行った人は少なくない。

いずれにしても、事業所が直接雇用するものであり、そこには賃金の差はあるにせよ、その支払い主は事業所であり、管理の責任はあった。

なぜ今、年間5兆円とも言われるサービス産業の派遣会社が「雨の後のタケノコ」よろしく誕生していったのだろうか。

その旨味は大きいということなのだろう。受け入れ側も、派遣する側にとっても。

ここに一つの事例がある。「社団法人・日本人材派遣協会資料による」

派遣料金(派遣会社が、受け入れ側に請求する額)1時間・2050

派遣会社の経費(社員の給与・事務所費・社員福利厚生費・広告費など)285円

派遣者の有給休暇費・雇用保険・労災保険会社負担             109円

派遣者の賃金                                     1435円

派遣者の社会保険料会社負担                           191円

営業利益                                           30円

派遣料金(仕入れ費)は2050円。その70%が派遣労働者の賃金であり、当然にして税金、社会保険料などの公的納入の義務がある。この事実をどう見るかである。

加えて、企業が納める消費税は原則として、売り上げにかかった消費税から、仕入れの時などに支払った消費税を差し引いた分を納税する。派遣料は「仕入れ費」である。派遣労働者を受け入れることによって節税ができる。これほど旨いものはない。

派遣労働者が増えても少なくなることはない。企業にとっての税優遇措置はいたるところに存在する。ここもきちんととらえるべきだろう。