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労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

国際自動車残業代請求事件 最高裁で3つの事件とも労働者側が勝訴!そらそうやろ!!

2020-04-01 | 書記長社労士 労務管理

 3月30日、国際自動車残業代請求事件に関する3つの訴訟の最高裁判決の期日で、傍聴しに行った。
自分のブログでも過去に取り上げたことがあった裁判(歩合給の算定に当たり割増賃金相当額を控除する旨の規定の有効性 2016-03-23)、この自分のブログ記事では、一番最初の裁判の判決が労働側勝利で「そらそうだ!」という趣旨で書いた。


 が、しかし、なぜか最高裁で差し戻しにされ、他の2つの同様の事件と共に、会社側が勝利し続け、「なんでやねん!」ってなっていたのだ。


 傍聴券は18枚、新型コロナ感染対策で、傍聴席を一つおきに使うために席が少ない。
傍聴希望者は60名ほどなので、ほぼ3倍の確率だったが、なんとか当選を果たし、代理人の一人である菅俊治弁護士とガッツポーズ。
ということで、とにかくとても注目しており、どんな判決になるかと心配していたが、さすがに当たり前の判決が出て、労働者が全部の裁判で勝利した!

 タクシー大手・国際自動車(kmタクシー)では、ドライバーに対し、基本給や残業代のほか、売上高に応じた歩合給が支払われていた。しかし、歩合給を計算するとき、残業代相当額などが差し引かれ、「実質残業代ゼロ」の状態になっていた。
この制度はドライバーの約95%が加入する最大組合が了承したうえで導入されていたが、別の少数組合のドライバーが違法だとして提訴していた。

 高裁判決では、法令違反などがない限り、賃金をどのように定めるかは自由としたうえで、名目上は法定の金額を下回らない残業代が出ていることなどから、制度を合法としていた。

 一方、今回の最高裁判決では、手当の名称や算定方法だけでなく、労働者に対する補償や使用者に残業抑止の動機付けをさせるという労基法37条の趣旨を踏まえ、賃金体系全体における位置付けなどにも留意すべきだとした。
そのうえで、歩合給から残業代相当額を引く仕組みは、元来は歩合給として支払うことが予定されている賃金を名目のみを残業代に置き換えて支払うものだと指摘している。
労基法37条では残業代計算のベースとなる「通常の労働時間の賃金」と「割増賃金(残業代)」を判別できることが求められているが、残業代の中に歩合給(通常の労働時間の賃金)が相当程度含まれていることになるため、判別ができないとして、残業代が払われたことにはならないと判断した。
今後は、歩合給からは残業代は引けないという前提で、高裁で未払いになっている金額を審理することになる。

 歩合給中心の賃金体系(いわゆるオール歩合賃金やB型賃金)が多くなっているタクシー業界ながら、固定給を中心とした賃金体系(いわゆるA型賃金)を採用している事業者も多数あり、それらの割増賃金の計算や、賃金制度にも悪影響を与えかねないこれまでの下級審の判決だっただけに、この最高裁判決で、ほんと、胸をなで下ろした。

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残業相殺が停止!これでタクシーやバス職場で使える!「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大について」

2020-03-30 | 書記長社労士 労務管理

【🏃Run9-19 8.69km 51:00 Adidas東京タワー六本木コース】 3月28日に発表された「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大について」
 今般の新型コロナウイルス感染症により影響を受ける事業主を支援するため、雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大を今後行う予定です。
その概要は、別紙のとおりです。別紙の緊急対応期間は本年4月1日から6月30 日までとし、詳細については、あらためて公表いたします。
【公表資料】新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大 ・・・ 別紙 https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000614800.pdf 

<学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金、個人向け緊急小口資金相談コールセンター>
0120-60-3999 受付時間  9:00~21:00(土日・祝日含む)


 拡大された特例措置の内容は、
❶緊急対応期間(4月1日から6月30日まで) 感染拡大防止のため、この期間中は全国で特例措置を実施。
❷生産指標要件緩和(1か月5%以上低下)。
❸雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める。
❹助成率 4/5(中小)、2/3(大企業)(解雇等を行わない場合は9/10(中小)、3/4(大企業))
❺計画届の事後提出を認める(1月24日~6月30日まで)。
❻支給限度日数 1年100日、3年150日+上記対象期間
❼短時間一斉休業の要件緩和。
❽残業相殺の停止。
❾支給迅速化のため事務処理体制の強化、手続きの簡素化も行う。
❿教育訓練が必要な被保険者について、教育訓練の内容に応じて、加算額を引上げる措置を別途講じる。
⑪休業等規模要件の緩和 対象労働者に係る所定労働延日数の40分の1 (大企業の場合は30分の1 )以上【4月6日追記】

 雇用調整助成金のいわゆる「コロナ特例」は、①計画届の事後提出を認める、②クーリング期間の撤廃、③被保険者期間要件の撤廃、の3つ。

 「残業相殺」とは、休業等をさせる一方で「所定外労働等」(所定外労働又は所定休日における労働。)があった場合は、「休業等延べ日数」の算定に当たり、その「所定外労働等」に該当する時間分を控除するという仕組み。
雇用調整助成金は、経済的理由により事業所の業務量が減少した状況下において、事業主が労働者を解雇せずに、休業等によって雇用を維持した場合に助成を行うものだが、労働者を休業等させる一方で残業や休日出勤をさせた場合、それが突発的・一時的なものであったとしても、労働者
を休業等させずに働かせる必要性が新たに発生したことになるので、助成の対象となる休業等の延べ日数から、その残業や休日出勤をさせた分を控除するという理屈。

 これについて、かねてから私は、「時間外労働の上限規制については自動車運転者は5年間猶予されたが、それはタクシー・バス・トラックの自動車運転の事業は時間外労働があって成り立っている現状があるからだ。雇用調整助成金については、残業相殺という仕組みがあって、社員を休ませても一方で稼働している社員に時間外労働があるとその時間分、助成金が減額されてしまう。製造業なら、一方でラインを止めて、稼働しているラインでは残業させているのはおかしいでしょうということで残業相殺についての理屈が解るが、例えばタクシーでは、最後のお客さんが遠方で残業になる場合もあるし、バスなどでは路線のダイヤを遣り繰りするために残業が必要になる場合もある。その場合に助成金が減額されると、我々の事業ではこの助成金は使えないものになってしまう。残業相殺は、タクシー・バスなど業種による弾力的な適用を早急に検討してもらいたい。」と、行政や国会議員の皆さんに要望してきた。
なので、「残業相殺の停止」が実施されることはたいへんに喜ばしい。

 判定基礎期間における対象労働者に係る休業又は教育訓練の実施日の延日数が、対象労働者に係る所定労働延日数の20分の1 (大企業の場合は15分の1 )以上となるものであること、という「休業等規模要件」というものがある。
雇用調整助成金は、事業所単位(会社全体)で見るものなので、一部の事業場で雇用調整が必要となっても、全体で休業規模要件を上回らないと対象とならない。
実はこれもちょっと困っているが、とはいえ、これは難しいかな…、でもなんとか事業場(営業所とか車庫とか)で計算してもらえないもんかな。


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【2020年2月25日時点の記事】先日、新型コロナウィルスに関する休業について質問されたが…

2020-02-25 | 書記長社労士 労務管理
 先日、「新型コロナウィルスなどの感染症で休業した場合、これは会社都合の休業ではないのか?」という質問があった。
当然の疑問だと思う。
しかしながら、答えは「会社都合の休業ではない」なのだ、残念ながら。
でも、感染症を「持ち込まない・感染させない・拡散させない」ためにも、また安心して休むことが出来るよう、労使で、賃金や休み方などについてぜひ話し合って欲しい。
この質問のあった当該労組では、無給ではあるが、欠勤扱いにならない「特別休暇」にしている。

