『毎日新聞』5月11日付「経済観測」より 「開発の守旧派」
アジア開発銀行の第40回総会が京都で開催され、開発に関する守旧派の存在が明らかになった。それは、欧米諸国であり、その支援に依存する一部低所得国である。これらの国は、その意図は別として、旧植民地宗主国と植民地の関係のように、援助国と被援助国の立場。を固定化しようとしている。 こうした守旧派の存在が際立ってきたのは、何といっても、中国とインドの発展によると思われる、巨大な両国はこのところ年平均8~10%の成長を続け、石油など一次産品価格の高騰や海上運賃の高騰をもたらしている。それどころか、エネルギー資源確保のため、アフリカや中東に進出して欧米企業と摩擦を引き起こしている。 しかし中国の一人当たり国民所得は先進国の25分の1程度で、 インドのそれは50分の1にすぎない。国内に所得が1日1ドル以下の極貧人口を抱え、紛れもない発展途上国であり、国際社会として援助を続けるべき対象なのだ。しかも、両国が地球温暖化の原因となる炭酸ガスを大量に排出している以上、好むと好まざるとにかかわらず、これを改善するための技術や資金面の援助は不可欠なのだ。 ところが、欧米諸国の援助担当者は中国やインドを批判するだけで、建設的に取り組む姿勢がない。むしろ彼らはバングラデシュやアフガニスタンのような援助依存体質を温存し、永久に被援助国の地位に甘んじさせようとしている。 日本は欧米諸国と一線を画し、中国、インド、ベトナムなどアジア諸国が環境を維持しつつ成長できるような支援を惜しむべきでない。それは地球環境を保全し、日本のアジアにおける地位を確固としたものにするだろう。 (耳順)
発展と環境問題。援助する国、される国。開発だ、環境保全だといってもいままでさんざん地球を食い物にしてきた先進諸国はやりどく。いま、発展途上国が化石燃料を使い、先進諸国と同じ轍をふんだとて誰に批判できよう。何を援助するか。ということだろう。
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