nakacli.blog

千里の道も一歩から

絵本

2018年05月31日 | クリニック情報

もうすぐ関東地方も梅雨入りが近そうです。

クリニックでは小児科、内科ともに嘔吐、下痢を主訴とする感染性胃腸炎がかなり多く認められています。

家族内感染なども認められており、ノロウイルスやロタウイルスによるウイルス性胃腸炎だと思われます。

また小児では溶連菌以外に、夏風邪のアデノウイルス感染症や手足口病も出始めていますので、感染を広げないためにもしっかりと手洗いで予防しましょう!

先日、受診されたお子さんのお母様からクリニックに置いて下さいと「絵本」を頂きました

たくさんのお子さん達に読んでもらえるよう、小児科待合室に置かせて頂きます

多くのお子さん達が手にする絵本はすぐにボロボロになってしまうため、スタッフがいつも修復作業を行いながら本棚に置いているので助かります

お気遣いありがとうございました


抗菌薬と鼻水止め

2018年05月26日 | 医療情報

これまでも耐性菌(抗菌薬の効かないタイプの細菌)を増やさないため、抗菌薬(抗生物質)は必要な時のみに適正に使用しましょう、と説明してきましたが、特に小児では今年4月から抗菌薬の適正使用の指導を徹底するようになりました

小児の発熱、咳、鼻水、下痢などは90%以上は「ウイルス」が原因であるため、抗菌薬は効果なく、服用し続けることで抗菌薬が効かないタイプの耐性菌を作ってしまい、本当に抗菌薬が必要な時に効かなくなることが懸念されるためです。

「風邪なので抗生剤を出して下さい」、「熱があるのに今日は抗生剤は出ないのですか」と言われることは、小児科においては最近ほとんどなくなりました

しかし鼻水止めに関しては、今でも「なかなか鼻水が止まらないのでもっと強いクスリを下さい」などと言われることが多々あります。

一般的に風邪の際、保険適応がある鼻水止めは、第一世代と言われる抗ヒスタミン薬(ポララミン、ペリアクチンなど)です。

しかし第一世代の抗ヒスタミン薬は脂溶性が高く血管脳関門を通過しやすく、鎮静作用(眠気)のある薬です。

そのため、熱性けいれんがある乳幼児(特に2歳未満)やてんかんのある人が服用するとけいれんを引き起こしやすくしなり、熱性けいれんではけいれんの持続時間も長引く傾向などが以前から指摘されています。

そこで血管脳関門を通過しにくい鎮静効果の低い抗ヒスタミン剤が1986年以降に市販され、これを第二世代の抗ヒスタミン薬と言います

以下のような第二世代抗ヒスタミン薬は、主にアレルギー性鼻炎や花粉症、蕁麻疹、かゆみ止めなどで使用するものです。

第二世代抗ヒスタミン薬一覧・特徴

一般名商品名特徴・回数
ケトチフェンフマル酸塩 ザジテン
DS(イチゴ味)・カプセル・シロップ 
1日2回朝・就寝前
車運転× 
アゼラスチン塩酸塩 アゼプチン錠  1日2回 
車運転× 
オキサトミド セルテクト
錠・DS 
1日2回朝・就寝前
車運転×  
妊婦に禁忌
メキタジン ゼスラン
ニポラジン
錠・小児用細粒
小児用シロップ(ミックスフルーツ味) 
1日2回 
車運転× 
フェキソフェナジン塩酸塩 アレグラ
錠・OD錠・DS
1日2回 
車運転OK
エピナスチン塩酸塩 アレジオン
錠・DS(ヨーグルト味) 
1日1回
車運転注意
エバスチン エバステル
錠・OD錠(ストロベリー味) 
1日1回
車運転注意
セチリジン塩酸塩 ジルテック
錠・DS(ストロベリー味)
1日1回就寝前
車運転×
レボセチリジン塩酸塩 ザイザル
錠・シロップ 
1日1回就寝前
車運転×
ジルテックの光学異性体
ベポタスチンベシル酸塩 タリオン
錠・OD錠 
1日2回
車運転注意
エメダスチンフマル酸塩 レミカットカプセル  1日2回朝・就寝前 
車運転×
オロパタジン塩酸塩 アレロック
顆粒・錠・OD錠 
1日2回朝・就寝前 
車運転×
ロラタジン クラリチン
錠・レディタブ錠・DS 
1日1回食後
車運転OK
デスロラタジン デザレックス錠  1日1回 
車運転OK
ビラスチン ビラノア錠 

1日1回空腹時
車運転OK

たくさん薬の種類があるように思えますが、2歳未満で使用できる第二世代の抗ヒスタミン薬はほとんどなく極わずかのみ

下痢や嘔吐も体から菌を排泄する防御反応であると同じく、鼻水もウイルスなどを排泄させる目的で出ているので、何がなんでも鼻水を止める必要はありません。大人でも薬を服用しても鼻水は止まりにくい症状の一つです。