 質問を、もう少し法律的に書き直すと、
「新型コロナウィルスなどの感染症で休業した場合、労働安全衛生法第68条に基づく『病者の就業禁止の措置』に該当し、会社が休業を指示するのなら、労働基準法第26条に定める『使用者の責に帰すべき事由による休業』に該当し、会社は休業手当を支払う必要があるのではないか?」
ということになる。

労働安全衛生法(病者の就業禁止)第68条 事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

労働基準法(休業手当)第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。


 しかしながらこの場合、旧の伝染病予防法、現行の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」によって、法律により就業制限が課せられているのであって、会社が就業制限を指示しているわけではない、ということになり、休業を指示(就労制限)をしているのは、都道府県知事といいうことになるという理屈なのだ。

 このことは、厚生労働省の新型コロナの企業向けQ&A(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.htmlにも、以下のように書かれているが(日々更新されているのでリンクや内容が変わっているかも知れません)、ただし感染症法により休業する根拠
、感染症法によらず、関連して休ませる場合、感染症法により休業する場合、発熱などがある方の自主休業、事業の休止に伴う休業、年次有給休暇と病気休暇の取り扱い、など前提をしっかり押さえて読む必要があるので、注意が必要だ。

 労働問題に詳しい、向井蘭弁護士はこのように書かれているし(⇒https://www.facebook.com/ran.mukai1?__tn__=%2CdK-R-R&eid=ARCS6RpaDFZQQGjJM3sHkR-d5UOswFnSN5JBKF5AAZzcbZZ2B1LZgOlmig10zL7JRqrKv0N4Dga_fCNz&fref=mentions)、倉重公太朗弁護士はこのように書かれています(⇒https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20200225-00164465/?fbclid=IwAR1DfLg3KTWIEfkzTlRAfMi7ibnjJVpLmf_9I1GNSzqm_CSWU54Qtk0QYuc)が、厚労省よりこちらの方がとっても有用ですよ!
あと、この東京大学の文責:黒田玲子氏が個人的とした上であげられたこの資料(https://drive.google.com/file/d/1RgkfFd7c8gfdm0GH3ajPjEvNqVhC3nS4/view?fbclid=IwAR0GYKvOcNETG0EXYE3H-lr0I6zu2r-KPPLahb_8VfEBk0wHzEaCKilySDI)もとっても参考になると思います。

 なお、伝染病予防法は1998年(平成10年)10月2日に感染症法が制定されたことにより、1999年(平成11年)4月1日に廃止された。その内容は現在、感染症法へ引き継がれている。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の該当する条文は「第18条」⇒https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=410AC0000000114#260
どのような疾病の時にどのような職種に就業制限が指示されるのかと、その期間は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の「第11条」⇒https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=410M50000100099#220に書かれているのでリンクを参照ください。
【この記事は2020年2月25日時点で書いたものなので、それ以降の状況の変化には対応いたしておりません】

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残業税っ!(爆) めっちゃタイムリーな小説やと思ったら2015年8月初版の書き下ろしやねん、驚きや!

2019-10-18 | 書記長社労士 労務管理
残業税 (光文社文庫)
小前 亮
光文社

 残業をすればするほど取られる税金が増える「時間外労働税」が導入された。残業時間は劇的に減って、社会のありようは変わりつつあった。だが、もっと働かせたい企業も残業したい労働者も多く、サービス残業という「脱税」は絶えないのだが…。根っから真面目な残業税調査官と熱血労働基準監督官が働く人たちのために奮闘する、リアルすぎるお仕事ミステリー!

 「残業税、長時間労働を是正するために導入された新税で、法定外時間外労働した場合に支払われる残業手当に、所得税など以外に課せられる。
税率は、40時間まで20%、40時間を超えると40%、80時間超はなんと80%、これは事業主負担では無くて労使折半、だから残業をさせたのに残業手当を支払わなかった場合は、労働基準法違反だけでなく、脱税にもなる。
ただし脱税を告発した場合は、労働者は免除されその分は事業主負担となる。
残業税調査官はマルサならぬ『マルザ』と呼ばれ恐れられ、彼ら調査官は労働基準監督官とバディを組んで、臨検・税務調査に入る。」という架空の設定。
エピソードとしては、居酒屋ワタミの入社2ヶ月女性社員の自殺、マクドナルドの偽装店長、エステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」不払い残業・マタハラ、冠婚葬祭大手「ベルコ」で今まさに問題となっている「個別請負」「請負契約」という偽装請負、問題だらけの外国人技能実習生の働き方のなどをベースにして、様々な不払い残業隠蔽工作の手法を織り交ぜて、物語にしているので、とってもリアルで、身につまされる。
長時間労働を強いること、さらにサービス残業・不払い残業ってのは、従業員の賃金だけでなく、人生・時間・やる気・健康(命)の搾取であって、この世から絶対になくさなくてはならない。
それで、今年4月から労働基準法が改正されて時間外労働の上限規制適用となったのだけど(中小は来年4月から)、それを踏まえて書かれた小説かと思いきや、なんと2015年8月初版の書き下ろしなのに驚いた、4年前の出版とは思えず、とっても旬な物語だ。
充分に作り込まれているので、お話にも引き込まれるし、泣かせる台詞もいっぱいあるのよ。
いや、まさか、労働問題をこんなふうにエンタメ感たっぷりなお話に仕上げられるとは!
あ、そういえば「ダンダリン一〇一 (モーニングコミックス)ってコミックがあって、これはドラマにもなったな。
ぜひこの小説も、今、ドラマ化して欲しいなあ。(小説には続編が2冊あるようなので、ぜひ読んでみよう!)

残業禁止 (角川文庫)
荒木 源
KADOKAWA

 成瀬和正46歳、ゼネコン「ヤマジュウ建設」の現場事務所長。15階建てのホテル建設現場を取り仕切る成瀬のもとに、残業時間上限規制の指示が舞い込む。ただし納期は延ばせないという。無理難題に挑むのは、保育園の迎えがあり残業できないイクメン社員に、史上最高に使えない新人。綱渡りのスケジュールをこなすチームに容赦なく降りかかる理不尽な仕様変更、近隣住民のクレーム―。残業せずに、果たしてホテルは建つのか?

 そしてその「残業税 (光文社文庫)」を出先で読み終わってしまって、慌てて本屋に駆け込んで見つけたのがこの「残業禁止 (角川文庫)」、タイトルはこうなんだが帯には「でも、納期は延びません!?」ってのが書かれていて、それだけで爆笑、お話に期待感が上がった。
こちらは、無理な受注で現場は長時間労働で疲弊している状況なのに、会社は労働基準監督署が怖いからって時間労働の削減を徹底させようとするが、人員配置の改善も業務内容の見直しも一切行わないという、まさに現場の悲鳴がテーマ。
現場では、残業時間の誤魔化し・隠蔽に四苦八苦するが、逆に作業では様々な問題が顕在化、余計に労働時間が延びるという悪循環…。
これもとってもリアルで、読んでて背中に変な汗がじんわり流れそうな薄ら寒さを感じてしまう。

