9月25日火曜日。
連休明けにダラダラ仕事をしたあと、われらが法人ひがし会併設・ひがしヘルステと居介との事例検討会が行われました。
お題は3事例。順番通りに。
1.細木さん事例
「予防支援なのに週に3回(の掃除)は多いのではないか」
2.ベティさん事例
「1週間ぶんのパンツ・靴下浸けおき洗いをなんとかして」
3.某利用者宅のサービスで、某ケアマネに
『会話はサービスに非ず、仕事せよ』
と言われたが、それはあんまりではないか
まず細木さんの事例から。
目くそがザッと事例の概要を説明。
細木さん・要支援2。
週に3回買物援助、買物のないときは掃除。
最近は買物の依頼が少ないため、掃除ばかりで、その掃除もそこそこに、みっちり細木さんのオレ語りを聞かされている。
その90分は担当ヘルパーにとって大変長い。
せめて60分にするとか、週に2回にするとか出来ないか。
私はまず介護予防支援計画を提示。
どこにも掃除を週3回とは書いてないことを確認。
次に鼻くそが作っていった介護予防訪問介護計画を提示。
買物・掃除・傾聴で90分計画してあるのを確認。
これまで何度も(数えてみたら5回ありました)同様のことで会議をし、包括主任と話し合い、その都度ヘルパーさんにも了解してもらってきた経緯をざっと確認。
また、細木さん宅を訪問して聞き取ったことについて発言。
ヘルパーさんは細木さん宅の支援を長すぎると言いますが、細木さんは短いと言われる。このことについて、ヘルパーさんたちは細木さんの我が侭としか認識されていないようですが、私はそれだけではないと感じました。
たしかに細木さんはオレ様なところもありますが、ヘルパーさんが来る前には必ず、自室をある程度掃除して待っておられます。
私はこのことから、もしかしたら掃除の時間を削ってでも聞いて欲しい話があるのではないか、やってほしいことがあるのではないかと思いました。
そこで、私は、数ヶ月前から、細木さんのお宅を訪問するときに、わざと
「細木さん、今日は訪問のついでに、細木さんに○○の料理の仕方を教えてもらおうと思ってやってきました」
と言ってみることにしたんです。
何でもいいんです。私が聞いたのは冬瓜と十六豆(この地方で初めて聞いた豆)などでした。
そしたら細木さん、すごく嬉しそうに教えてくれて、
「最近足が痛くてなかなかお炊事も出来ず、椅子に座って切ったり刻んだりしてた。私は料理が得意なのに、出来なくなるのは寂しい」
と、少しずつ色々な話をしてくれるようになりました。
予防支援というのは、細木さんのような方の生活が不活発になるのを防いだり、意欲が減退してしまうのを防ぐのが目的ですから、
「掃除する場所もないのに90分は多い」
とか
「細木さんのオレ語りはカンベン、苦痛」
とか言う前に、積極的に仕事を見つけたり、聞く力を養ってもらいたいと思います。
常勤ヘルパー4名、反論出来ず。
それから、予防の方の支援を90分から60分に短縮しようとしても、利用者にとっては料金のぶんフルに使いたいと思うのは当然なので難しいことです。
利用者を納得させられるだけの説明ができるのならやってみて下さい。
計画に『傾聴』とある以上、「話を聞くのが苦痛」という理由で時間短縮を提案するなんて、プロの仕事とは思えません。
細木さんが出来ることを続けてもらうために、細木さんがまだまだ社会の役に立っているということを実感してもらうために、ヘルパーさんが出来ることはないかを考えて下さい。
私や包括の主任は、計画を通じてそれをお願いしているんです。
もっとちゃんと、ケアマネのプランを読んで下さい。
場内シーン。
実際細木さんは、予防の現在のほうが、以前介護給付だった頃よりもずっと足が悪くなっています。普通に歩いて外出するのは50メートルが限度です。
なので、私は今年末の更新で、なんとか介護給付に戻るように調査票を作ります。
それから、今回のことを私のほうから細木さんにお願いするのはもう出来ません。
私はケアマネとして、細木さんには週3回90分の支援が必要であると判断しましたから。
ヘルパーさんたちが困っている現状があるのなら、事業所都合として時間短縮や回数減をサ責が説明して下さい。
細木さんはご存知のとおり、法人のトップである院長と昵懇(じっこん)ですから、当然細木さんは不服を院長に言いつけると思います。
私が以前細木さんに回数減をお願いしようとして
「介護保険制度は私たち支援者の法律です。それを曲げて仕事は出来ないし、特別扱いなどしていては私が法人から叱られます」
と言ったとき、院長は事務長を通じて
「細木さんを助けたからといって、ひがし会は誰もケアマネを叱らない」
と叱られたことを考えると、この法人には制度の適正利用をバックアップしてくれるような正しい気持ちはないということがわかりました。
私の説明も悪かったのですが、院長にしてからが過去にずっと
「ヘルパーさんかデイの車で細木さんを病院に乗せてって」
とお願いされていたことから考えても、何年もやってきたことをいきなりやめたときのリバウンドは容易に想像できます。
せめてこれからは、自家用車や公用車に乗せて買物に行ったりしないようにしてもらいたいですが、私はたとえこれから先また院長先生の言いつけでヘルパーが細木さんを病院に連れて行ったとしても、請求さえしなければ何も文句は言いません。
申し訳ないですが、ハッキリ言って私だけの力ではどうしようもないです。
せめて言いなりにならないように、細木さんが自立できるように、私たちに出来ることだけを相談しながらやっていきましょう。
ヘルパー一同、大きく頷く。
ケアマネ我慢出来ずにクスクス。
参加していた事務長、苦笑。
これで事例1は終了です。
次回『ヘルパーの心、ケアマネ知らず』に続く(笑)。