そのため2歳未満の乳幼児での鼻水止めの薬は処方せず、鼻水を吸引したりしながら様子をみることが多く、2歳未満の乳幼児に対し眠気のある第一世代の抗ヒスタミン薬の使用はほとんどの医療機関で処方されなくなってきています。

このようなことを外来で一人一人へ説明出来れば良いのですが限られた時間内では難しいため、ブログなどで少しずつ保護者の理解を高めていけたらと考えています。

とは言いものの、「赤ちゃんの鼻水、鼻詰まりがつらそうなので、早く楽にしてあげたい」と思うのは当然の親心

我々もどうにか楽にしてあげたいと思いますが、一般的に風邪の鼻水に抗ヒスタミン薬は効きにくく、お子さんの場合は薬を飲むよりもふき取ったり、吸い出してしまうのが一番効果的ですので、改善するまではちょっと大変ですが通院などで鼻水を吸い出して回復を待ちましょう


H30年度インフルエンザワクチン株決定

2018年05月21日 | 医療情報

今年の秋に接種するインフルエンザワクチンの製造株がすでに決定しています

 平成30年度

A型株
  A/シンガポール/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
  A/シンガポール/INFIMH-16-0019/2016(IVR-186)(H3N2)
B型株
  B/プーケット/3073/2013(山形系統)
  B/メリーランド/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)

ちなみに昨年度は以下の通り(赤字のところが今年との違い)

A型株
  A/シンガポール/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
  A/香港/4801/2014(X-263)(H3N2)
B型株
  B/プーケット/3073/2013(山形系統)
  B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)

昨年度はこの時期に選ばれたワクチン製造株の一部が十分に増殖せず、製造株を入れ替えたことによりワクチンの製造が遅れたため、例年の7割程度しかワクチンが市場に出回らないという事態になり、ワクチン不足で大変な思いをした年だったことを思い出します

その影響か、インフルエンザB型が先行して久しぶりのインフルエンザ大流行のシーズンでした

今年は経鼻噴霧型のインフルエンザ生ワクチン(フルミスト)の取り扱いも再開予定ですが、今のところ詳細は不明ですのでホームページへアップされるまでお待ちください。


MRワクチン入荷制限

2018年05月14日 | ワクチン全般

MR(麻しん・風しん)混合ワクチンがいよいよ不足してきました。

メーカーより入荷制限がかかり、MRワクチンの確保が困難な状況となっております。

そのためワクチン供給が安定するまでは、自費でMRワクチン接種をご希望の方の接種はお断りさせて頂き小児(1歳時:Ⅰ期、5~6歳時:Ⅱ期)の定期接種を優先的に接種させていただきます。

皆様のご理解・ご協力の程、宜しくお願い致します。


三種混合ワクチン(トリビック)

2018年05月10日 | 医療情報

百日咳・ジフテリア・破傷風の3種混合ワクチンは、乳幼児の定期接種で使用する不活化ポリオを加えた4種混合ワクチンにすべて変わってしまってから販売されていませんでした。

今年1月下旬に生後3か月以上~成人まで接種可能な「百日咳・ジフテリア・破傷風の3種混合ワクチン:トリビック」が発売されました

乳幼児は定期接種としてこれまで通りに4種混合ワクチンを接種します。

しかし欧米諸国ではその後の追加接種を3種混合ワクチンで行っているのに対し、国内の11~13歳未満の定期接種は、ジフテリア・破傷風の2種混合(DT)ワクチンを現在も使用しているのが現状です。

日本国内では2000年以降、青年、成人の百日咳患者の報告が増加していることや、すでに欧米では百日咳ワクチンを含有したワクチンを年長児や青年期に追加接種することで高い予防効果を認めていることなどから、年長児から成人における百日咳含有ワクチンの必要性が指摘されていました

DTワクチンは0.1lmの接種で接種部の発赤、掻痒感、疼痛、硬結などが50%程度認められていましたが、トリビックは0.5mlを接種しますが副反応の発現はほぼ同等のようです。

百日咳ワクチンを含有することで、百日咳抗体価のブースター反応率は11~13歳未満で91%、成人100%と良好

まずは11~13歳未満のジフテリア・破傷風の2種混合(DT)ワクチンが、百日咳含有の3種混合ワクチンとなるよう厚労省も早めの対応を期待したいです

11~13歳未満の定期接種としてのDTワクチンを打ち損ねた方や成人で追加接種を希望の方は、自費になりますが百日咳ワクチン含有の3種混合ワクチンの方をお勧めします。