 経営者にとってとっても怖い「労働基準監督署」、なんせ警察署・税務署と同じように「署」が付いている(署がついてる役所の出先機関はこの3つだけ)。
なんせ、労働基準監督官には司法警察員の職務があり、具体的には、監督指導を通じて覚知した上記労働基準関係法令違反の被疑事件の一部や告訴・告発を受けた事件について、警察等の他の捜査機関と同様に、刑事訴訟法による捜査を行い、事件を検察庁へ送致・送付、刑事訴訟法上の権限は警察法の定める一般の警察と変わるところはなく、強制の処分である捜索・検証・差押のほか、被疑者を逮捕・勾留することも可能なのだ。
(警察官・自衛隊警務官・海上保安官以外の司法警察員は、そのほかに、麻薬取締官、麻薬取締員、刑務官など)
労働基準法第102条 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。
これも、今、ドラマ化したら、ぜったいに共感が沸いて、成功するものになると思うけどな~。

   
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体系的に理論武装するために、および自分のところの就業規則点検・整備するために、読んで欲しい!「改訂版 使用者側弁護士からみた 標準 中小企業のモデル就業規則策定マニュアル」

2019-10-02 | 書記長社労士 労務管理

 改訂版 使用者側弁護士からみた 標準 中小企業のモデル就業規則策定マニュアル
中小企業の就業規則には、「分不相応の規定」がしばしば見受けられますが、このような運用の実態にそぐわない規定があると、無用なトラブルを引き起こす可能性があります。
本書は、逐条解説形式でそうした留意点を指摘しながら、自社の体力に見合った就業規則とするための策定例を、わかりやすく、簡潔に例示。
改訂版では、働き方改革関連法により新たに規定すべきこととなった「年休の確実な取得」「勤務間インターバル制度の導入」「労働時間状況の把握」に関する規定のほか、改正労働契約法、改正パート労働法に対応した無期転換等に関する規定等を盛り込んで内容を刷新。



 以前このブログでも紹介した「使用者側弁護士からみた 標準 中小企業のモデル就業規則策定マニュアル」(「ここまできちっとした就業規則を備えられてしまうと、つっこみどころ・突きどころ、なくなるやん!」2015-12-05)の改訂版が発売された。
この本は、就業規則について、一条ごとに、「書くべきこと」「書いてはいけないこと」「どうしても書きたいなら気を付けなくてはいけないこと」を、具体的事例などを交え解りやすく解説してあるのだが、改訂版では、最近の法改正などの内容が反映されている。
具体的には、「過半数代表者の選任手続き」(労政審の建議・国会の附帯決議を踏まえて)、「副業・兼業」(ガイドラインに対して)、「労働時間の状況の把握義務」(安衛法改正を踏まえて)、「フレックスタイム制」(法改正)、「勤務間インターバル」(動向を踏まえて)、「時間外労働の上限規制」「高度プロフェッショナル制度」「年休の時期指定義務」(法改正)、「労働契約法20条・パート有期法・無期転換」(最近の判例・法改正などを踏まえて)についてだ。
通常、「働き方改革関連法」について解説すると、軽くこの本1冊分くらいのページ数が必要なのに、少ない文字数で留意すべきポイントを的確にまとめているのはさすがだ。


 初版の紹介の際には「ここまできちっとした就業規則を備えられてしまうと、労働組合の自分としては「つっこみどころ・突きどころ、なくなるやん!かなりのハイレベルの就業規則マニュアル、事業者や人事・労務管理者の皆さん、読まないで下さい。」と書いたが、是非是非、労働組合の皆さんにも、体系的に理論武装するために、および自分のところの就業規則点検・整備するために、読んで欲しい!
労働組合もしっかり勉強しておかないと、こんな怖い使用者側弁護士が来て、ビシビシやられるよ!
お勧めです!

  



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自動車運転者労務改善基準見直しの議論がそろそろ始まる

2019-06-10 | 書記長社労士 労務管理
 先日(5月30日)、「運送業に強くなろう」というテーマで、山下智美社労士を講師に迎えて相馬塾が開催されたのだが(運送業の拘束時間はどうなってる、過重労働などに関する行政指導の対応、これからの労務管理のポイントなどの内容)、自分は業務の都合でどうしても参加出来なかった、残念っ(T-T)

改訂5版 自動車運転者労務改善基準の解説
労働調査会出版局
労働調査会



 自動車運転者の健康確保や労働環境の改善に向けて長時間労働の是正は不可欠だ。
2018年に成立した働き方改革関連法では、自動車運転者への時間外労働の上限規制は5年間猶予された。(しかも一般則の適用ではなく、年間上限960時間というものが適用される)
2019年度中には厚生労働省労働政策審議会で改善基準告示改正に向けた議論がスタートすることが予定されている。
要員不足のなかでの労働時間短縮は厳しい課題となるが、自動車運転者の健康確保や労働環境改善に向けて取り組んでいく。
具体的には従来から要求してきた、休息期間の延長や拘束時間の分割特例の廃止などを求めていく。


 現行の自動車運転者労務改善基準の内容を、一覧表にまとめてみた(クリックしたら拡大します)。
よく、自動車運転者労務改善基準は告示であって罰則がない、違反があっても是正指導に留まると言われるが、それは厚生労働省(労働基準監督署)に関してのお話で、国土交通省(運輸支局)の監査で違反が見つかれば「運輸規則第21条」によって「乗務時間等の基準の遵守違反」となって行政処分がある。


 今日、国土交通省から、この改善基準告示の見直しに関して非公式にご意見をお聞きしたいということで、国交省に出向いた際、東京メトロの車内で私鉄総連の公共交通利用促進キャンペーンの宣伝物である「みんなで描く地域の未来 守ろう『公共交通』」のポスターが車内吊りされているのを見つけた😃

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LGBTの方が働きやすい職場作りに関してのメモ

2019-05-22 | 書記長社労士 労務管理

 LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつ。
ただ、LGBT運動では多様性を象徴する6色レインボーを旗印にしているように、セクシャルティには果てしない多様性があることに留意が必要、だということは、昔、自分の出身単組でLGBT組合員への対応の際に学んだ。

 というのは、セクシャルティには、次の3側面があって、

①身体の性 性器、性腺、染色体などの身体的特徴で分けられる性のこと。
②心の性(性自認) 自分自身はどんな性だと思うか、ということで、男性だと思う人、女性だと思う人、中性だと思う人、性別は決めたくないという人、など、様々。
③好きになる性(性的指向) 好きになるかならないか、なるとしたらどんな性の人を好きになるか、ということで、異性を好きになる人、同性を好きになる人、どちらの性も好きになる人、性別で好きになる人を決めたくないという人、特定の誰かを好きにならないという人、など、様々。

働きやすい職場作りをするには、これら3側面を踏まえて、対応しなくてはならないのだ。

 またカミングアウトしていない場合、カミングアウトをされた場合(性的指向に関して、または性別移行が必要な場合)でも対応が変わってくるということも、自分はそのときに学んだ。

 なお、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」 (平成 18 年厚生労働省告示第 615 号 最終改正:平成 28 年8月2日厚生労働省告示第 314 号)では、「職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれるものである。また、被害を受けた者(以下「被害者」という。)の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである。」と改正されていることにも留意が必要で、職場での環境整備にはこの点の周知・理解も重要である。

 労務管理上、具体的にどのような点で対応が必要なのかについては、例えば以下のようなものがある。

①トイレ、更衣室、休憩室などの使用…本人と他の従業員の理解を得た上で男女どちらを使用するのか、または多目的(共同)のものを設置するのか、などの考慮。
②制服…希望のものを着用するのか、男女同一デザインにするのか、それとも複数の種類を用意して各人が好みのものを着用するのか、などの対応。
③家族手当な各手当や祝い金・弔慰金、慶弔休暇…戸籍上の配偶者を対象としている場合はまだしも、もし内縁の配偶者など(事実婚)も対象としている場合、同性のパートナーを対象としないことは公序良俗に反して無効とされる可能性がある、など福利厚生的な規定。
④出張などの際の宿泊先での部屋割りの配慮。
⑤海外出張や海外赴任において、国や地域によっては、LGBTが犯罪となる(刑事罰の対象となる)場合があるのでその配慮。
⑥その他、人事上の差別的取り扱いの禁止や、ハラスメント対策などについての規定、社内教育・文化の醸成。

