日本共産党高知市議団は9月7日、通算12回目となる新型コロナ対策緊急要望書を提出しました。
*中澤副市長に要望書を提出
新型コロナウイルス感染症対策にかかる緊急要望(第12回目)
高知市長 岡﨑 誠也 様
高知市教育長 山本 正篤 様
令和3(2021)年9月7日
日本共産党高知地区委員会
委員長 水口芳廣
日本共産党高知市議団
団長 下本文雄
昼夜分かたぬ新型コロナウイルス感染症対応に敬意を表します。
全国的な新型コロナウイルスの爆発的感染拡大の中、8月19日から県の警戒レベルが最高の非常事態(紫)に引き上げられ、8月27日から9月12日までの間は対象区域を高知市とする「まん延防止等重点措置」が適用されています。
このところの感染は、大半はデルタ株と見られ、その感染力と重症化リスクも一段と厳しいものとなっています。
今回の緊急要望(第12回目)では、自宅療養を余儀なくされる感染者が市内で400人にものぼる医療提供体制のひっ迫の中で、特にデルタ株にしっかりと対処する市としての取組みを求めるものです。
Ⅰ.乳児を含む子どもの感染増への対応について
市は、8月27日新型コロナウイルス感染症に係る対処方針をver.10に改定し、その中で、「学校の2学期は、これまでの感染予防対策を徹底し9月1日から通常登校とすること」を明記しています。同日、文科省は、学校で児童や教職員に新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインを公表し、休校とする場合の範囲と期間、濃厚接触者の特定とPCR検査の対象等についての目安を示しています。
(1)本市にはまん延防止等重点措置が適用されていますが、一律に休校等の措置をとることは避け、文科省のガイドラインを参考に、市としての学校における対応策を定め、公表すること。
以下、具体的な要望として
①デルタ株の感染力、特にエアロゾル感染の特質を踏まえた対応を取ること。
・不織布マスクを(着用が困難な児童等については除く)適正に着用すること。学校で不織布マスク(子ども用サイズも準備のこと)を必要に応じで提供すること。
・マスクをはずす給食時の飛沫飛散防止を徹底し、必要に応じて班分けによる時差給食なども実施すること。
②陽性者が確認された場合の対処について
・陽性者が確認された場合の濃厚接触者(PCR検査を受ける)の範囲は、属する学級全員など文科省のガイドラインにもあるようにより広い範囲とすること。
・陽性者が1人確認された場合の対応は、多くの場合、文科省のガイドラインの「周囲に未診断の風邪症状を有する者が複数いる場合」が該当すると考えられ、躊躇なく臨時休業とすること。
・学級閉鎖の期間は、文科省ガイドラインでは5~7日を目安としているが、同じガイドラインで「ばく露から症状発症まで最大14日、多くは5日」としていることから、科学的知見に基づいて適切な期間となるよう判断すること。
・学級閉鎖から学年、学校閉鎖への拡大については文科省のガイドラインに基づき適正に判断すること。
・学級閉鎖の段階では、他のクラス・学年について分散登校やオンライン授業を柔軟に組み合わせて対応すること。
・分散登校時には、子どもの居場所としての登校場所を確保しておくこと。
③その他の対応について
・感染の不安などから登校できない場合、欠席扱いとしない対応を柔軟にとること。
・登校できない場合についても子どもへの学びの保障(家庭学習用ドリルなど)をおこなうこと。
・部活等について、活動再開の目安と、デルタ型対応のガイドラインを示すこと。
(2)学校における簡易抗原検査キットの活用について
文科省は、高等学校等に続き、全国の小中学校についても、9月上旬から簡易抗原検査キットを送付(全国で80万回分)するとされています。
高知市では4~5000回分程度か?高等学校等用は鼻腔検査、小中学校用も一部報道では鼻腔型とされている。現在市販されているのは唾液型が主流。発熱等の症状がある小学4年生以上の児童生徒や教職員対象に使用予定。
そこで、
・簡易抗原検査は、陽性者が確認された周辺環境(PCR検査をうける学級の同学年の他学級など)にある教職員・児童生徒にキットを自宅に持ち帰ってもらって実施、陽性の場合は無償ですみやかにPCR検査につなげること。
