1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

誇り高き選挙バカ×40

2013-01-02 02:32:23 | 雑談の記録
投票日は穏やかな天候でした。ボクは朝から仕事の予定で仮眠を取ってから会社へ向かいました。日曜なので当然人はいないのですが、その日はワックス掛が予定されていたらしく、事務所にはビル清掃の業者さんがいました。業者さんとはその日の選挙戦の行方について話し、ワックスが乾くのを待って事務所に入りました。ピカピカに輝く床の室内で、静かに一人で仕事をするのは悪くない気分でした。その日は本当に穏やかな日で窓を開けていても寒さは感じられず、差し込む日の温かさに今日が投票日であることが信じられませんでした。翌日の打合せ資料が完成したのは午後4時頃でした。開票の時間はまだですが、選挙戦の趨勢はほぼ決まっている時間だと思いました。

最後の作戦へ向けた準備が必要でした。しかし、その準備も選挙に負けてしまえば無に帰するものでした。
ボクは家に戻り、リブビングのテーブルにA4用紙を置いて正座をしました。そして昨晩の決意の瞬間から考え始めた言葉の数々を幾度となく反芻し、それと同時に半月に渡った選挙活動における様々な光景がボクの脳裏をよぎっていくのを感じていました。

言葉を発するのは他でもない肉体です。であるならば、その原稿も肉体によってしか生み出すことはできない。そう思いました。
さらに、勝利者にふさわしいものは何か、そしてそれを贈るのであれば誰が一番ふさわしいのか。

やはり、ずいぶんと時間を要しました。

原稿は十数行にしか満たない短い文章でしたが、時間も差し迫っていました。同級生には7時頃に事務所に行くと約束していましたが、気がついたときには時計の針は間もなく8時を指そうとしていました。ボクは、カミさんにバレないように玄関に飾ってあった息子のメダルを上着のポケットに忍ばせました。そして、カミさんと一緒に家を出たのでした。

車に乗り込もうとする時でした。携帯電話が鳴りました。液晶画面には普段見慣れない父の名前が表示されていました。父は、キハラが当確になったことをボクに告げました。まだ8時を過ぎたばかりで信じられませんでしたが、テレビ局の速報ではそれを知らせているとのことでした。キハラの当確の話はある意味嬉しいことに違いはありまんでしたが、これまでの2回の選挙や様々な方面から聞いていた状況を考慮すると、この時点では喜ぶに喜べない気持ちでした。
ボクは無愛想に電話を切りましたが、父から電話を貰ったことは少し嬉しく思っていました。父は昔からボクがなすことの全てにケチをつけて、自分の経験と照らし合わせてボクの劣っているところをあぶり出すと同時に自分がいかに優れているかを長々と話す、そこら辺にいる「オッサン」となんら変わらない人物なのですが、今回は本気で気に掛けてくれていたのでした。

しかし、キハラ当確の知らせは、これからやろうとすることの現実味を増幅させることと同義でした。運転している手足から次第に血の気が引いていくのがわかりました。
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