 ちなみに、電通ダイバーシティ・ラボの2015年の調べ(全国69,989名にスクリーニング調査を実施)では、日本におけるLGBTの方の割合が人口の7.6%存在すると言われている。
ダイバーシティ(多様な人材が持つあらゆる魅力を企業の発展や活性化に向けて最大限に活用する取り組み)を推進するために、働きやすい職場作りに留意していきたい。
そのためのメモ。
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「メンタル不調の方の職場復帰への備え」をメモしておく

2019-04-01 | 書記長社労士 労務管理
 新元号、なんでもええけど、とにかく「安」の字が入らなくて安堵した…。
安晋ってのももしかしたら有るかもと思ったくらいやし!
しかし、もし「俺(安倍総理、政府、国)の命『令』には、国民は(官僚は、自衛隊は)『和』をもって従え」という意味が込められているとした、やばい!

 メンタルヘルス不調で休職されている方が、職場に復帰する際の備えについて、とても参考になるものを読んだので、ここにメモしておく。

 復帰を目指すときには、以下の点について心がけてください。

1,勤務時間に合わせて、就寝、起床を心がけてください。
朝起きたら、カーテンをあけて着替えてください。30分以上の昼寝、就寝前6時間以内の昼寝をしないようにしてください。

2.散歩や軽い運動を行ってください。ジョギング・筋力トレーニングなら30分以上、散歩なら1時間以上が目安です。身体を使う業務が多い人は、負荷をさらに上げた方がよいでしょう。

3.デスク作業に従事する方は、以下の流れで図書館で勉強してみてください。身体を動かす作業が中心の方は、図書館で過ごす時間は短めにして、運動の時間を長めにとってください。
A)「散歩の延長」で、近くの図書館を探してください。
B)時間は、午前1、2時間程度から始めてください。最初は健康、仕事に関する堅い読み物は避けてください。
C)日数は少しずつ増やして、週5日が目標です。
D)午前2時間勉強できるようになったら、休みをはさんで、午後も2時間勉強してみてください。
E)最終的には、「仕事モード」で、仕事に関する本を読んだり、読んだ内容をや体調について、まとめて会社に提出すると、自分で考えて文章を書く練習になり、思考力の改善がわかります。

4.ストレッチ、趣味、ヨガ、「何もしないでボーっとしている」など、リラックスできる休養方法を行ってください。仕事をするときは、「うまい息抜き」をいれることが大切です。

5.体調を崩したときに、職場およびプライベートでストレスであったことについて振り返り、復職後の備えについて、主治医と相談してください。

以上がすべてできていれば、復職について具体的に相談していただいてよいと思います。
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介護離職に至る原因 ー介護離職を防止するためにー

2019-03-05 | 書記長社労士 労務管理

 就労者からの介護の相談を多く受けている方によると、介護離職に至るのには、いくつかの原因があるそうだ。

◇介護の突然性
 介護が必要となった理由を、2013年国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、脳血管障害、認知症、関節疾患、骨折・転倒、心疾患。
認知種については、徐々に進むというイメージであるが、親の認知症に気付くのは、ある程度進んでいて「あれ?」となる態度や発言を目の当たりにしたとき。
これらにより、ある日突然、介護しなくてはならなくなり、こうした突然性により、冷静な状況判断、準備ができなくて、離職を考えるようになる。

◇介護の準備不足
 介護の突然性につながるが、あらかじめ制度を勉強したり、サービスを調べておくといった準備が出来ず、介護が必要になって慌てて情報を集める場合が多く、戸惑うまま、離職を考えるようになる。

◇隠れ介護
 介護をしていると、会社から「重要な仕事を任せてもらえない」、「昇進に影響するかも知れない」「リストラの対象になるかも知れない」などの不安から、介護状態を会社に隠してしまう。
そのため申告をためらうことにより、職場の理解や協力を得ることが出来ず、介護休業などの制度を利用することも出来ず、疲弊して、または行き詰まって、結果、離職につながってしまう。

◇自力介護
 責任感の強い人ほど、親(家族)の面倒は自分が看なければならない、他人には任せられない、親の介護は子供として当然のことと考えてしまう。
結果、自分がすべてを担わなくてはならないと思い詰めて、離職に思い至ってしまう。

◇介護分担
 兄弟間などで介護を分担する場合に、負担の大きい人が不満を持ち、それが家族間のもめ事に発展し、人間関係にゆがみが生じてしまうことも多々ある。
こうしたもめ事が煩わしくなり、離職によって解決してしまう。

◆一方で…
 実際は、介護は表面的な問題で、離職した決断が裏面に隠されていていること、または重複している場合もある。(職場の人間関係、仕事や会社への不満など)
この場合、介護問題を解決するだけでは、離職を食い止められない。


〇介護離職を防止するために
・親の年齢で事前の心構えを 75歳を一つの目安とする。
・基礎知識を得ておく まず最初に何をしなければならないか調べておく。
・介護休業の意味を知る 介護休業は介護するための休みではなく、社会サービスに組み込んでいく計画を作るための休業。
・会社の制度を説教的に活用する
・介護離職後の生活を考える 一度辞めると再就職が難しく、親の年金に頼ろうにも、それは親が生きている間だけ。
【図は 厚生労働省平成29年度版「仕事と介護 両立のポイント あなたが介護離職しないために」より】
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職場から介護離職をなくすために

2019-02-22 | 書記長社労士 労務管理

【D5-13 LatPullDown50kg CloseGripLatPullDown50kg BentOverRow40kg DshoulderPress15kg SideRateral9kg RearDertoidRaize6kg】 厚生労働省からリーフレット「介護で仕事を辞める前にご相談ください」が公表されている。

 介護のために勤めている会社を退職する、いわゆる「介護離職」の増加が大きな問題になっている。
介護が必要になる年齢は、もちろん人によって異なるが、75歳を超えてくると、要介護高齢者の割合はぐっと増えてくる。
介護をする人は配偶者および子どもということになるが、通常、配偶者は要介護高齢者と同世代という可能性が高く、子どもが介護を担うことも少なくない。
で、うちの労組で、以前行った「『職場から介護離職をなくすためにできること』~あなた自身心構えはありますか~」というセミナー内容から、ポイントだけをいかに記載しておく。 


 少し古いが、厚生労働省の「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査(2012年)」によると、介護離職をした離職者約1,000人のうち、精神面・肉体面・経済面それぞれで負担が増加したと考える人は精神面で約64.9パーセント、肉体面で約56.6パーセント、経済面においては約74.9パーセントもの人が、負担が増したと感じていることが明らかになっている。

 「介護」の背後にある落とし穴を知っておいたほうがいい。
「子どもが親の面倒をみるのは当たり前?」
「ずっとそばにいて介護するのが最も親孝行?」
「介護するために最も必要なのは時間?」
もしかするとこれらは固定観念・思いこみかもしれない。