連休明けにダラダラ仕事をしたあと、われらが法人ひがし会併設・ひがしヘルステと居介との事例検討会が行われました。
お題は3事例。順番通りに。
1.細木さん事例
「予防支援なのに週に3回(の掃除)は多いのではないか」
2.ベティさん事例
「1週間ぶんのパンツ・靴下浸けおき洗いをなんとかして」
3.某利用者宅のサービスで、某ケアマネに
『会話はサービスに非ず、仕事せよ』
と言われたが、それはあんまりではないか
まず細木さんの事例から。
目くそがザッと事例の概要を説明。
細木さん・要支援2。
週に3回買物援助、買物のないときは掃除。
最近は買物の依頼が少ないため、掃除ばかりで、その掃除もそこそこに、みっちり細木さんのオレ語りを聞かされている。
その90分は担当ヘルパーにとって大変長い。
せめて60分にするとか、週に2回にするとか出来ないか。
私はまず介護予防支援計画を提示。
どこにも掃除を週3回とは書いてないことを確認。
次に鼻くそが作っていった介護予防訪問介護計画を提示。
買物・掃除・傾聴で90分計画してあるのを確認。
これまで何度も(数えてみたら5回ありました)同様のことで会議をし、包括主任と話し合い、その都度ヘルパーさんにも了解してもらってきた経緯をざっと確認。
また、細木さん宅を訪問して聞き取ったことについて発言。
ヘルパーさんは細木さん宅の支援を長すぎると言いますが、細木さんは短いと言われる。このことについて、ヘルパーさんたちは細木さんの我が侭としか認識されていないようですが、私はそれだけではないと感じました。
たしかに細木さんはオレ様なところもありますが、ヘルパーさんが来る前には必ず、自室をある程度掃除して待っておられます。
私はこのことから、もしかしたら掃除の時間を削ってでも聞いて欲しい話があるのではないか、やってほしいことがあるのではないかと思いました。
そこで、私は、数ヶ月前から、細木さんのお宅を訪問するときに、わざと
「細木さん、今日は訪問のついでに、細木さんに○○の料理の仕方を教えてもらおうと思ってやってきました」
と言ってみることにしたんです。
何でもいいんです。私が聞いたのは冬瓜と十六豆(この地方で初めて聞いた豆)などでした。
そしたら細木さん、すごく嬉しそうに教えてくれて、
「最近足が痛くてなかなかお炊事も出来ず、椅子に座って切ったり刻んだりしてた。私は料理が得意なのに、出来なくなるのは寂しい」
と、少しずつ色々な話をしてくれるようになりました。
予防支援というのは、細木さんのような方の生活が不活発になるのを防いだり、意欲が減退してしまうのを防ぐのが目的ですから、
「掃除する場所もないのに90分は多い」
とか
「細木さんのオレ語りはカンベン、苦痛」
とか言う前に、積極的に仕事を見つけたり、聞く力を養ってもらいたいと思います。
常勤ヘルパー4名、反論出来ず。
それから、予防の方の支援を90分から60分に短縮しようとしても、利用者にとっては料金のぶんフルに使いたいと思うのは当然なので難しいことです。
利用者を納得させられるだけの説明ができるのならやってみて下さい。
計画に『傾聴』とある以上、「話を聞くのが苦痛」という理由で時間短縮を提案するなんて、プロの仕事とは思えません。
細木さんが出来ることを続けてもらうために、細木さんがまだまだ社会の役に立っているということを実感してもらうために、ヘルパーさんが出来ることはないかを考えて下さい。
私や包括の主任は、計画を通じてそれをお願いしているんです。
もっとちゃんと、ケアマネのプランを読んで下さい。
場内シーン。
実際細木さんは、予防の現在のほうが、以前介護給付だった頃よりもずっと足が悪くなっています。普通に歩いて外出するのは50メートルが限度です。
なので、私は今年末の更新で、なんとか介護給付に戻るように調査票を作ります。
それから、今回のことを私のほうから細木さんにお願いするのはもう出来ません。
私はケアマネとして、細木さんには週3回90分の支援が必要であると判断しましたから。
ヘルパーさんたちが困っている現状があるのなら、事業所都合として時間短縮や回数減をサ責が説明して下さい。
細木さんはご存知のとおり、法人のトップである院長と昵懇(じっこん)ですから、当然細木さんは不服を院長に言いつけると思います。
私が以前細木さんに回数減をお願いしようとして
「介護保険制度は私たち支援者の法律です。それを曲げて仕事は出来ないし、特別扱いなどしていては私が法人から叱られます」
と言ったとき、院長は事務長を通じて
「細木さんを助けたからといって、ひがし会は誰もケアマネを叱らない」
と叱られたことを考えると、この法人には制度の適正利用をバックアップしてくれるような正しい気持ちはないということがわかりました。
私の説明も悪かったのですが、院長にしてからが過去にずっと
「ヘルパーさんかデイの車で細木さんを病院に乗せてって」
とお願いされていたことから考えても、何年もやってきたことをいきなりやめたときのリバウンドは容易に想像できます。
せめてこれからは、自家用車や公用車に乗せて買物に行ったりしないようにしてもらいたいですが、私はたとえこれから先また院長先生の言いつけでヘルパーが細木さんを病院に連れて行ったとしても、請求さえしなければ何も文句は言いません。
申し訳ないですが、ハッキリ言って私だけの力ではどうしようもないです。
せめて言いなりにならないように、細木さんが自立できるように、私たちに出来ることだけを相談しながらやっていきましょう。
ヘルパー一同、大きく頷く。
ケアマネ我慢出来ずにクスクス。
参加していた事務長、苦笑。
これで事例1は終了です。
次回『ヘルパーの心、ケアマネ知らず』に続く(笑)。