かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(60)――朝日歌壇・俳壇から(2019年10月27日~12月22日)

2019年12月22日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

原発がなければ仕事がないというそういう土地に原発はある

         (観音寺市)篠原俊則  (10/27 永田和宏、高野公彦選)

 

毒茸のやうにによつきり高浜の原発二基は黙(もだ)深く建

         (前橋市)荻原葉月  (10/27 馬場あき子選)

 

ニッポンはオール電化の国となりオイルとウランにどっぷり浸る

         (東京都)野上卓  (10/27 馬場あき子選)

 

「想定外」あれから便利に使われて責任という背骨失せたり

         (小山市)木原幸江  (10/27高野公彦選)

 

汚染土積む四噸(とん)トラック一〇台が颱風禍に出て路肩に避難

         (福島市)澤正宏  (11/3 馬場あき子選)

 

(むじな)には何の恨みも無いけれど何か似ている関電幹部

         (川崎市)小島敦  (11/3 永田和宏選)

 

首相よりまず被爆者と被災者の手を取るローマ教皇の手よ

     (観音寺市)篠原俊則  (12/15 高野公彦、永田和宏、馬場あき子選)

 

きっぱりと核廃絶を求めつつハグしてキスして笑顔の教皇

         (三鷹市)山縣駿介  (12/15 永田和宏選)

 

はろばろと被爆地に来て教皇が核は要らぬと世界に宣す

         (三原市)岡田独甫  (12/15馬場あき子、佐々木幸綱選)

 

爆心地教皇立てて祈りけり被爆の少年立ちしこの地に

         (三原市)岡田独甫  (12/15 馬場あき子選)

 

教皇のミサの中継見届けて繙(ひもと)く歌集『とこしへの山』

         (福岡市)下村靖彦  (12/15 佐々木幸綱選)

 

教皇のズケットの先の闇深し原爆ドームは秋雨に洗われている

         (藤沢市)松山裕  (12/15 佐々木幸綱選)

 

教皇の帰国を待っていた様に女川2号再稼働へと

         (川崎市)小島敦  (12/22 馬場あき子、高野公彦選)

 

大雨のたびに建屋の水位増し汚染水タンク立錐の地に

         (茂原市)植田辰年  (12/22 馬場あき子選)

 

フクシマを忘れないでと願うのももう忘れてと願うも本音

         (福島市)稲村忠衛  (12/22 佐々木幸綱選)

 

汚染土を積んだトラック列をなし黙々と行く仮置場へと

         (須賀川市)山本真喜子  (12/22 佐々木幸綱選)

 

 

汚染土の十万年の山眠る
         (福島県伊達市)佐藤茂  (12/15 大串章選)

 

 

 

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