 介護離職のリスク
①2016~2017年9.9万人(男性:2.4万人・女性:7.5万人) 50代~60代の離職者が多い。
②収入が絶たれる➡老後の生活が成り立たない
・転職の場合:正社員(男性3人にひとり・女性5人にひとり)、パート・アルバイト(男性3割・女性6割)
・平均年収(男性:556万➡341万、女性350万➡175万)
③精神的・肉体的ダメージ(うつなどの精神疾患等)
④復職・再就職が厳しい現状    

 介護に必要な4つの領域を理解する
《働き方支援(企業など)》・制度(介護休業制度)・文化風土
《行政(フォーマル)》・介護保険サービス・そのほかの福祉サービス  
《家族関係・環境》・要介護者との関係・他家族・親類などの支援環境
《地域サポート(インフォーマル)》・地域の見守り・励まし・居場所・家事援助などのたすけあいサービス
 ⇒それぞれの領域での支援と連携が必要

 ワーキングケアラーの役割
① 情報や資源を集め、選択肢を常に持つこと
・会社に報告。使える制度を調べる。
・自分に合った情報源・相談場所をみつける。*いざ、というときにどこへ行ったらよいか。
・インフォーマルサービスを使いこなす。
➁ 指令塔・コーディネーターの役割としての動きを意識する。
③ 介護環境や体制を整えるということに心がける。=介護休業中は特に
《情報収集力とマネージメント力》

 介護で離職しないための覚え書き
1.介護にのめりこまない(ストレスマネージメントを)
2.フォーマルとインフォ―マルを使いこなす
3.あの手、この手で親類を巻き込む(役割が必要)*情報はつぶさに伝える
4.地域でケア仲間をつくる(介護者の会・カフェへ)
5.親のことや願いを知っておく(コミュニケーション)
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兼業・副業を促進するメリットがわかりにくいが…少し考えてみた。積極的な会社もあるようだ。

2018-12-26 | 書記長社労士 労務管理
 昨日から今日、兵庫県加西市で開催された、うちの加盟労組の、60歳定年・再雇用の時期を間近に迎える組合員への準備セミナーにおいて講演。
健康保険、年金制度、雇用保険、介護離職しないための介護保険と介護休業法、ライフプランニングについてなどを135分間、お話しさせてもらった。


 話変わって、12月12日、東京都社会保険労務士会の勤務等部会主催研修会で「副業・兼業」について学んできた。
自分たちの職場である鉄軌道・バス・タクシーでは、過労運転によって事故につながってはならないという観点から副業・兼業なんて認められない、というのが当たり前という意識だが。
しかし、働き方改革でも副業・兼業を促進すると言ってるし、カタカナな企業では兼業・副業は認めて当たり前、認めないと優秀な人材が来ない、という。 


 厚生労働省は、平成30年1月、副業・兼業について、企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドラインを作成した。⇒https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf
このガイドラインは、副業・兼業の促進ありきで書かれているので、読むには相当注意が必要なんだが、少し中身をピックアップ(意図的に一部書きぶりを修正している)。

 兼業・副業について、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、裁判や学説では一律の禁止や懲戒は難しいとされている。
企業が副業に対して制限を設ける事が許されるケースは
①労務提供上の支障となる場合
②企業秘密が漏洩する場合
③企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により企業の利益を害する場合

【労働者メリット】①離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
②本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
③所得が増加する。
④本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。
【労働者デメリット】①長時間労働となって、健康を害すること性がある。
②本業の、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務に違反すると、懲戒処分となることがある。
③雇用保険、労働災害について十分な補償が受けられないことがある。
【企業のメリット】①労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
②労働者の自律性・自主性を促すことができる。
③優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。
④労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。
【企業のデメリット】①必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応が困難。
②職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務に違反される可能性がある。

 「また、副業・兼業は、社会全体としてみれば、オープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという観点から地方創生にも資する面もあると考えられる」としている。

 ガイドラインに書かれている「企業の対応」ってのがかなり実務的ではない気がするので、ガイドラインの内容を離れて、この研修会の内容も踏まえて、副業・兼業を考えてみる。

労働基準法38条1項
「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」
⇒法定労働時間を超えているかどうか(36協定の締結・届出義務,割増賃金の支払義務と関係)は、労働者単位で事業場間で通算する
⇒この規定の適用についての行政解釈は「異なる事業主間でも通算する」(昭和23年5月14日基発769号)
⇒しかし学説上では「同一の事業主の範囲でのみ通算する」(菅野和夫「労働法 第11版」弘文堂,2016年)など異なる事業者間での適用は否定すべきが有力。
⇒行政解釈は実効性に乏しい。有力説を支持すべきである。(判例や行政指導は一例もない)
⇒いずれにしろ、本業の事業主が、副業の労働時間を知らなければ、故意はない。
⇒だとすれば、ガイドラインで推奨されている「副業・兼業を認める場合、副業・兼業の内容等を労働者に申請・届出させる」とすると、本業の事業主は、労働時間把握や割増賃金の支払いなどで違法行為発生リスクが生じるのではないか。
⇒いずれにせよ、自営型副業の場合には、本条の適用はない。
⇒なお、健康管理については、労働時間の通算は不要。(根拠となる法律が異なるため)

労働契約法5条 安全配慮義務(健康配慮義務も含む)
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
判例「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」(電通事件・最2小判平成12年3月24日)
⇒ただし損害賠償責任の成立には、予見可能性が必要。
⇒副業先の勤務状況については、通常、事業主に予見可能性なし。
⇒蓋然性が高いような場合にのみ、勤務の軽減措置などの義務が生じると解される(一般的な解釈と同様)
⇒ガイドラインに書かれている「働き過ぎにならないよう、例えば、自社での労務と副業・兼業先での労務との兼ね合いの中で、時間外・休日労働の免除や抑制等を行う」ことが本業の事業主の責務となるのか。

労災保険 通勤災害については2005年に法改正で対処(事業場間移動も通勤に含める)。
⇒給付基礎日額(平均賃金)の合算がない(現行法では、労災が発生した事業場での賃金をベースに算定。本人の稼得能力の減少に対応できていない)
厚生年金・健康保険 加入は事業所ごとなので労働時間は通算されないが、標準報酬月額は合算
雇用保険 保険関係の成立は事業場単位。被保険者となるには、1週間の所定労働時間が20時間以上、異なる事業主の下での労働時間の合算はされない。

マンナ運輸事件【京都地判平成24年7月13日】
 運送会社が、準社員からのアルバイト許可申請を4度にわたって不許可にしたことについて、後2回については不許可の理由はなく、不法行為に基づく損害賠償請求が一部認容(慰謝料のみ)された事案。
労働者は、勤務時間以外の時間については、事業場の外で自由に利用することができるのであり、使用者は、労働者が他の会社で就労(兼業)するために当該時間を利用することを、原則として許されなければならない。もっとも、労働者が兼業することによって、労働者の使用者に対する労務の提供が不能又は不完全になるような事態が生じたり、使用者の企業秘密が漏洩するなど経営秩序を乱す事態が生じることもあり得るから、このような場合においてのみ、例外的に就業規則をもって兼業を禁止することが許されるものと解するのが相当である。

東京都私立大学教授事件【東京地判平成20年12月5日】
 教授が無許可で語学学校講師等の業務に従事し、講義を休講したことを理由として行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められず、解雇無効とした事案。
兼職(二重就職)は、本来は使用者の労働契約上の権限の及び得ない労働者の私生活における行為であるから、兼職(二重就職)許可制に形式的には違反する場合であっても、職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しないものと解するのが相当である。

