かわたれどきの頁繰り (小野寺秀也)

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(72)――朝日歌壇・俳壇から( 2021年6月27日~8月15日)

2021年08月15日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

「退却」をかつて「転身」「汚染水」いま「処理水」と変はらぬ欺瞞
       (長野県)山口恒雄  (6/27 佐々木幸綱選)

人生のうち10年は被災者でまだまだ続くこの浜通り
       (南相馬市)佐藤隆貴  (7/4 永田和宏選)

ホッキ貝の漁の再開6年目相馬沖には幸せな夏
       (南相馬市)佐藤隆貴  (7/4 馬場あき子選)

ふくしまに生きた証も夢のごとわが家わが庭の解体終はる
       (国立市)半杭螢子  (7/11 馬場あき子選)

艫綱(ともづな)に船に海藻とりついて十年経ちぬ被爆の漁港
       (いわき市)馬目弘平  (7/18 馬場あき子選)

海を前に黙(もだ)ありし人処理水に何をか語らん長田弘忌
       (福島市)青木崇郎  (7/18 佐々木幸綱選)

美しい夜景すなおに喜べぬ原発ありての光と思えば
       (船橋市)佐々木美禰子  (8/1 高野公彦選)

放射能いまも骨髄につきおれば遺骨となりても放射能出す
       (アメリカ)大竹幾久子  (8/1 馬場あき子選)

畏敬持ち万全を期す原発(システム)に危機意識ない四人だった悲劇
       (郡山市)柴崎茂  (8/8 佐々木幸綱選)

エノラ・ゲイまもなく飛んできた時刻オリンピックの空も同じ青
       (アメリカ)大竹幾久子  (8/15 馬場あき子選)

生と死の境を生きし被爆の日 思い出しても身の毛がよだつ
       (西海市)原田覚  (8/15 馬場あき子選)

福島に「くだものの夏」が巡り来て震災前との比較が始まる
       (福島市)安斎真貴子  (8/15 佐々木幸綱選)

 

 

原発の遺す抜け殻蝉時雨
       (青森市)天童光宏  (8/15 長谷川櫂選)

 

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