高知市議会は、明日閉会となります。日本共産党高知市議団はあいちトリエンナーレの問題に端を発した「検閲」については、今後の文化芸術活動に大きな影響を与えるものとして以下の意見書を提出します。意見書案を議会事務局に提出以降、再開や補助金不支給などの新たな動きもあったため、賛成討論を行う予定です。
文化・芸術活動における表現の自由を守るよう求める意見書(案)
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ企画展『表現の不自由展~その後』」が8月1日に開催されわずか3日間で展示中止となった。この企画は、公立美術館などで展示不許可の対象になった作品を集め、その理由とともに展示したもので、なぜ展示されなかったのかを来場者が自分の目で観て感じ考える貴重な機会だったが、テロ予告や脅迫のファクス、電話が愛知県庁や実行委員会に相次ぎ展示中止に追い込まれたものである。表現の自由を暴力と脅迫で奪うことは決して許されるものではない。
河村名古屋市長は「日本国民の心を踏みにじるもの」、「(慰安婦問題は)事実でなかった可能性がある」と述べ、実行委員長である大村愛知県知事に平和の少女像の撤去と展示の即時中止を求めた。また菅官房長官は補助金凍結を示唆する発言を行ったが、展示内容に対し、補助金の支出を根拠として公権力が中止を要求することは不当な政治介入、表現の自由の侵害であり「検閲」にほかならない。
2001年に定められた文化芸術基本法の前文では、「わが国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨としつつ、文化芸術を国民の身近なものとし、それを尊重し大切にするよう包括的に施策を推進していくことが不可欠である」と記され、国や地方公共団体の責務が示されている。
今回の展示中止にあたって、日本ペンクラブ、日本漫画協会、日本消費者連盟、日本出版労組、日本マスコミ文化情報労組などさまざまな団体が抗議や再開を求める声明を出し、東京弁護士会は「憲法21条で保証される表現の自由は自己の人格を形成・発展させる自己実現の価値を有するとともに国民が政治的意思決定に関与する自己統治の価値をも有する、極めて重要な基本的人権である」と指摘し、公権力が表現内容に異議を述べてその中止を求めることに強く抗議している。
政府においては、憲法に定められた「表現の自由」「知る権利」を尊重し、文化芸術基本法の基本理念に則り文化芸術活動を推進するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
2019年10月2日
内閣総理大臣
文部科学大臣