十和田運輸事件【東京地判平成13年6月5日】
 運送会社の運転手が年に1、2回の貨物運送のアルバイトをしたことを理由とする解雇に関して、職務専念義務の違反や信頼関係を破壊したとまでいうことはできないため、解雇無効とした事案。
原告らが行った本件アルバイト行為の回数が年に1、2回の程度の限りで認められるにすぎないことに、証拠及び弁論の全趣旨を併せ考えれば、原告らのこのような行為によって被告の業務に具体的に支障を来したことはなかったこと、原告らは自らのこのような行為について会社が許可、あるいは少なくとも黙認しているとの認識を有していたことが認められるから、原告らが職務専念義務に違反し、あるいは、被告との間の信頼関係を破壊したとまでいうことはできない。

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ストレス一日決算主義

2018-06-14 | 書記長社労士 労務管理
ストレス一日決算主義 (生活人新書)
山本晴義

ストレスは、溜めない・逃げない・先送りにしない、「一日決算主義」で解消を。
ストレス→うつ病・生活習慣病の事態を避け、明るい職場・明るい家庭・明るい日本を実現するために今すぐ始めよう。
全国労働者の悩みを無料メール相談で引き受ける著者が提案する、「今」と「これから」の自分を変える
メンタルヘルスの手法を今すぐ実践。ストレスが溜まらなければ、元気が涌いて金も貯まる。
NHK出版

 社会保険労務士会の会報を整理していたら、今年の3月号で、横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長である山本晴義氏が寄稿された「仕事や職業生活におけるストレスとメンタル不調」。
その中で「ストレス一日決算主義」というのが記載されて、なるほど、ってなってマーカーして付箋を付けていたのを思い出した。
今さらながら、その部分だけ、メモをしておこう。

 健康的なライフスタイル(ストレス一日決算主義)

①「運動」 競技スポーツではなく、健康スポーツを
 一日15分でいい、仕事から離れて、いい汗をかく習慣を毎日持っていますか?
②「労働」 働き甲斐は生きがいの源
 日々の労働に生きがいを感じていますか?自分の存在意義を感じていますか?
③「睡眠」 寝つきがよい事、目覚めのよい事
 十分な睡眠は日中の活動レベルを上げる。早起き早寝の習慣を。
④「休養」 休養は心の潤滑油
 長時間労働を控えましょう。こまめに休む習慣を。
⑤「食事」 食事はエサではありません。
 食卓を囲む習慣を。朝食は一日の活動源。

※週単位の生活から、毎日を大切にする「一日決算主義」の生活へ
※毎日の生活に、上記の5要素をきちんととることが、健康的で幸せな生活につながります。


 なるほどなんですよ!
先生は「臨床経験から、心身の不調を訴える患者や労働者が月曜に多いことに気付いた。すなわち、ウィークディは、仕事と寝る時間のみに費やす生活、しかも十分な睡眠時間が確保できずに、結果的に寝だめするという生活。ところが、生き物にとって最も大切な基本的リズムは一日という単位であるはずで、一日一日を大切にした生き方が心身の健康につながると考えた」と書いておられる。
この基本は、ヒポクラテスの「健康の源は運動、労働、睡眠、健康、食事の5要素が、毎日の生活の中にバランスよくきちんと配分されることだ」という教えだそうだ。
ほんと、なるほどなんですよ!

    

 
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交運労協第24回交通運輸政策研究集会 第二講座は水町勇一郎東京大学教授の「働き方改革のポイントと対応」

2018-06-04 | 書記長社労士 労務管理

 前回の記事から少し日にちが経ったが、とにかく続きを。
この間、ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件の最高裁判決があったが、この記事にはあまり影響がないので、そのままアップ。

 5月29日~30日、静岡県「熱海温泉 金城館」にて、交運労協第24回交通運輸政策研究集会。基調講演の第二講座は水町勇一郎東京大学教授の「働き方改革のポイントと対応」


 高プロが問題になっているが、今日のテーマとしては、皆さんにはあまり関係ないと思う。
みなさんにとって一番重要なのは、時間外労働の罰則付き上限規制と同一労働同一賃金、それらについて説明し、どう準備していかなくてはならないかを話したい。

 なぜ働き方改革なのか。高プロを除くと労働者保護のための改革だ。歴史上2番目に大きな改革、一番の改革は戦後に労働三法が出来たこと、それ以来の改革。

 なぜ労働組合が支持する政党がやらなくて、支持しない党がやるのか。第二次安倍政権が、働き方改革をやると言って、しかし同一労働同一賃金だけでは柱にならないので、高齢者の雇用継続と時間外労働の上限規制を付けてやろうかとなった。で、あとから高プロがひっついた。働き方改革は、社会問題であると同時に経済問題であると安倍総理はことあるごとに言っている。グローバル競争の結果、労働力を調整しやすくコストの安い非正規が増え、今では労働者の5分の2を占め、20%が年収250万円。これが、結婚の問題、教育問題、格差問題を再生産している、これが社会問題。

 同時に経済問題とは、アベノミクスで、「成長と分配の好循環を日本経済に呼び戻す、成長と分配の好循環を実現する」ことがアベノミクスのポイントとなっている。戦後の高度経済成長の時には成長と分配がちゃんとまわっていた。生産者でしかなかった貧乏な人が、賃金が上がると消費者になる。そうすると物が売れて生産が向上し、さらに賃金が上がる。それが止まったのが、1973年12月。オイルショックが世界中の成長と分配の好循環を止めてしまった。OPECの生産調整で石油が4倍にあがり、輸入費用が上がってしまって、そうすると貿易収支のバランスを取ろうとして自国の製品を輸出するようになった。それまでは日本でもインフレ20%でも賃上げ25%ってやってきた。しかしオイルショックで海外に自国の製品を売るためには物の値段を上げないようにしないといけなかったから、インフレを止めて、賃上げも止まった。デフレになって、賃金が上がらない、すると物が売れないから、賃金が下がる、デフレスパイラルになった。デフレスパイラルを世界中の国は克服するためには、インフレ基調にするのが世界の経済政策の共通の目標。日本でもこれをアベノミクスでやろうとしている。


 日本の今の状況は、経済成長が安定的に回せる状況になっている。その結果、人手不足の傾向になっている。安倍政権は特徴ある政策をとってきた。どちらがいいというわけでは無いが、民主党政権の時には借金を早く返して財政健全化をしようとしたが、安倍政権の経済政策については、借金返済を先送りにしておいて、市場にお金がまわるようにした政策。さらに金利政策としてはマイナス金利政策も同時に行って、経済成長してから借金を返せばいい、同時にインフレになれば借金が間接的に減るじゃないか、という政策。このまま行けば、戦後最長の経済成長になる。しかし皆さんの生活は良くなっているか、良くなっていない。経済成長して企業が儲かっても実質賃金が上がっていない。

 だから安倍政策の最大の課題は賃上げ。皆さんには迷惑が掛かっているかも知れないが、賃上げの介入をしている。連合は基本給を上げてくれ、経団連は臨時給で、いずれにしても政府が3%上がるように介入している。しかし大企業の賃金が3%上がっても、それでは中小など全部が上がらないので、同時に最低賃金を毎年3%を上げ続ける。全国の加重平均で1000円になるように(全国で1150~850円)なるまで、毎年3%上げていく。これで上を上げて下を上げる、しかしまだ3%にならない、なぜか、中間を占める非正規が上がらないから。今は安くても一生懸命働いてくれる非正規で仕事を回している。だから非正規の働きぶりに応じて、賃金を上げていって、非正規は便利だけどもう安くないんだとしていかなくてはならない。不安定雇用なのだから。だから安くない非正規にしていかなければならない。働きぶりに見合った賃上げをおこなっていき、成長と分配の好循環を実現させる、これが働き方改革。

