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避難所の生活環境改善を

2019-10-22 23:54:51 | 日記
 台風15・19号は広域かつ甚大な被害を引き起こしました。被災されたみなさんに心よりのお見舞いを申し上げます。今回、改めて避難所での食事や衛生、プライバシー、医療などの生活環境が大きな課題となっていますが、特にトイレ、キッチン、ベッドの頭文字である「TKB」の改善が求められています。この間私が取り上げた質問と答弁を紹介します。

■2018年12月定例会「簡易ベッド・段ボールベッド」について
 日本では当たり前になっている避難所での雑魚寝は,先進国では日本だけです。欧米と日本の避難所の決定的な違いは簡易ベッドの使用であると,専門家は指摘をしています。
 特に,この間発生した地震では,車中泊や雑魚寝によってエコノミークラス症候群の多発や凍死によって死亡に至る事例が起こっています。
 調査では,長期化した避難所では,足の血栓は10%以上の頻度で発見され,こうした方はその後,血栓が発見されていない方と比較し,8年で肺塞栓症が約73倍,脳梗塞,心筋梗塞,狭心症は約4倍罹患しているとの調査データも公表されています。
 血栓を予防するにはベッドの設置が有効であり,導入した避難所は導入していないところと比べ血栓の発症が3分の1というデータがあるように,避難所へのベッド導入,特に保温性や安価,組み立てが容易な点で,段ボールベッドに今注目が集まっています。
 内閣府の避難所運営ガイドラインでは,簡易ベッドの確保を目指すと明記し,災害救助法の適用物品にもなっています。段ボールベッド導入については,業界団体との事前の防災協定が必要とされていますが,今回の西日本豪雨で被害を受けた倉敷市では,協定はなかったものの,市長の判断により,1週間で2,500のベッドを配備しています。
 震災関連死を防ぎ,血栓予防など,避難所の生活環境改善のため,簡易ベッドの導入目標などを検討すべきと考えますが,所見を伺います。

◎防災対策部長(黒田直稔君) 平成28年に発生した熊本地震におきましては,避難生活によるストレスや持病の悪化などによる震災関連死の方が200人を超えるという事態となっておりましたことから,発災後は段階的に避難所における生活の質向上を目指していく必要があり,簡易ベッド等の導入についても今後検討すべき課題であると捉えております。
 御紹介をいただきました段ボールベッドにつきましては,寝床が床より高くなっていることから,ほこりなどの影響を受けにくくなるとともに,楽な姿勢で横たわることができます。
 また,感染症やエコノミークラス症候群の予防にも効果的であり,避難所の生活環境改善につながるものと考えております。
 災害時の段ボールベッドの供給につきましては,平成29年9月に,県と西日本段ボール工業組合が,災害時における物資の供給に関する協定を締結しており,県内の市町村から支援の要請があった場合には,県が西日本段ボール工業組合に協力依頼を行いまして市町村の避難所等へ供給する仕組みが既に構築されております。
 本市としましては,避難所の生活環境改善に向けた物資を確保していくには,目標数値を定めておくことが重要であると認識しておりますので,今後とも先進事例を幅広く研究し,県とも連携し,協定の拡大や備蓄物資の充実に努めてまいります。

◆(細木良君) 前向きにありがとうございました。
 日本と同じ地震国で災害の多いイタリアは,災害対応専門の国の機関,市民保護省を設立し,災害救援を地方自治体や地域のボランティアに任せていたのを改め,国が直接関与する体制に移行しました。
 他の行政とは独立している市民保護省と各州,県,市の市民保護局が,NPO,NGOなどのボランティア団体と最初から協働して,迅速な活動を行っています。
 その他,法律で,避難所には48時間以内にテント,ベッド,仮設トイレや食堂を準備し提供しなければならないと明記されていること,そのために大きな備蓄倉庫が各州に配備,ボランティア団体も備蓄倉庫を持っています。
 災害支援物資の運搬,配付を初め,各人の専門性を生かして活動する職能支援者が多数いることなども特徴として上げられます。
 河田惠昭京大名誉教授は,著書の中で,防災省を創設して減災・縮災に日常業務として取り組むことが喫緊の国の課題であると指摘をしています。
 国が中心となった災害対策専門省庁の必要性について,所見を伺います。

◎防災対策部長(黒田直稔君) 御質問いただきました,中央防災会議の防災対策実行会議の委員でもあられます,現在は関西大学の河田特命教授は,その著書の中で,大規模災害に即応できる国の関係職員は数百人程度しか配置されていないことや,災害対応機関の指揮命令系統が一括してコントロールできる仕組みになっていないことを指摘しており,国難級の大災害が発生した場合には,国を挙げての迅速かつ適切な対応ができない可能性があると警鐘を鳴らしております。
 また,河田特命教授は,防災・減災・縮災の取り組みについて,日常的に行っていないことは非常時にもできないと指摘しておりますことから,南海トラフ地震の被害想定や昨今発生している大規模な災害対応を勘案いたしますと,防災・減災等を一元的かつ総合的に取り扱う防災省といった,国が中心となった災害対策専門の組織が創設されるべき時期に来ているのではないかと考えております。

