高知県内での不登校児童・生徒の出現率は全国平均より高く、年々増加しており2024年度は過去最多となりました。2023年、「高知県不登校児童生徒の多様な教育機会確保に関する協議会」が設置され、昨年12月には「子どもたちが誰一人取り残されない学びの保障に向けた提言」が同協議会により作成されました。提言では、不登校の要因は「無気力」「不安」などこどもや家庭の責任ではなく、一人ひとりの子どもに適切な対応が取れていない学校のありようだと指摘していることは重要です。競争教育の是正、教職員の増員や働き方改革、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの常勤雇用などが求められています。
不登校で悩む保護者は多く、とりわけ不登校が低学年に広がっていることは保護者が家庭で対応しなければならないケースが増加しており、民間調査では、不登校の子どもの保護者のうち4人に一人が離職か休職せざるを得ない状況となっています。安心して子どもに向き合う育児・介護休業や休暇制度の中にしっかりと「不登校児童生徒ケア」も位置付ける制度改正が求められています。

今年2月、日本共産党高知県議団、同県委員会、保護者の方と一緒に文部科学省はじめ政府交渉を行い、「不登校の子どもに親が付き添う休暇がほしい」との要望など不登校対策について要請を行いました。また2月定例会では塚地さち県議がこの問題を取り上げる中で、厚労省雇用環境均等局が本年1月に介護休業制度等における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直しに関する研究会報告書(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50086.html参照)が作成され、その中で医療的ケア児や不登校の家族に対しても介護休業が取得できる判断基準見直しが記載されていることが明らかとなりました。
この報告書では、「いわゆるひきこもり、不登校の状態にある対象家族が『常時介護を必要とする状態』に該当するか否かの判断にあたっては、こうした状態にある事実そのものではなく、「(1)項目①~⑫のうち、状態について2が二つ以上、または3が一つ以上該当し、かつその状態が継続すると認められる」などの判断基準が示され、「医師の診断書等」は必ずしも必要ではないことも記載されています。
こうした重要な制度について、県民はほとんど知らされていません。この間、高知県労働局雇用環境・均等室にもこの「休業制度」について確認しましたが、今年1月の「見直し」はすでに適用されており、県内でも診断書なしで介護休業の取得が認められているケースが存在していることも明らかとなりました。
不登校対応で悩んでいる保護者のみなさんはじめ、自治体、企業にも「不登校も介護休業の対象になっている」ことを周知させることが重要です。
◇介護休業
要介護状態にある対象家族一人につき通算93日間まで3回を上限として分割取得が可能。賃金補償もあり「介護休業給付金」(賃金の67%、介護休業期間中に1部給与が出る場合は合わせて80%になるよう給付)
◇介護(看護)休暇
5日間(子どもが2人以上の場合は10日間)取得可能。無給。