毎年この時期になると、保育園、幼稚園、小学校ではプールが始まります。
ほとんどの施設では「水いぼ」があるとプールには入れないため、水いぼをとって欲しいとのことで外来を受診する子供たちが増えています。
水いぼは俗名で、正式名称は「伝染性軟属腫」、原因はMolluscum contagiosum virus(伝染性軟属腫ウイルス)
このウイルスが皮膚に接触することで感染します。
従来から「水いぼ」はウイルス感染で自然消退していくことが知られていますので、治療せず放置をして経過観察することが多い疾患です。
水いぼの処置は基本的には皮膚科の領域ですが、小児科は何でも診てくれる?という印象があるのか、上記のような理由で小児科を受診される方もいらっしゃいます。
いつも疑問に思うのが、プールに入るためだけに痛い思いをしてすべて摘除してしまわないといけないのか?というもの
日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚科学会、日本小児感染症学会が、皮膚の感染症に関する統一見解を出しています。
【学校へ行かせてよいかどうか及びその取扱い】
水いぼは幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治癒することもありますが、それまでは長期間を要するため、周囲の小児に感染することを考慮して治療をします。プールなどの肌が触れ合う場ではタオルや水着、ビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。
この疾患のために学校を休み必要はありません。
【プールに入ってよいか?】
水いぼはプールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。
ただし、タオル、浮き輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
自然消失には6か月~数年もかかり、その間に掻き壊して広がったり、とびひになったりすることもあるため、みずいぼの数が少ないうちに摘除した方がベター、しかしプールは水いぼがあっても接触を避ければOKとの方針です。
伝染性軟属腫ウイルスの潜伏期間は2週間~50日くらいと言われているので、見える箇所を摘除しても掻き壊して他の皮膚へ感染していると、しばらくして新しいものが出来てきます。
まずは数個くらいの早めにみずいぼを発見し、表面麻酔のペンレス(リドカイン)テープを貼り、疼痛を緩和させてから摘まんでとるのが良いでしょう。
かなりの数となって広がってしまった水いぼは、皮膚科で何度かに分けてピンセットで摘除、または液体窒素などで治療してもらいましょう!
ヨクイニンなどの内服も効果があると言われていますが、用量も多く数か月間は服用してみないと効果は分かりません。
小児科外来で広範囲に広がった多数の水いぼの処置をこなすためには、残念ながら時間的な限界がありますので出来るだけ皮膚科受診をお勧めします。
当クリニックではあくまでも初期段階での処置のみを行っていますのでご了承下さい。(ちなみに処置は平日のみで、土曜日は診療が混雑するため行っておりません)