2014年度第1回市町村議会議員特別セミナーが今月10日(木)、11日(金)全国市町村国際文化研修所(大津 市)で開催され、受講しました。参加は、全国から225名(高知からは私のみ)。
今回のセミナーは地域活性化や地域再生がテーマであり、講師の一人である山崎亮さんの講演に期待し、参加しましたが、そのほかの講師の先生の講義もすばらしい内容で、参考になりました。以下少し長いですがご報告します。
<10日>
13:00 開講
13:15 ①地域再生への道~人と人がつながる・ふるさとこそが最前線~
講師:studio-L 代表取締役 山崎亮氏
『コミュニティデザイン』という新しい概念のもと、全国各地の地域活性化の支援をてがける方ならではの、具体的な取り組みの紹介があり、たくさんのヒントをいただきました。
・泉佐野市府営公園…ディズニーランド“キャスト”をヒントに、ボランティア“パークレンジャー”を養成、講座開講など公園利用者が急増。
・立川こども未来センター…まんがの聖地として売り出し。ここでもボランティア“アクティベーター”養成講座を開講。市民活動支援、多様なジャンルのプログラムが人気となっている。
・広島しまのわ2014…わざわざ島のおっちゃん、おばちゃんに会いに行く“コミュニティトラベル”地域イベントは、わかりやすく、つながる、かっこよく、居心地良く、がカギ。
・観音寺まちなか再生…まちの特色さがし。店の中に店がある商店街。EX.餃子屋とクリーニング店、下着とケーキ屋など。ミーティング後の飲み会“今宵もはじまりました”FBで全国に発信。SNSをきっかけに若者が活性化活動に参加。
*行政が住民にしてほしいことを押し付けるのでなく、住民がやりたいこと、できることを行政課題とコーディネートし、結びつけることが大切。住民参加型社会の中での議員の役割は、しっかり勉強し住民のシンクタンクとしていっしょに活動してほしい。市民の中のオピニオンリーダーはそうした議員の姿をきちんと評価してくれる。との発言もあり印象的でした。
15:00 ②伝統行事で地域活性化を~寂れた花街“嶋原”復活奮戦記
講師:京都嶋原太夫 司太夫氏
日本最古の花街“嶋原”は、『太夫』(官許により宴席でおもてなしをする女性の最高位として、歌舞音曲、茶道、華道、和歌や俳諧など芸を売る女性。国内に3名しかいない)文化を伝えるまちとして、独特の存在感を示している。伝統文化再興のまちづくりとしての活動は、個人新聞の発行や、伝統行事の復活、マスコミの活用、全国の交流(高知のどろめ祭や濱長とも)など旺盛に行い、イベントも定着し、市の重要無形文化財としても指定されたとのことであった。*講演の最後に舞を披露してくれました。
<11日>
9:00 ③地域再生の課題~農山村を中心に~
講師:明治大学農学部教授 小田切徳美氏
中山間地域での人口減がある“臨界点”を超えると一気に限界集落化、集落消滅となる。臨界点までに早急に手を打つことが今求められている。直販所や農家民宿など小さな経済を積み上げ追加所得(要望は月収3~5万円)を得られるようにする「経済」と、手作りの自治(西土佐の大宮産業など)や無理をしないコミュニティの再生が今後の方向性であること。新たな動きとして20歳台と50歳代の「田園回帰」志向、食料・エネルギー・水・CO2吸収(=国際的戦略物資、投機マネーも注目)など農山村の持つ大きな可能性を取り込むことが大切。
10:45 ④金沢市政にかける想い
講師:金沢市長 山野之義氏
戦災や災害に遭わず昔ながらの街並みと新しい文化をあわせもつ魅力的な街・金沢を売り出すプロモーション戦略から大いに学ぶべきことがありました。熱く語る市長の姿が印象的でした。
重要伝統的構造物群保存地区、国指定史跡、重要文化的景観選定など国への働きかけ、こまちなみ保存条例、用水保存条例、夜間景観形成条例、金沢の食文化および振興に関する条例、ユネスコ創造都市指定(クラフト&フォークアート分野)など市独自の取り組みを行っている。また工芸のまち振興のため、人材育成として金沢美術工芸大学や卯辰山工芸工房、金沢職人大学校の設立など。美しい建築物として金沢駅(世界で最も美しい駅ベスト20)、金沢21世紀美術館(外国人がクールと評した日本の観光スポット8位)、金沢海みらい図書館(世界の素晴らしい公立図書館4館)もぜひ機会があれば視察したいと感じました。
観光戦略として、北陸新幹線開通前のイベント、古地図活用した街歩き、富裕層向けプレミアムツアー、クラフトツーリズム、アーキテクチャーツーリズム、ナイトミュージアム、ライトアップバス、広域観光モデルツアー(五箇山、白川郷、高山との連携)、海外との交流(7都市交流)、四季を通じたイベント(音楽祭、フード)など目を瞠るさまざまな活動を行っている。高知市が作成したばかりの“観光基本計画”は、今までの延長線上で目新しいものがないと批判が高
いが、こうした先進地の取り組みを謙虚に貪欲に学ぶことが必要でないかと強く感じました。
12:15 閉講