かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(49)――朝日歌壇・俳壇から(2018年1月22日~3月26日)

2018年03月26日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

被爆者が自身を晒(さら)して語り継ぐ「絶対悪」の証人として
         (三鷹市)山室咲子  (1/22 永田和宏選)

七年の避難生活、借り上げの二間(ふたま)の物の隙間に辛く生く
         (いわき市)守岡和之  (2/4 佐佐木幸綱選)

「穏やかな住みたい街」に選ばれぬ伊方のリスク識(し)らぬ人らに
         (松山市)宇和上正  (2/12 馬場あき子、佐佐木幸綱選

新設の「原発」分野震災が無ければ載らぬ原発用語
         (高松市)島田章平  (2/12 佐佐木幸綱選)

ヒロシマを訪(と)ひしアイキャンの代表と会ふこともなし日本の首相
         (牛久市)伊藤夏江  (2/12 高野公彦選)

袋剥(は)ぎ除染土落とせば土五尺しずみて終(つい)の置場のごとし
         (福島市)青木崇郎  (2/19 高野公彦選)

避難せし遠近(おちこち)ゆ来て浪江町の田植踊を久々に舞う
         (福島市)青木崇郎  (2/26 馬場あき子選)

捨て雪の山は春には消えてゆく春にも消えぬ核廃棄物
         (村上市)鈴木正芳  (3/5 馬場あき子選)

ほんとうに使う気なんだ核兵器を扱いやすい大きさにする
         (千葉市)佐々俊男  (3/12 永田和宏選)

小型核開発目指す米国に遠きふるさと長崎想ふ
         (鳥取市)石井千代子  (3/12 高野公彦選)

原爆の写真に見入る異邦人「祖父母はアウシュヴィッツで死にました」
         (高槻市)梅原三枝子  (3/26 馬場あき子選)

 

高々と冬の噴水爆心地
         (広島市)谷口一好  (1/22 大串章選)

被曝の地春来たれども人は来ず
         (横浜市)松永朔風  (3/26 大串章選)

福島を汚染土の山あざ笑ふ
         (福島県伊達市)佐藤茂  (3/26 長谷川櫂選)

フクシマの果てなき賽(さい)の河原かな
         (いわき市)馬目空  (3/26 長谷川櫂選)



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