・学校内で、発熱等の有症状者に対する検査実施の場合に備え、鼻腔や咽頭粘膜採取ができる場所と防具を配備しておくこと。
(3)放課後児童クラブや保育所についても、学校での対応についての要望に即した対応とすること。
Ⅱ. 医療提供体制について
県は、医療のひっ迫の中、入院「調整中」というカテゴリーを廃し、新たに「自宅待機・自宅療養」とし、自宅療養を固定的に容認することとしました。全国的に、自宅療養中に容態急変による死亡事例や容態が悪化しても入院治療につなげられない事態が多発し、自宅待機(療養)が500人を超えた高知県でも、特にその大半である高知市民にとっては重大な問題である。そこで、
(4)近く宿泊療養施設を一施設追加確保できる見込みであるとのことであるが、看護師の確保とともに総力をつくし、さらに軽症者への抗体カクテル療法実施などを想定して臨時医療施設の確保についても県と協議すること。こうしたことを通じて、県の自宅療養の目安より手厚い対応を図り、可能な限り自宅療養をなくすこと。
・民間等の協力病院等での、重症化を防ぐための酸素吸入や抗体カクテル治療を施せる環境確保について、県や医師会と協議し、その到達点を公表すること。
Ⅲ. 検査について
最近の新規感染者における感染経路不明者は、高知市では約5割にも上っている。また、検査の陽性率も急上昇しており、8月末には15%を超えるまでになっている(県の非常事態の基準が10%)。さらに、県が8月26日から3日間実施した無症状者に対する無料PCR検査(2,131件のうち陽性28件)での陽性率が、約1.5%と非常に高くなっている。これらは、明らかに市中感染が広がっていることを示しており、客観的に見て、検査数が少なく陽性者を発見隔離する対応が遅れていると言わざるをない。
9月補正では、当初予算の6.5倍となる1億8300万円のPCR検査費を計上しているが、これは3月末までの6か月分とすれば、月2000回分程度しかなく、このところのペースでは濃厚接触者に限る行政検査だけでも予算不足が心配される。そこで、
(5)濃厚接触者の範囲を広くとる以前の姿勢(「濃厚接触者の対象範囲を広げまして積極的な行政検査を行っておりまして,感染の蔓延防止に向けての取組を鋭意進めている(大野部長答弁)」)をさらに広げること。
・今回の検査の増額予算を早期に消化し、今後、追加補正をおこなうこと。
・特に、高齢者施設等での濃厚接触者の対象範囲を従来(上記部長答弁)より狭めることのないよう、またブレークスルー感染などデルタ株の強い感染力に見合うよう、より広い対象とすること。
(6)PCR検査を抜本的に拡大実施すること。
・県が行った無料PCR検査を引き継ぐような、市民の交通の便がいい場所での無料検査の予算を確保すること。
・保育、放課後児童クラブなど、ワクチンを打てない12歳未満の子どもと、ここに関わる職員に対して、定期的にPCR検査を実施すること。
Ⅳ. 暮らしを守る対策について
(7)陽性となった市民の健康と生活を守る施策を強化すること。
・コロナに感染した場合の「営業自粛店舗支援金」制度や、コロナ感染や感染疑いによる「国保の傷病手当支給」等の制度について、新たな事業継続融資制度等とともに適切に周知をはかること。
(8)国の新型コロナウイルス感染症対策としての臨時交付金の活用対象としては、「年末」などコロナ収束時期を予測した将来の売上リカバリー策ではなく、現下の売上損失を支援することに重点をおいた活用とすること(昨年末のアートアクアリウム展での3.7億円など、コロナの収束を予測し、実際のコロナ収束前に実施した施策では、その経済効果が限定的であった経験からも裏付けられる)。
(9)県の時短協力金に対して、高知市以外の対象地域では、独自の上乗せをおこなっているが、高知市が独自上乗せを見送ったことは、遺憾である。12日までについては、さかのぼり独自の追加支援をおこなうこと。また、県が休業要請を12日を超えて延長する際には、市独自の上乗せをおこなうこと。
(10)今回(対象月=8または9月)の県の時短要請対応給付金(飲食以外を幅広く支援する給付金)に該当しない、売上減少3割未満の事業者支援を市独自または県と協力して実施すること。その際、申請の添付書類を簡略化し、給付金額は、一定の売上減少額以下は日額2万円程度の定額とすること。
以上