■2019年3月定例会「トイレ確保」について
 前回の質問に続いて,避難所生活の環境改善について伺います。
 高知市災害時トイレ対策検討プロジェクトチームがこのたび中間報告を行いました。トイレの確保目標は50人当たり1基,発災後3日以内は携帯トイレで,4日後から1カ月は地域,施設ごとに災害用便槽,マンホールトイレ,仮設トイレをそれぞれ整備することとしています。
 マンホールトイレについては,長期浸水エリア外で下水道整備区域内にある指定避難所への設置を検討することになっています。
 先月行われた職員研修報告で,災害時マンホールトイレに関する先進地視察が行われました。整備のメリット,デメリット調査のため,熊本地震での避難所トイレ,磐田市の災害用便槽を視察されています。 水の確保等課題はあるものの,整備は不可欠であることがまとめで述べられています。費用の問題もありますが,社会資本整備交付金などを活用し段階的に整備すべきと考えます。
 高知市災害時トイレ対策検討プロジェクトチームの今後の取り組みや,整備の方向性について,伺います。

◎環境部長(宮村一郎君) 災害時のトイレ対策検討プロジェクトチームの活動状況等についてお答えします。
 南海トラフ地震を初めとする大規模災害に備え,指定避難所等のトイレ環境の諸課題を検討するため,環境部,防災対策部,上下水道局,教育委員会等の職員で構成する庁内検討組織を平成29年1月に設置しました。
 昨年3月には,災害時のトイレ確保の基準として,既設トイレの屋内配水管などの調査,点検が完了するまでの3日間は携帯トイレの使用を基本とし,4日目以降は既設トイレの状況に応じて災害用トイレの設置などの対応を行うことなど,基本的な事項を整理し,中間報告として取りまとめを行いました。
 本年度は,携帯トイレセットの配備,仮設トイレ,避難所となる公共施設の浄化槽緊急点検など,現状の取り組みと課題を整理するとともに,御質問にありましたとおり,マンホールトイレを導入した先進地事例を視察し,整備手法ごとのメリット,デメリット,整備コスト,国の交付金等の財源措置について検討を進めてきたところでございます。
 事業化に向けましては,必要となる予算の確保などの課題が残るものとなりますが,このプロジェクトチームによる検討結果が,指定避難所等における災害時のトイレ対策の方向性を示すものとなりますので,今後は関係部局が連携し,整備スケジュールなど事業化に向けた具体的な検討を行うこととしております。


■2019年6月定例会「食事提供」について
 2013年の災害対策基本法改正では,避難所など滞在する被災者の生活環境整備に対する地方公共団体の努力義務が明記され,災害救助法が適用され,避難所が開設されると内閣府から避難所の生活環境の整備等について留意事項と題する事務連絡が発出されるようになりました。昨年の7月豪雨時には,高知県に対しても発出をされています。
 その中では,炊き出しその他による食品の給与という項目の中で,長期化に対応して管理栄養士等を必要に応じて雇い上げるなどして,メニューの多様化,適温食の提供,栄養バランスの確保,高齢者や病弱者に対する配慮など,質の確保について配慮することが明記をされ,炊き出しスタッフの雇い上げや,食材,調味料,調理器具の購入,炊事場の確保や簡易調理室の設置,弁当購入などの費用については,国からの応急的な財政支援が受けられることになっています。
 にもかかわらず避難所の生活環境改善はこの間指摘をした簡易ベッド,トイレを含め,まだおくれている現状です。熊本地震での避難者への調査では,避難所で提供された食事に対し,栄養面での偏り,提供数不足,衛生面での不安,温かい食事がなかったなどの意見が集約されています。
 災害時の避難所等での食の提供についての本市の取り組みについて伺います。

◎防災対策部長(松村和明君) 
 現在想定しておりますフェーズごとの避難所での食事の提供ですが,発災直後の初動の段階,3日間程度は基本的に各個人で準備している食べ物や,避難所に備蓄している食糧などで賄うこととしております。また,備蓄品での食事の提供を補完するものとして,昨年稼働を始めました本市の給食センターから,おにぎり等を避難所に提供する仕組みを考えております。
 その後,発災後1週間までの応急段階では,国などからあらかじめ決められている支援物資が送られてきますので,その物資を使った食事の提供が基本となることを想定しております。
 本市保健所災害時公衆衛生活動マニュアルを根拠とした保健活動が開始すれば,避難所の食事状況調査も行われることになっておりますので,各避難所の実態把握を行い,できるだけ早期に食事の質を向上するための準備を進めてまいります。
 1週間後からの復旧段階では,地域の要望に応じた国からの支援物資の食事の提供とあわせて,ボランティア等による炊き出しや給食施設等の利用による多様な供給方法を考えております。
 その後,一定期間が経過し,避難が長期化する段階においては,国の避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針にも示されておりますように,食事等の供給契約を地元事業者等へ移行させることや,避難者みずから避難所等で炊事ができる場などの環境づくりについても検討をしております。
 災害時の被災者に対する早期からの栄養,食生活の支援は,心の安定はもとより,栄養状態の悪化を最小限度にとどめ,避難生活での健康を保つために重要なことであり,避難者の方々の食につきましては,細やかな配慮が求められますので専門職の視点が必要となっています。
 この点につきましては,県や高知県栄養士会と連携しながら日本栄養士会災害支援チームの支援要請ができる体制となっております。
 本市の栄養士12人は,今年度で全員がこのチームのリーダーに登録される予定となっており,また昨年の7月豪雨災害の際には,2名が愛媛県大洲市で延べ5日間支援活動を行いました。
 今後はこの経験も踏まえ,支援内容を十分に理解した上で,関係部局や高知県栄養士会などと連携し,各フェーズや多様な避難者の方々に応じた適切な食事が提供できる仕組みづくりを進めてまいります。
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