鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

アリスは揺れている:現実の女王なのか「ごっこ遊び」の女王なのか(GLASS9-1)

2012-03-20 22:04:07 | Weblog
 小川を跳び越え新しいチェスの目の世界に移って、アリスは頭の上に女王の金の王冠があることを発見。「まあ、本当にすごいわ!」とアリス。
 さらに「こんなにすぐに女王になれるなんて信じられない」と彼女は驚く。

 PS1:アリスは普通の女の子である。だから自分が突然、女王になった時、まず最初に「こんなにすぐに女王になれるなんて信じられない」と驚く。アリスには常識がある。確かにアリスは女王になりたいと思っていた。でも、それはいつか先のことである。ところが、それが一瞬にして、それも1日の内に実現した。常識家のアリスが驚くのは当然である。
 (「GLASS9-1」は、「Lewis Carroll,THROUGH THE LOOKING GLASS, 9 QUEEN ALICE に関するコメント1」の意味である。以下の項目でも、同様。)

 PS2:アリスは、しかしすぐに、女王としての演技をする。彼女は、日頃から「ごっこ遊び」が好き。

 アリスが厳しい口調で言う。「よろしいですか、陛下。」「芝生の上で、こんなふうにのらくらしていては、いけません。女王は威厳を持たねばなりません。」と。

 PS3:ここは日常的現実ではない。アリスは「鏡の国」の現実においては、「ごっこ遊び」でなく本当に女王となる。
 アリスは一体、どこにいるのか?アリスは揺れている。①日常的現実に属するアリスは「ごっこ遊び」をして女王を演技する。②「鏡の国」の現実に属するアリスは、現実内で女王である。
 アリスは、すでに現実の女王なのに、それを受けいれず、「ごっこ遊び」の女王を演じる。

 ※旧稿(2008-01-05)
常識家アリス:突然に女王となり驚く(GLASS9-1)
 アリスは普通の女の子である。だから自分が突然、女王になった時、まず最初に「こんなにすぐに女王になれるなんて信じられない」と驚く。アリスには常識がある。確かにアリスは女王になりたいと思っていた。でも、それはいつか先のことである。ところが、それが一瞬にして、それも1日の内に実現した。常識家のアリスが驚くのは当然である。

1ヤードごとの杭は、チェス盤上の斜めの交点を、象徴する(GLASS2-27)

2012-03-20 20:18:35 | Weblog
 4ヤードの杭の所で赤の女王が一瞬、アリスを振り向き、「さらばじゃ」と言った。そして5ヤードの杭に急いで行ってしまった。
 その最後の杭の所で、女王がいなくなる。空中に消えたのか、森にすばやく駆け込んだのか、アリスには分からない。ともかく女王がいなくなった。
 一人になったアリスは、自分がチェスの歩兵だと思い出す。「そろそろ進むときだ」と思う。

 PS:女王がなぜ、地面を測量し1ヤードごとに杭を打ち込んだのか、今や、正確にわかる。
 先の説明(GLASS2-26)で、「後手1、赤」の時、「赤の女王がe2からh5に進み、アリスのもとから消え去る」とあった。
 付言すれば、女王はチェスの始め、d1に置かれる。そこから斜めにh5まで進むわけだ。
 1ヤードごとの杭は、女王の駒が進むチェス盤上の斜めの交点の各々を、象徴する。
 「2ヤードの杭の所で、女王がアリスが行く道筋について教える」が、それは、赤の女王(e2)がアリス(d2)の隣にいるから。
 3ヤード、4ヤード、5ヤードの杭の所での赤の女王の行動は、赤の女王がf3、g4、h5と進むことに、象徴的に対応している。