かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(18)――朝日歌壇・俳壇から(2014年11月17日~12月14日)

2014年12月15日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

廃炉とう遠き地平や石蕗(つわぶき)は黄の花明かりひそととぼせり
             (福島市)美原凍子  (11/17 野公彦選)

福島へはもう戻れない富士山の見ゆるこの街にいつか慣れたり
             (国立市)半杭螢子  (11/24 佐佐木幸綱選)

被爆したヤマアトシジミとカタバミが病むとふリポート読めばかなしき
             (浜松市)松井惠  (11/24 佐佐木幸綱、馬場あき子選)

鹿親子セシウム茸食つてゐる空砲打つて危険知らせる
             (前橋市)船戸菅男  (11/24馬場あき子選)

銀杏(ぎんなん)の熟れて落ちたる実を踏みて金曜デモへ茱萸坂(ぐみざか)を上がる
             (東京都)白倉眞弓  (12/1 永田和宏選)

チェルノブイリと福島の燕切ないね被爆のマーク白い斑点
             (姫路市)綾部佳子  (12/1 佐佐木幸綱選)

時雨ゐる岬の原子炉止まりゐて道はここにて行き止まりなり
             (敦賀市)上田善朗  (12/8 永田和宏選)

拾壱にはさまれ参は哀しそう四度目の冬も二間の仮設住宅(すまい)
             (下野市)石田信二  (12/14 佐佐木幸綱選)

原発の賛否を評決する前に我が福島を歩いて欲しい
             (いわき市)馬目弘平  (12/14 佐佐木幸綱選)

一Fも二Fも階(ふろあ)のことならず福島原発こわれし後(のち)
             (青森市)白鳥せい  (12/14 佐佐木幸綱選)

 

冬耕す先祖の土地はみな被爆
             (いわき市)馬目空  (11/17 金子兜太選)

知の末てふ原発哀れ囲炉裏燃ゆ
             (塩釜市)杉本秀明  (12/1 金子兜太選)

放射霧墓石のようなビルの頭
             (岡谷市)岩田正恭  (12/8 金子兜太選)

 【選評】「放射霧」は中七の例えから放射線を含む霧ととる。現実感あり。

日本中福島忘れ冬に入る
             (長岡京市)寺嶋三郎  (12/14 金子兜太選)