 さらにこれは景気の良いときにしか出来ない、景気が悪くなるとこれは出来ない。日本の景気はいつまで続くか、おそらくオリンピックまで。その間に消費税があがるが、それで景気が冷え込まないように対策を取りつつ、2020年の夏までにやり遂げるというのが改革の柱にもなっている。

 衆議院で通ったら、参議院で会期末までに通す、会期が足らなかったら小幅な会期延長で必ず通すとしている。成立したら、企業規模に応じて施行日が決まる。ほとんどの改革は2019年4月から施行される。ただし、上限規制は、中小は1年猶予、同一労働同一賃金は準備がいろいろ必要で、余波がいろいろあるので、大企業は2020年4月、中小は2021年4月。心の準備をしておいてください。


 時間外労働の上限規制、今、上限に収まっているところも安心してはいけない、なぜなら特別条項がちゃんと守られていない実態が多いから。まず、年6回までがちゃんと守られていない、今まで監督署の監督でチェックされていない。監督に来ると「過去3ヶ月分持ってきて」ってなるので、過去1年はこれまでちゃんと調べていない。しかし東京と大阪で出来た「かとく」で調べたら、1年で見ると、半分以上が守られていないことがわかった。

 施行された以降は法律に明記されるので、監督の際は、過去1年分を調べることになるという。週休二日を完全にやっているところだと、通常月は上限45時間だから、一日では平均2時間しか残業出来ない職場となる。しかし繁忙期になると100時間近くまでできるといっても、それを1年の前の方で使ってしまうと、後で使えなくなる。繁忙期を意識して、月100時間、平均して80時間を守る体制を作るということが大切。業務の見直し、平準化、無駄はやめるということをやっていかなくてはならない。労働組合も現場で違法な状況にならないようにしていかなくてはならない。これが最低守らなくてはならないところ。


 勤務間インターバルについては、現在導入企業は3%とか5%と言われているが、これから導入事業場がどれほど増えていくかで、5年後に罰則付きで法制化出来るかが掛かっている。是非取り組んでもらいたい。


 これまで、基本給を上げると、ボーナスや退職金に影響するのでと、職務に関わらず職務給を作ったり、作業に関わらず作業手当を作ったりしてきたかも知れないが、施行を迎えるにあたって、よく点検して準備をして欲しい。諸手当については、ほぼ、有期に短時間に派遣にも同じように払わなければならないようになる。正社員にしか払っていない手当は、ほぼ対象となる。

 ボーナスについては、企業業績の貢献に対して、査定に応じて再分配しているとすれば、有期・短時間・派遣も、同期間貢献している。ならばちゃんと貢献に応じて支払ってくださいとなる。

 本丸中の本丸に残っているのは基本給。同一労働同一賃金であるが、今回の法案には職務給にしなさいとはどこにも書いていない。どの基本給制度にするかは労使の話し合いに任せますが、均衡にしてくださいねってことになっている。一番難しいのは、職能給が何級何号棒で決まっている場合。小売業界はすでに取り組んでいる。正社員と非正規に職能給を作り、次にそれぞれの職能給表を合体させるという方法。小売業界を参考にして、施行までのあいだに制度設計して、施行日に就業規則を改定して届け出る、そこから5年ほど掛けて変えていく、そこまでしておけば裁判所はやっていると判断するだろうと思う。施行日に検討委員会を立ち上げただけのような場合、やっていないと判断されるかも知れない。しかし、もし正社員の賃金制度が実態に合わしただけで変な物になっているのなら、そこに非正規を合わせるともっと変な物になるので、その場合、慎重な検討が必要。

 労使の心構えについて3つお願いしたい。

 非正規の組織化を最後のチャンスだと思って今回本格的に進めて欲しい。労働組合にとっては組合員が増えて組織強化になるからメリットがあるが、実は組織化に最もメリットがあるのは会社だ。制度を改定してもどうしてもいびつな物になるが、労働組合との協議は裁判所の判断では尊重されるだろう。しかし組織化していないと、組合と協議していても、その組合は非正規の声を反映していないとして、尊重されない。ユニオンショップ協定を改定して、非正規も対象とすることが重要な状況となっている。企業側から労働組合にその提案している事例がある意味を理解してほしい。

 「賃金原資一定の元、正規の賃金を下げる」というのはだめ、今回の改正の趣旨に反する。これは大臣答弁でも言及されている。労使交渉では、しばらく「賃金原資一定」という考え方は脇に置いといて、どうやって賃金原資を増やし、どうやって賃金配分していくか、今度の春闘から話し合って欲しい。

 そしてその賃金原資を増やすためには、生産性の向上、企業の内部留保(将来不安と自己資本比率の問題がこれまであった)を回す、そして価格転嫁(サービスの質を落としてでも業務を見直しさらに価格を上げる)をおこなう。2%インフレ3%賃上げで、成長と分配の好循環を実現させる。

     
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勤務間インターバル制度

2018-03-20 | 書記長社労士 労務管理
 厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(バス・タクシー・トラック運転者が対象)では、休息期間(勤務と勤務の間の自由な時間)として原則として継続8時間以上と定めてあり、これはあくまでも大臣告示であって法律ではなく直接の罰則などが規定されているわけではないが、間接的に行政処分がなされるので、強制力を持っている。
そういった意味で、日本での「勤務間インターバル規制」はこれだけだ。

 バス・タクシー・トラックにおける「休息期間」の概念は、勤務と勤務の間にあって、休息期間直前における疲労の回復を図るとともに、睡眠時間を含む労働者の社会文化的な生活時間として、その処分は労働者の全く自由な判断にゆだねられる時間であって、休憩時間や仮眠時間とは本質的に異なるものであり、また、一週間の単位における疲労の回復と余暇の性格を持つ休日とも異なるものとされている。
また、改善基準における休息期間の役割は、勤務と勤務を区分するところにもその意味があり、勤務と次の勤務の間に一定の長さ以上の休息期間を置くことによって、前の勤務と後ろの勤務を切り離すことにしている。

 1993年に制定された「EU労働時間指令」では1日の休息時間として24時間につき最低連続11時間の休息時間を求めている。

 終業と始業の間の休息時間を決めるのが「勤務間インターバル制度」であるが、例えばEUのように「11時間」と定めた場合、一日の最大拘束時間は13時間となる(休憩時間も含める)。
朝の始業時間が9時ならば、その会社の場合、前日は遅くとも22時には終業しなくてはならない(22時までしか残業できない)。
11時間って長い時間に見えるけど、通勤時間も食事時間も含めたら、「何時間寝れるの?」って意味で十分とは思えないが、それでも決めないより決めた方が、少しでも長時間労働抑制には効果があるだろう。

 で、どうなるかどうか分かんなくなってきている状況ではあるが、今国会亭主予定の「働き方改革関連法案」にも、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正によって、勤務間インターバル制度について、努力義務ではあるが、以下のように追加される予定。
何時間かまでは具体的には書かれていないが。

「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱より)
一「労働時間等の設定」の定義に、深夜業の回数及び終業から始業までの時間を追加すること。
二「事業主等の責務」に、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定を講ずるように努めなければならないことを追加すること。」



