かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(55)――朝日歌壇・俳壇から(2019年4月7日~6月2日)

2019年06月04日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

あの日から八年を経てなほ帰還困難区域にわが家朽ちゆく
         (国立市)半杭螢子  (4/7 高野公彦、佐佐木幸綱選)

福島の夜の森(よのもり)の桜悲しけれ廃炉見つづけ咲くほかなし
         (下野市)若島安子  (4/7 馬場あき子選)

放射能染みつく墓石を寄せ囲い故郷を去る戸主春冷えの彼岸
         (福島市)澤正宏  (4/7 佐々木幸綱選)

フクシマの常磐線の廃駅はとり壊されて更地となりぬ
         (福島市)櫻井隆繁  (4/7 佐々木幸綱選)

招かれて行く核廃の会多し被爆者われは「看板」なれば
         (アメリカ)大竹幾久子  (4/14 馬場あき子選)

東北は被災地なれど鳥啼(な)けば芭蕉たどりしみちのくとなる
         (宮城県)中松伴子  (4/21 佐々木幸綱選)

復興も原発汚水も沖縄も残ししままに新年号に入る
         (盛岡市)堀米公子  (4/21 高野公彦選)

原潜を許す港の夕暮れて迎えるごとく街の灯ともる
         (西海市)原田覚  (4/28 高野公彦選)

「被災地の視察しました」証明の写真を撮って立ち去る彼ら
         (相馬市)根岸浩一  (5/5 永田和宏選)

原発もPCBも令和へと廃棄物処理の引継ぎ
         (大津市)隈本庸哉  (5/12 佐々木幸綱選)

ゆるゆると核燃料の吊られゆくああこの刹那地震が来たら
         (水戸市)中原千絵子  (5/19 馬場あき子選)

テニヤンは原爆二度載せ発った島こんどは基地化で弾雨降る島
         (福島市)澤正宏  (5/19 馬場あき子選)

廃炉までなお遠からむおぼろなる令和の月が建屋照らせり
         (福島市)美原凍子  (6/2 高野公彦、馬場あき子選)

 

ふと不意にエノラ・ゲイの名母の日来
         (岐阜県揖斐川町)野原武  (5/5 高山れおな選)

原子炉のやうに並びて蟻地獄
         (東京都)山口照男  (6/2 長谷川櫂選)

 

 

 

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