かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(58)――朝日歌壇・俳壇から(2019年9月1日~9月8日)

2019年09月08日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

原爆は誰がため原発は誰がため問えば重たしこの国の明日
         (福島市)美原凍子  (9/1 馬場あき子選)

命日が八月の墓並びおり爆心地より離れて十里
         (西海市)前田一揆  (9/1 馬場あき子選)

廃絶の信念のない人なんぞ記念式典に呼ぶこともない
         (多賀城市)賀川秀真  (9/1 馬場あき子選)

原発から都会へ続く送電線ひまわり畑を大きくまたぐ
         (ひたちなか市)菅野公子  (9/1 佐々木幸綱選)

被爆して死を待つ姉を看取りたる十五のわれの狂おしき夏
         (西海市)原田覚  (9/8 馬場あき子選)

秋の波激しく寄せてトリチウム取れぬ汚染水流すなの叫び
         (福島市)澤正宏  (9/8 馬場あき子選)

「微力だが無力じゃない」と高校生平和大使の核廃絶運動
         (小平市)北川泰三  (9/8 馬場あき子選)

野馬追もお盆も過ぎてふるさとはフレコンバッグの街に戻りぬ
         (下野市)若島安子  (9/8 佐々木幸綱選)

二階まで覆う雑木々原発事故九年目に見る故郷のわが家
         (いわき市)多田千恵  (9/8 佐々木幸綱選)

「避難者」は年ごと減れど「帰還者」の数が僅かな町の寂しさ
         (福島市)青木崇郎  (9/8 永田和宏選)

古里の日なが泳ぎし請戸(うけど)川除染袋に月見草の咲く
         (いわき市)伊藤行和  (9/8 永田和宏選)

 

空蝉を数珠繋ぎする子や原爆忌
         (松本市)浅田護  (9/1 高山れおな選)

人も馬も蚤(のみ)も虱(しらみ)も原爆忌
         (松本市)松井武石  (9/1 高山れおな選)

まぼろしの如き原発大西日
         (東京都)土肥酔山  (9/1 高山れおな選)

虹消えて地球に核の残りけり
         (向日市)松重幹雄  (9/1 大串章選)

 

 

街歩きや山登り……徘徊の記録のブログ
山行・水行・書筺(小野寺秀也)

日々のささやかなことのブログ
ヌードルランチ、ときどき花と犬(小野寺秀也)

小野寺秀也のホームページ
ブリコラージュ@川内川前叢茅辺