 こういった動きを受けて、自主的に導入している企業も増えてきている。

日立製作所、勤務間インターバル制度導入へ 労使で合意
 日立製作所は今春闘の労使交渉で、終業と始業の間に最低11時間の休息を確保する「勤務間インターバル制度」を全社的に導入することで合意した。全社員約3万5千人のうち、管理職などを除く一般社員に適用する方針。今春から労使で制度設計にとりかかり、10月にも導入する計画だ。
組合側は制度の導入に向け、2年ほど前から水面下で経営側と交渉していた。残業時間の抑制や年休消化の促進を優先し、要求提出のタイミングをはかっていたが、「長時間労働を是正する取り組みに一定の前進がみられ、働き方改革の機運が一層高まってきた」(幹部)として、今春闘で初めて要求。経営側も受け入れた。製造現場に加え、企画や総務などの事務部門の社員も対象になる。組合側はグループ企業への導入拡大も視野に入れている。
勤務を終えた後、次の勤務が始まるまでに最低11時間の休息を確保するには、たとえば午後11時まで残業すると、翌日の始業時間を午前10時以降に遅らせる必要がある。このように勤務時間を1日単位で管理する勤務間インターバル制度は、ワーク・ライフ・バランスの推進に効果的だとして、普及を期待する声は多い。
電機メーカーの労組でつくる電機連合は2014年の春闘から、傘下の労組に制度の導入を要求するよう呼びかけている。電機業界では、NECが12年、シャープが14年に導入したが、流通企業などに比べ、製造業では制度の普及は進んでいない。電機連合の関係者は、普及拡大に向けて「従業員数が多い日立の導入はインパクトが大きい」と歓迎している。
働き方改革を掲げる政府は、勤務間インターバル制度について、導入に向けた努力義務を企業に課すことにとどめる方針だ。厚生労働省の15年度の調査によると、国内で導入している企業は2・2%にとどまっている。(土屋亮)


 その他、「日本郵政、勤務間インターバル制導入へ グループ4社で」や、「大手ビールメーカーが、働き方改革として、終業から次の勤務まで一定時間を確保する「インターバル制度」を相次いで導入する。キリンビールは2月から、サッポロビールは4月から、それぞれ導入する。ビール会社の営業は夕方から開店する居酒屋などが相手のため、夜間の仕事が多くなりやすい。インターバルの導入で従業員の身体的負荷を軽くするとともに、スケジュール管理の徹底で業務効率向上につなげる。」という報道もあった。
また、厚生労働省が発行している「勤務間インターバル制度導入事例集」では、「ユニ・チャーム株式会社」「株式会社フレッセイ」「TBCグループ株式会社」「KDDI株式会社」「社会福祉法人聖隷福祉事業団」「総合病院 聖隷三方原病院」「AGS株式会社」「本田技研工業株式会社」の導入事例が紹介され、勤務間インターバル制度の実施状況、導入の経緯、期待される効果と課題が記載されている。
ぜひ、参考にしてもらいたい。
平成30年度予算がまだ決定していないけど、厚生労働省の「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」も来年度もおそらく実施される。(平成30年度予算案では「勤務間インターバルを導入する中小企業への助成金の活用や好事例の周知等を通じて、勤務間インターバルの普及促進を図る。」として15億円が組まれている)

   

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過労により労働者が通勤時に起こした事故で雇用主の賠償責任

2018-02-14 | 書記長社労士 労務管理
地裁川崎支部 過労事故死 通勤時も会社に安全配慮義務
  商業施設への植物の装飾を手掛ける「グリーンディスプレイ」(東京都世田谷区)に勤務していた稲城市の渡辺航太さん=当時(24)=が二〇一四年、ミニバイクで帰宅途中に事故死したのは過重労働が原因として、両親が同社に約一億円の損害賠償を求めた訴訟は八日、横浜地裁川崎支部で和解が成立した。会社側が過労と睡眠不足が原因と認めて遺族に謝罪し、約七千六百万円を支払う。通勤時の事故で会社側が責任を認めて和解が成立するのは異例。
 母淳子さん(61)は厚生労働省で記者会見し、過労事故死を防ぐための会社の安全配慮義務の先例として「大きな意味がある」と評価した。和解勧告によると、渡辺さんは一三年十月、アルバイトとして同社で働き始め、一四年三月に正社員になった。翌四月二十四日午前、徹夜勤務を終えて仕事先の横浜市都筑区からミニバイクで帰宅途中、川崎市麻生区で電柱に衝突し死亡。事故当日の労働時間は、前日からの約二十二時間で事故前一カ月間の時間外労働は約九十時間だった。
 遺族側の代理人弁護士によると、会社側は訴訟で事故原因に関して渡辺さんの不注意と主張。橋本英史裁判長は和解勧告で、会社側が「適切な通勤方法を指示するなど、事故を回避すべき義務を怠った」と安全配慮義務違反を指摘した。
 和解条項には再発防止策として、勤務終了から次の勤務まで十一時間以上の間隔を空ける「勤務時間インターバル」やフレックス制の採用などに取り組むことも盛り込まれた。
 同社は「勧告を厳粛に受け止め、ご心配とご迷惑をお掛けしたことをおわび申し上げます」とのコメントを発表。一方、会社側の弁護団も声明を発表し、地裁支部の事実認定に「重要な点の証拠調べを行う前に、事故の原因を居眠り運転とし、会社の責任とする前例のない判断をした」と批判した。遺族は一五年四月に提訴。事故に関して通勤災害として認定されている。


 先日、このようなニュースがあった。
過労により労働者が通勤時に起こした事故で雇用主の賠償責任を認めるのは異例であり、大きなニュースとなった。
和解勧告では、渡辺さんが疲労蓄積と睡眠不足のため「居眠り状態に陥って運転を誤り、事故を起こした」と指摘した上で、「雇用主は、労働者の通勤に際し、過労で事故を起こさないよう注意する安全配慮義務を負う」と判断している。
その上で、「事故の危険を認識できたのに、公共交通機関を利用するよう指示しなかった」と義務違反を認めている。
以前にもこのブログで触れたが、「会社が、従業員の自動車やバイク、自転車などの通勤手段に関して、許可をしていたり黙認していたりした場合には、その通勤手段によって第三者に損害を与えた場合などには一定の使用者責任が発生する場合がある。」という事例はこれまでにはあったが。

 和解条項には、同社に対して、①休憩時間を確保する「勤務間インターバル」の導入、②仮眠室の設置、③深夜タクシーチケットの交付--などの再発防止策を実施することが盛り込まれたそうだ。


 この和解は2月8日に行われたのだが、ところで昨日、撮り溜めているテレビドラマを観ていたら、TBSの金曜ドラマ「アンナチュラル」の2月2日オンエアーの第4話「Unnatural Death #4 誰がために働く」が、まさに過労による通勤中のバイク事故を取り上げていて、そのタイムリーさに驚いた。

 ある日、ミコト(石原さとみ)の母であり、弁護士の夏代(薬師丸ひろ子)がUDIに解剖の依頼にやってきた。バイク事故によって、若くして亡くなった佐野(坪倉由幸)の死因を究明してほしいという。佐野には妻と子供が2人いたが、バイクの任意保険が切れていた上に生命保険にも加入していなかった。子供2人を抱えて途方に暮れる妻・可奈子(戸田菜穂)を助けるべく、夏代がUDIに連れてきたのだ。
佐野が事故を起こした原因として考えられるのは3つ。
①佐野が勤めていた工場の長時間労働による過労
②乗っていたバイクの修理ミス
③かかりつけ医師による病気の見落とし
死因次第で責任の所在が変わるため、死因究明は遺された家族にとっては重要な問題となる。また、疑いをかけられた勤め先の工場長、バイク屋の店長、病院の弁護士がUDIにやってきて、醜い責任の押し付け合いをし始める。中立公正な立場にあるミコトたちは解剖に取り掛かるが、佐野の意外な死因を発見してしまうことに…。果たして、UDIは遺された家族を救うことができるのか?!
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