業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

監査のとばっちり その2

2006年10月19日 | 業務日誌
突然ですが、「その人らしさ」とは一体なんでしょうか。
ブログを読み進む前に、画像を見ながらちょっと考えてみて下さい。



考えましたか?
…「その人らしさ」というよりはむしろ「ひとの勝手」というセリフが思い浮かんできた方がいるはずですが、ま、それはそれとして。


では本題へ。



皆さんは使ったことがありますか、訪問入浴
どんなものだかよく知らないという方は、↑ここをクリックして訪問入浴実施中の映像をご覧下さい。


鼻くそヘルステの監査で、とある利用者に対する介護サービスの派遣に監査指導員のチェック(物言い)が入りました。
トメさん(仮名)73歳女性、要介護3 慢性関節リウマチ。
進行型のリウマチで、手指や足指は拘縮または強直しており、第一、第二頚椎間が脱臼しやすく、神経症状や痛みがあります。肘も動揺性(ぐらつき)や疼痛が著しく、生活動作の全般に介助を要します。
担当ケアマネージャーはカニちゃん。
鼻くそヘルステは、週に2回このトメさんの入浴の介助に入っています。

今回の監査で、このトメさんに対する派遣の何がひっかかったか。
それは、トメさんに対する入浴介助がヘルパーふたり派遣だし単位も高い、と指導員は言ったそうです。
しかしトメさんは、注意してトランスファーしないと肩や脇が痛むし、身体も小さくはないので(45キロ強)とてもヘルパーひとりでは介助出来ません。
当初は通所系での入浴も検討したそうですが、トメさんは変形して醜くなってしまった自分の身体を人目に晒すのがイヤです。送迎車に揺られての通所も関節への負担が大きい。
そこでヘルパーを身体2でふたり派遣していたのですが、監査指導員は「2人のヘルパーが同時に身体に触れている時間はほんのいっときのはずなので、身体2ではなく身体1生活1程度でのサービス提供が望ましいと思われる」と、次回からの請求を修正するように指示しました。
いえ、それはいいんです。
確かに指導員の言うことはもっともです。
トメさんの身体にふたりのヘルパーが同時に触れているのはだいたい30分程度ですし、あとは入浴の準備や後片付けをしているでしょうから、この場合内容の変更は適正でしょう。

問題はそのあと。

鼻くそがふんふんと納得し、指導員に対してすみませんとかなんとか言ったらしいのですが、指導員は
「いえいえ、これまでのことは仕方ないでしょう。
こんな事例に対して、訪問入浴を組まなかったケアマネが悪いと思いますよ。
と言ったというのです。


私はこれを聞いたとき、他人のケースながら心中に激しい怒りが湧き上がってくるのを感じました。
指導員に対してひとこと言いたい。
1度自分で訪問入浴サービスを使ってみろと。
たとえば寝たきりになって、身体じゅうが拘縮してしまって、自分で浴槽に出入りするチカラがなくなってしまって、それでもお風呂に浸かりたいと思わない限り、誰があんなサービスの世話になりたいと思うでしょうか。
訪問入浴はとてもいいサービスに違いありませんが、目の前でスタッフが大きな機材をパタパタ組み立てたり、汗水たらして3人かがりで抱えてくれたりするのは申し訳ないし、昔はゆっくり考え事をしながら入っていたフロなのに、耳元でやれ湯加減はどうだの気持ちはいいかだのののの返事を求められながら、2,3人に浴槽のフチからニコニコ覗き込まれて、そんなフロに誰が進んで入りたいと思うでしょうか。
介護報酬の単価が高いからなのか。
それとも介護者の手間がかかるという理由からなのか。
どんな理由があっても、身体の不自由な高齢者が好きにフロにも入れないような生活を選択せざるを得ないような、しかもそれが適切な介護サービス利用であるかのような、そんなセリフを平気で吐くような監査指導員には

介護サービスを監督検査などする資格はない。

その人らしい生き方の支援とか、
高齢者の尊厳を尊重するだとか、
受障まえの生活により近づける介護だとか、
権利とか受容とかアドボカシーとか、

それらをどこに置き忘れてきたのだと言いたい。

おまえはその手指が動かなくなって、フロの蛇口も閉められなくなったことがあるか。濡れたタオルを絞るどころか持っていることも出来なくなって、アタマも充分に洗うことが出来ず、悔し涙を流しながら湯気の中で病気を呪ったことがあるか。
下着をはこうにもパンツのゴムすら広げられず、片足で立って足を下着に通すこともままならない、そんな不自由を経験したことがあるのか。
そういう姿を人目に晒したくない、できることなら自宅で入浴したいと思うことは、どう考えてもフツーのことだろ?
監査指導員よ。
恥ずかしいとはどういうことか、それすらも忘れてしまっているのなら、この私がおまえのケツの穴に突っ込んだ鉛筆の匂いを他人に嗅がせて回ってやるからいつでもかかってこい。
それがイヤなら、安易にサービスを組むななどと安易にケアマネに言うな。


今日は久々に怒ってしまいました。

ちなみに将来私が入浴介助を頼むときは、週に2回湯船に赤いバラの花びらを浮かべ、脱衣所ではヘルパーが三つ指で私を迎えるように仕込みます。
それが「私らしさ」なので譲れません。