朝日新聞への投稿短歌･俳句で｢原発｣、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
即死せる人を羨む被爆者の地獄を伝ふ林京子は
（久留米市）塚本恭子 （12/4 永田和宏選）
搬入車待ちて立つ人杙（くい）のごとし中間貯蔵の巨穴（おおあな）の底
（福島市）青木崇郎 （12/10 馬場あき子選）
貝殻を耳に当てれば聞こえ来る遠き潮騒水爆の音
（長野市）原田浩生 （12/10 馬場あき子選）
六年前飢牛が齧（かじ）りて細りたる柱に息呑む高校生らは
（福島市）青木崇郎 （12/18 佐佐木幸綱選）
最終の貯蔵地もなく列をなし大熊町に集まるダンプ
（茂原市）植田辰年 （12/18 佐佐木幸綱選）
昼夜泣く地表を覆ふヒトもまた絶滅危惧種ボタン一つで
（島田市）水辺あお （12/18 高野公彦選）
もう一度ゆっくり言ってくれないか核持つ国が持たせぬ理由
（守口市）小杉なんぎん （12/18 永田和宏選）
線量は遺骨にまでも沁み込んで持ち出せぬという条理が悲し
（さくら市）大場公史 （12/25 佐佐木幸綱選）
被爆国口を閉ざすも被爆者は世界に向けて口を開きぬ
（横浜市）村田卓 （1/8 馬場あき子選）
線量は地中はどうだ蛙たちよく眠れるか病んでいないか
（いわき市）馬目弘平 （1１/15 永田和宏選）
サーローさん核は絶対悪と説く心の叫びに会場総立ち
（名古屋市）諏訪兼位 （1/15 馬場あき子選）
美智子妃の思いは深し広き視野ICAN（アイキャン）に受賞を祝い給えり
（長岡京市）田原モト子 （1/15 馬場あき子選）
親指で隠れてしまう双葉町フレコンバッグ山と積まれぬ
（二本松市）開発廣和 （1/15 佐佐木幸綱選）
収束をせぬ福島の師走かな
（三郷市）岡崎正宏 （12/4 金子兜太選）
フクシマの神々還る処無し
（二本松市）開発廣和 （12/4 長谷川櫂選）
福島に帰る日やいつ寒茜
（福島県伊達市）佐藤茂 （12/10 金子兜太選）
若狭には原子炉多し虎落笛
（調布市）川井政子 （1/8 金子兜太選）
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