鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

日常的現実と夢における非連続と連続 (GLASS9-19)

2013-02-05 11:46:55 | Weblog
 「あなたは計算が出来るの?」とアリスに突然、尋ねられた白の女王は息を飲み、眼を閉じる。そして言う。「足し算は出来る。もしお前が時間をくれれば。しかし、引き算は何があっても出来ない。」

 コメント1:白の女王はなぜこんなに素直でいい人なのか?“GLASS1-1”で見たように、いたずらするのは黒い子猫。白い子猫はいい子。黒い子猫が「鏡の国」では赤の女王として登場、白い子猫は白の女王として登場。「鏡の国」はアリスの見た夢。(“GLASS12”で論じられる赤の王様が見た夢かどうかの問題は、ここでは保留。)アリスの日常的現実と、アリスの夢は、非連続であるとともに、連続する要素も存在する。

 コメント2:日常的現実と夢。キャロルは、夢は日常的現実の変形と考える。白い子猫が白の女王に変形する。両者は、子猫と女王という点では別物だから、非連続。しかしともに白いこと、ともに行動主体であること、さらにいい子、正直な性格であることは連続する。

 ※旧稿
白の女王は正直である(GLASS9-19)
 アリスから尋ねられた白の女王は息をのみそして目を閉じて言う。「足し算は出来る。ただし時間をくれれば。だがどんな場合でも引き算は出来ない」と。白の女王は正直である。彼女は計算が苦手である。