かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(9)――朝日歌壇・俳壇から(2013年10月14日~12月8日)

2013年12月08日 | 鑑賞

 朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。原発事故隠しもその目的の一つと思われる特別秘密保護法を詠んだ歌も合せて抜き書きとした。

 

彼岸後に防護服での墓参り秋は静かに夜長に向う
             (福島市)澤正宏  (10/14 馬場あき子選)

満月は海より上り原子炉と人無き街と村とを照らす
             (福島市)美原凍子  (10/14 馬場あき子選)

誘われて行けなかったあの日のデモ今なら行くよ君を誘って
             (東京都)香西和衛   (10/21 永田和宏選)

靴底に拾う人なき椎の実を踏み拉(しだ)き行く被爆検査日
             (福島市)澤正宏  (10/21 馬場あき子選)

太古より一滴の水もこぼさない地球よあなたを汚してごめん
             (中津市)吉瀬和代   (10/28 野公彦選)

戦争も原発もない国がいいと天野祐吉別天地に転居す
             (上尾市)星芳継   (11/10 野公彦選)

避難解け主人と帰宅の番犬は出勤の朝に激しく吠える
             (福島市)澤正宏  (11/18 佐佐木幸綱選)

貝たちは汚染吐くため砂を吐く吐いても吐いても汚染は溜まる
             (長野市)関龍夫  (11/18 馬場あき子選)

福島より避難生活二年九カ月われも夫も疲れ果てたり
             (東京都)半杭螢子  (12/8 佐佐木幸綱選)

黒い木に「いちじく食ふな」の札がゆれ原発近き荒れ畑が見ゆ
             (浜松市)松井惠  (12/8 佐佐木幸綱選)

思いより時代が我を超えて行く汚染は止まず秘密保護法
             (三郷市)岡崎正宏  (12/8 佐佐木幸綱選)

トイレなきマンションではなく核のゴミは着陸できない旅客機なの
             (岸和田市)西野防人   (12/8 永田和宏選)

捨て場なきゴミ作るなと言ふ人を無責任とぞ責むる無責任
             (松山市)宇和上正   (12/8 永田和宏選)

 

空澄みて水澄みてなほ放射能
             (吹田市)柏原才子   (10/14 金子兜太選)

福島いま地獄の如し彼岸花
             (いわき市)坂本玄々   (10/14 金子兜太選)

許されて防護服着て墓参かな
             (福島市)池田義弘   (10/14 金子兜太、大串章選)

フクシマの死せる秋汐ひたひたと
             (東京都)廣川風韻   (10/21 金子兜太選)

震災時配給されしマスクあり
             (相馬市)根岸浩一   (12/2 長谷川櫂選)

 

【特別秘密保護法】

 国民に見ざる聞かざる言わざるを強いる事項は?それも秘密だ!
             (向日市)赤川次男  (12/8 佐佐木幸綱選)

思いより時代が我を超えて行く汚染は止まず秘密保護法
             (三郷市)岡崎正宏  (12/8 佐佐木幸綱選)

知らぬ間に戦争うしろに立っていた秘密保護法成立を怖る
             (津山市)菱川佳子   (12/8 永田和宏選)



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